報道各社の8月度の世論調査数値が出揃いました。
9月に自民党総裁選、立憲民主党の代表選挙が行われることから今回の調査では、それぞれの党の総裁と代表にふさわしい人を尋ねる設問も設定されています。
「自民党総裁にふさわしい人」を尋ねる質問では、小泉進次郎・元環境相、石破茂・元幹事長の数値が高く、現在のところ、先行しています。
自民総裁選、立民代表選についての各社の調査結果をまとめます。
自民総裁選~石破茂・元幹事長、小泉進次郎・元環境相が高い数値
岸田文雄首相が「9月の総裁選に立候補しない」ことを記者会見で表明する前に、行われた時事通信による調査(8月2~5日)では、石破茂氏が18.7%と最も数値が高く、次いで小泉氏が12.5%、高市早苗・経済安全保障相が6.5%、河野太郎・デジタル担当相5.2%、上川陽子外相4.7%、茂木敏充・幹事長1%、野田聖子・衆議院議員が1%でした。
この調査で、岸田首相は上川外相と同じ4.7%でした。
一方、岸田首相の記者会見後に行われた共同通信による調査(8月17~19日)では、
石破茂氏25.3%、小泉進次郎氏19.6%、高市早苗氏10.1%、河野太郎氏7.6%、上川陽子氏7.6%、小林鷹之・前経済安保相3.7%、茂木氏1.8%、斎藤健・経済産業相1.5%、野田氏1.2%、加藤勝信・元内閣官房長官1.2%、林芳正・内閣官房長官1.0%でした。
日本経済新聞・テレビ東京調査(8月21~22日)では、小泉氏が23%と首位となり、続いて、石破氏18%、高市氏11%、小林氏8%、河野氏7%、上川氏6%、林氏2%、
加藤氏、斎藤氏、野田氏、茂木氏が1%で並びました。小林氏は、この調査が行われる前の19日に記者会見を行い、総裁選への立候補を表明しました。
続いて、讀賣新聞・日本テレビ調査(8月23~25日)では、石破氏22%、小泉氏20%と拮抗し、次いで高市氏10%、河野氏7%、上川氏6%、小林氏5%、茂木氏2%、加藤氏、野田氏、林氏が1%でした。
朝日新聞調査(8月24~25日)では、石破氏と小泉氏が21%で並び、高市氏8%、上川氏と河野氏が6%、小林氏5%、茂木氏2%、加藤氏、野田氏、林氏が1%でした。
毎日新聞調査(8月24~25日)では、石破氏29%と最も高く、小泉氏16%、高市氏13%、小林氏7%、上川氏6%、河野氏5%、野田氏2%、加藤氏、林氏、茂木氏1%でした。
毎日調査は男女別の支持率も出しているので、主な特徴を見ていきます。
石破氏は、男性の支持が25%に対して女性32%と女性の支持が高く、小泉氏は男性17%女性16%と拮抗しています。
高市氏は、男性19%、女性8%と男性の支持が極端に高くなっています。
小林氏は男性6%女性8%、上川氏は男性4%に対して女性は倍の8%、河野氏は男性6%、女性4%となっています。
自民党支持層の調査数値
対象を自民党支持層に絞っての調査数値を比較します。
共同調査では、小泉氏が24.2%と石破氏の21%を抜いて首位となります。次いで、河野氏11.2%、高市氏10.3%と3位と4位も逆転します。上川氏8.1%、小林氏5.6%、茂木氏3.0%、斎藤氏2.8%、林氏1.2%、加藤氏0.9%、野田氏0.8%でした。
日経・テレ東調査でも、小泉氏が首位となり32%、2位は高市氏の15%、石破氏14%、河野9%、小林氏8%、上川氏6%、茂木氏2%、加藤氏、斎藤氏、林氏が1%でした。
讀賣・日テレ調査でも、小泉氏が22%と首位で、石破氏20%、高市氏14%、河野氏9%、上川氏と小林氏が6%、加藤氏と茂木氏が3%、野田氏と林氏が1%でした。
朝日調査では、小泉氏が28%、石破氏が23%、高市氏12%、河野氏8%、上川氏7%、小林氏5%、加藤氏、野田氏、林氏、茂木氏は1%でした。
毎日調査では、石破氏が25%、小泉氏24%と拮抗し、高市氏19%、小林氏9%、上川氏6%、河野氏5%、野田氏と茂木氏が2%、加藤氏と林氏が1%でした。
議論して欲しい政策課題は?
今回の総裁選を通して、議論して欲しい課題についても尋ねています。
共同調査では、「景気・雇用・物価高対策」が最も多く50.9%、次いで「年金・医療・介護」が36.6%、「子育て・少子化」が25.7%、「政治とカネ」20.1%、「外交・安全保障」が17.9%などとなっています。
日経・テレ東調査では、「物価対策」37%、「経済全般」35%、「年金」33%と続きました。
讀賣・日テレ調査では、「経済対策」29%、「年金などの社会保障」23%、「少子化対策」14%、「政治とカネ」13%、「外交・安全保障」12%などでした。
朝日調査では、「経済」32%、「社会保障」27%、「政治とカネ」の問題19%、「外交・安全保障」が14%などでした。
毎日調査では、「物価対策」が21%で最も高く、このうち男性は18%でしたが、女性は24%となっています。
次いで、景気対策18%(男性20%、女性17%)、「政治とカネ」が15%(男女ともに15%)、「外交・安全保障」が13%(男性15%女性10%)、「少子化対策」11%(男性12%女性10%、「社会保障」10%(男性9%女性11%)などでした。
立憲民主党代表選
9月7日告示、23日に投開票が行われる立憲民主党の代表選挙についても「誰が代表にふさわしいか」を尋ねています。
讀賣・日テレ調査では、野田佳彦・元首相と回答した人が25%、枝野幸男・前代表15%、泉健太・代表8%、江田憲司・前代表代行と馬淵澄夫・元国交相が3%で、「いない」と回答した人が15%いました。
毎日調査では、野田氏が27%(男性31%女性23%)と最も高く、次いで、枝野氏が14%(男性13%女性14%)、泉氏が7%(男性6%女性8%)、江田氏4%(男性3%女性6%)、西村智奈美・代表代行が2%(男性3%女性2%)、馬淵氏が2%(男性1%女性2%)でした。
一方、調査リストの中の議員の中には「いない」と回答した人も約2割の19%に及び、男性で17%、女性が19%でした。
立憲支持層に限ってみますと、枝野氏37%、野田氏32%と順位が逆転し、泉氏と江田氏が6%、西村4%、馬淵3%でした。また、支持なし層では、野田氏26%、枝野氏と泉氏が8%でした。
自民党総裁選挙は、9月12日に告示され、27日に投開票が行われます。一方、立憲民主党の代表選挙は9月7日告示、23日の臨時党大会で投開票が行われます。
今後、候補者が正式に決定し、政策議論などを通してそれぞれの候補者の「資質」も周知されます。
編集部では、引き続き、自民党総裁選挙、立憲民主党の代表選挙について、詳しくお伝えしていきます。
以 上
参考:各社の調査概要
時事通信:8月2~5日、調査は全国18歳以上の2000人対象、個別面接方式。有効回収率は59.7%
共同通信:8月17~19日、コンピューターで無作為に発生させた番号に電話をかけるRDD(ランダム・デジット・ダイヤリング)法で実施。実際に有権者がいる世帯にかかったのは543件、うち429人から回答。携帯電話は、電話がかかったのは3148件うち635人から回答。能登半島地震で、石川県の一部地域は調査対象から外した。
日本経済新聞・テレビ東京:8月21~22日、全国の18歳以上の男女に携帯電話も含めて乱数番号(RDD)方式による電話で実施し595件の回答を得た。回答率は34.9%
讀賣新聞・日本テレビ:8月23~25日、コンピューターで無作為に作成した固定電話と携帯電話の番号にかけるRDD◎方式で18歳以上の有権者を対象に実施。固定では有権者在住が判明した725世帯の中から423人、携帯では応答のあった1718人の中から633人、計1056人の回答を
得た。回答率は固定58%、携帯37%。
朝日新聞:8月24~25日、RDD方式、全国の有権者を対象に調査した。固定は有権者がいると判明した952世帯から420人(回答率44%)、携帯は有権者につながった1642件のうち638人(同39%)、計1058人の有効回答
毎日新聞:8月24~25日、携帯電話のショートメッセージサービス(SMS)機能を使う方式と、固定電話で自動音声の質問に答えてもらう方式を組み合わせ、目標サンプル数を1000件に設定し、携帯429件、固定521件の有効回答を得た。
筆者 平木雅己(ひらきまさみ)選挙アナリスト
元NHK社会部記者。選挙報道事務局を長く勤め情勢分析や出口調査導入に尽力。小選挙区制度が導入された初めての衆議院議員選挙報道ではNHK会長賞を受賞。ゼネコン汚職
事件、政治資金の不正など政治家が関わる多くの事件・疑惑も取材。
その後、連合(日本労働組合総連合会)事務局にて会長秘書(笹森清氏)として選挙戦略の企画立案・候補者指導を担当、多くの議員の当選に尽力した。
政策担当秘書資格取得後、法務大臣/自民党幹事長代理はじめ外務大臣政務官、衆参国会議員政策秘書として、外交・安全保障、都市計画、防災、司法、治安、雇用・消費者、地方自治などの委員会や本会議質問を作成、政策立案に携わる。
☆出稿資料☆
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