今年9月末には、岸田文雄首相の自民党総裁としての任期を迎え、総裁選挙が行われます。あす(26日)には自民党総裁選挙の選挙管理委員会も立ち上がり、今後、選挙日程などが決まっていきます。また、10月末には衆議院議員の任期満了までのこり1年となり、「いつ解散総選挙」があってもおかしくない政治状況です。今回は、報道各社が7月に行った世論調査から、今後の政局に関する動向を読み解いていきます。
岸田文雄首相の政治姿勢
毎日調査では、「自民党の派閥の裏金事件に関し、岸田文雄首相が自民党総裁として責任を果たしたと思いますか」と尋ねています。「果たしたと思う」と回答した人は全体で8%(男性10%女性5%)だったのに対して、「果たしたと思わない」と回答した人は全体で83%(男女ともに83%)に達しました。
朝日調査では、「岸田首相はリーダーシップを発揮しているかどうか」について取り上げています。「発揮している」26%、「発揮していない」は66%でした。
岸田文雄首相の自民党総裁としての続投
今年9月末に自民党総裁としての任期を迎える岸田首相についても触れています。
朝日調査で「岸田さんには、総裁に再選して、首相を続けてほしいと思いますか。続けてほしくないと思いますか。」と尋ねたところ、「続けてほしい」と答えた人が18%「続けてほしくない」と答えた人が74%でした。自民党の支持層に絞っても「続けてほしくない」と答えた人の割合は57%と6割近くになりました。
毎日調査でも「岸田首相が総裁に再選され、首相を続けた方がいいと思いますか」と尋ねています。「続けた方がいい」と答えた人は11%(男性12%女性10%)に対して、「交代した方がいい」と答えた人は70%(男性74%女性67%)でした。
自民党の次の総裁
別添:資料 各社調査表を参考
今年9月、岸田首相は自民党総裁としての任期を迎え、総裁選挙が行われます。次の自民党総裁についても触れています。
朝日調査です。
「自民党国会議員の中で、だれが首相にふさわしいと思いますか」と尋ねています。
石破茂さんと回答した人が最も多く21%、次いで、小泉進次郎さん17%、上川陽子さん、河野太郎さん、高市早苗さんがそれぞれ7%で、岸田文雄さん6%、茂木敏充さん2%、
加藤勝信さんと林芳正さんがそれぞれ1%でした。この中にいないと回答した人は29%でした。
讀賣・日本テレビ調査です。
石破茂さん25%、小泉進次郎さん15%、河野太郎さん8%、岸田文雄さん、菅義偉さん、高市早苗さんがそれぞれ6%、上川陽子さん4%、野田聖子さん2%、小林鷹之さん、林芳正さん、茂木敏充さんがそれぞれ1%などとなっています。
共同調査でも、石破茂さんの氏名を挙げた人の割合が最も多く28.4%、次いで、小泉進次郎さん12.7%、高市早苗さんが10.4%、河野太郎さんが9.0%、上川陽子さんが8.2%、岸田文雄さん7.5%、茂木敏充さん2.5%、野田聖子さん1.1%などとなっています。
衆議院の解散総選挙の時期
今年10月に任期満了まで1年となる衆議院議員について、いつ解散・総選挙を行うべきと思うかについても聞いています。
NHK調査では、「年内」が43%で最も多く、「来年の早い時期」が17%、「来年10月の任期満了近く」が28%となりました。
讀賣・日テレ調査では、「年内」41%、「来年の早い時期」11%、「来年夏の参議院選挙と同日」が12%、「来年10月の任期満了かそれに近い時期」が27%でした。
毎日調査では、「年内」と回答した人の割合が47%で、このうち男性は55%が「年内」に解散総選挙を行うことが「いいと思う」と回答しています。女性は41%でした。
「来年夏の参議院選挙と同時」が21%(男性18%女性23%)、「来年10月の衆院議員の任期満了まで」が14%(男性16%女性12%)となりました。
衆議院選挙:野党の候補者一本化と選挙結果
讀賣・日テレ調査では、「次の衆議院選挙で、野党は、与党に対抗するために、候補者をできるだけ一本化する方がよいと思いますか、思いませんか」と尋ねています。
「(一本化する方がよいと)思う」が58%、「思わない」が29%でした。
共同調査で、「次の衆院選の結果がどのような形になるのが望ましいと思いますか」と聞いたところ、「与党と野党の勢力が伯仲する」と答えた人が51.2%と半数を超えました。「与党が野党を上回る」「与党と野党が逆転する」はともに同数の21.9%でした。
次期衆議院選挙後の政権構造
また、今後の政権構造についても取り上げています。
朝日調査で、「今後も、自民党を中心とした政権が続くのがよいと思いますか。それとも自民党以外の政党による政権に代わるのがよいと思いますか」と尋ねたところ、
「自民党以外の政党による政権」と答えた人が48%で、「自民党を中心とした政権」と答えた人の38%を上回りました。
一方、讀賣・日テレ調査では、「自民党中心の政権の継続」が44%、「野党中心の政権に交代」が37%と朝日調査とは逆の結果となりました。「答えない」は19%で、2割近い人たちが「自民党中心の政権の継続」なのか「野党中心の政権に交代」で迷っている姿が浮き彫りになりました。以 上
参考:各社の調査概要
NHK:7月5~7日、全国の18歳以上を対象にコンピューターで無作為に発生させた固定電話と携帯電話の番号に電話をかける「RDD」方法、調査対象2480人で、49%にあたる1211人から回答
朝日新聞:7月20~21日、RDD方式、全国の有権者を対象に調査した。固定は有権者がいると判明した936世帯から429人(回答率46%)、携帯は有権者につながった1614件のうち606人(同38%)、計1035人の有効回答
讀賣新聞・日本テレビ:7月19~21日、コンピューターで無作為に作成した固定電話と携帯電話の番号にかけるRDD◎方式で18歳以上の有権者を対象に実施。固定では有権者在住が判明した740世帯の中から420人、携帯では応答のあった1740人の中から611人、計1031人の回答を得た。回答率は固定57%、携帯35%。
共同通信:7月20~21日、コンピューターで無作為に発生させた番号に電話をかけるRDD(ランダム・デジット・ダイヤリング)法で実施。実際に有権者がいる世帯にかかったのは498件、うち418人から回答。携帯電話は、電話がかかったのは2701件、うち617人から回答。能登半島地震で、石川県の一部地域は調査対象から外した。
毎日新聞:7月20~21日、携帯電話のショートメッセージサービス(SMS)機能を使う方式と、固定電話で自動音声の質問に答えてもらう方式を組み合わせ、携帯507件、固定513件の有効回答を得た。
筆者 平木雅己(ひらきまさみ)選挙アナリスト
元NHK社会部記者。選挙報道事務局を長く勤め情勢分析や出口調査導入に尽力。小選挙区制度が導入された初めての衆議院議員選挙報道ではNHK会長賞を受賞。ゼネ
コン汚職事件、政治資金の不正など政治家が関わる多くの事件・疑惑も取材。
その後、連合(日本労働組合総連合会)事務局にて会長秘書(笹森清氏)として選挙
戦略の企画立案・候補者指導を担当、多くの議員の当選に尽力した。
政策担当秘書資格取得後、法務大臣/自民党幹事長代理はじめ外務大臣政務官、衆参国会議員政策秘書として、外交・安全保障、都市計画、防災、司法、治安、雇用・消費者、地方自治などの委員会や本会議質問を作成、政策立案に携わる。
この記事へのコメントはありません。