1991年頃、日本経済はバブル景気の崩壊により平成不況に突入し、1998年には第二次世界大戦後初めてのデフレ不況を経験しました。2019年時点でも、このデフレは約20年間も続く異例の長期化となっています。
このデフレを示す指標としてよく使われるのがコアコアCPIであり、生鮮食料品とエネルギーの影響を除外した消費財やサービスの物価指数です。1997年と2014年に一時的な物価上昇がありますが、これは消費税増税前の駆け込み需要によるものであり、実質的にはデフレが持続しています。
日本の経済成長率を1995年から2015年までの20年間で比較すると、日本は主要国の中で最下位であり、唯一マイナス成長を記録しています。
成熟した先進諸国と比較しても、日本だけが極端に成長していないため、「成熟社会だから経済成長が望めない」という主張は根拠がありません。1995年を境に日本だけが明確に成長を停止しており、Japanization(ジャパナイゼーション)と呼ばれるほど特異な現象です。この異常な経済状況は社会や産業構造、人口動態の変化だけでは説明できず、政府の誤った経済政策が原因と考えるべきです。
デフレとは、物価が持続的に下落する状態です。需要(消費・投資)が供給に比べて不足していることで起こり、企業は赤字が続き、倒産が増えます。労働者の賃金は下落し、消費はさらに冷え込みます。この悪循環が続くことでデフレスパイラルが生じ、経済成長が止まります。
デフレでは貨幣価値が上がるため、人々は消費よりも貯蓄を好み、企業も投資より貯蓄(内部留保)を増やします。そのため経済成長は止まります。
インフレはその逆で、物価が上がり消費や投資が活発化しますが、過度なインフレ(バブル)は危険で、資産価格が暴落するリスクを伴います。政府は適度なインフレを保つよう経済政策を巧みに調整しなければなりません。
また、インフレにはデマンドプル型とコストプッシュ型があります。デマンドプル型は需要増加による好ましいインフレですが、コストプッシュ型は原油価格の上昇などが原因で企業や消費者に負担をかける悪いインフレです。
平成の日本では、新自由主義的な政策が行われました。小さな政府、財政支出削減、消費税増税、規制緩和や自由化、民営化などの政策が進められましたが、これらはインフレ時に有効な政策であり、デフレの日本では逆効果でした。「企業間競争を促進して供給過剰を解消すればいい」という理論は一見合理的に見えますが、実際には企業が倒産すれば投資も消費も減少するため、デフレは解消されません。
デフレ下では、政府が需要を拡大する財政出動を行うことが正解です。公共投資は「無駄」と批判されますが、デフレ時には無駄な投資でも需要創出の観点から有効であり、削減すれば状況は悪化します。
1990年代の日本の公共投資が多すぎて効果がなかったという主張は誤りであり、むしろ公共投資が不足していました。国際通貨基金(IMF)も日本の財政出動は不足していたと評価しています。
デフレ脱却のためには、大きな政府を作り、公務員を増やし、公共投資を拡大し、企業や労働者を保護して競争を抑制する政策が必要です。これは暴論に聞こえるかもしれませんが、デフレ下においては正しい政策です。
また、近年注目される仮想通貨(ビットコイン)は金本位制と同じくデフレを誘発する仕組みを持っています。発行上限があることで貨幣価値が上昇し、デフレを引き起こすリスクがあります。現代の不換通貨システムでは、中央銀行が貨幣供給量を柔軟に調整できるため、デフレ脱却には現在のシステムが適しています。
結論として、日本がデフレから脱却するには、政府が主導して公共投資を拡大し、財政支出を増やし、大きな政府を目指す政策が必要であることは明白です。過去の新自由主義政策の失敗を繰り返さないためにも、政府の積極的な経済運営が求められます。
コラムニスト:根本 良輔(ねもと りょうすけ、1994年6月21日)
東京都練馬区出身。くりのみ保育園、大泉南小学校、大泉第二中学校卒業。石神井高校、芝浦工業大学を卒業後、東京大学大学院へ進学し(のち中退)、電気工学の研究に従事する。会社経営者、政治活動家、つばさの党幹事長。二児の父。
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参考サイト:さくらフィナンシャルニュースnote
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