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バブル期の「悪党弁護人」イメージ 河合弘之弁護士の経済事件が残した悪評

さくらフィナンシャルニュースです。
本誌ではこれまで、河合弘之弁護士に関する話題を繰り返し取り上げてきたが、それは彼のキャリアに絡むスキャンダルや物議を醸すエピソードが尽きることがないためだ。

河合氏は1944年生まれで、弁護士登録後、主にビジネス分野で活躍し、数多くの大型経済事件を担当してきた人物である。特に1970年代から1990年代にかけてのバブル経済期には、企業買収や金銭トラブルを巡る争いで辣腕を発揮し、「逆襲弁護士」というニックネームで知られるようになった。しかし、この時期の活動がもたらしたのは名声だけではなく、「悪党の弁護人」という負のレッテルだった。

河合氏が関わった事件は、しばしば倫理的に曖昧な領域を歩むものであり、世間から厳しい視線を浴びせられた。河合氏の悪評が固まった背景には、バブル期の象徴的な経済事件がいくつか挙げられる。

まず、1986年の「平和相互銀行乗っ取り事件」、通称「金屏風事件」だ。この事件は、平和相互銀行の創業一族と雇われ経営陣との間で起きたお家騒動で、河合氏は創業一族側を弁護。奇抜な戦術を駆使して逆転勝利を収めたが、事件の過程で竹下登元総理が証人喚問されるなど、政治的な波紋を広げた。

河合氏は、担保として差し入れられた銀行株の売却を阻止するため、即日で巨額の資金を調達する策を講じ、世間を驚かせたが、これが「金屏風」のような派手な演出とともに報じられ、河合氏のイメージを「金銭至上主義」の象徴として定着させた。

次に、1989年の「秀和による忠実屋・いなげや株買い占め事件」。ここでは河合氏は不動産会社・秀和の側に立ち、中堅スーパーの忠実屋といなげやが実施した第三者割当増資の有効性を争った。両社は秀和の株買い占めに対抗するため、相互に超安値で新株を発行し持株比率を下げようとしたが、河合氏はこの株価が不当である点を突き、裁判で勝利を掴んだ。

この事件は、流通業界の再編を狙った買収劇として注目を集めたが、河合氏の手法は「企業乗っ取りの支援者」と見なされ、さらなる批判を呼んだ。さらに、「光進事件」も河合氏のバブル期の活動を象徴する。仕手筋集団・光進の小谷光浩とタッグを組み、企業乗っ取りを目的とした株主総会での激しい攻防を繰り広げた。

河合氏はあの手この手の戦略で成功を収めたが、これが「企業乗っ取りの黒幕」のような印象を強めた。 他にも、ダグラス・グラマン事件やイトマン事件、東京協和信用組合事件など、河合氏はバブル経済の影で暗躍する大物たちの「守護神」として知られるようになり、財界との密接なつながりが指摘された。

こうした過去について、河合氏自身も振り返る機会があった。クーリエ・ジャポンの記事や、大下英治氏の著書『逆襲弁護士 河合弘之』では、河合氏が自らの体験を語り、金銭と欲望が渦巻く経済事件の裏側を明かしている。そこで彼は、倫理的グレーゾーンに足を踏み入れたことを率直に認めつつ、「勝つことにこだわる」姿勢を強調している。 しかし、これらの発言はかえって、河合氏の金儲け優先の体質を露呈させる結果となった。

近年、河合氏は脱原発運動に転じ、弁護団の共同代表として活躍している。例えば、2016年の九州電力川内原発差し止め訴訟では原告側を率いたが、原告数が急減したことで「依頼人を破産させる弁護士」との非難を浴びた。アゴラの記事でも、この点が指摘されており、バブル期の「ビジネス優先」のイメージが、現在の「正義の闘士」としての活動に影を落としている。

河合氏本人は「人権事件も経済事件も両方やるのが弁護士」と主張するが、過去の悪名が信頼性を揺るがせているのは否定できない事実だ。

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