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江尻隆弁護士が元部下の女性弁護士から訴えられている事件で、原告側が訴訟記録閲覧制限の申立てに対する意見書を提出

元部下の女性弁護士から損害賠償請求を受けている江尻隆弁護士

江尻隆弁護士が、元部下の女性弁護士から婚約不履行をめぐって慰謝料等を請求されている事件で、原告代理人から訴訟記録閲覧制限の申立てに対する意見書が提出されましたので、以下で引用します。

平成26年(ワ)第9289号
婚約不履行に基づく慰謝料等請求事件
原告 森順子
被告 江尻隆
訴訟記録閲覧制限の申立てに対する意見書

2014年6月12日
東京地方裁判所民事第30部ろA係 御中
原告訴訟代理人 秋田一恵
第1 答弁
申立てには、全く理由がないので、認められるべきではない。
第2 理由
1. 申立ての理由は、
(a)「当事者間の私生活の重大な秘密」
(b)弁護士間の裁判であること
(c)メディアに取り上げられると「原、被告とも社会生活を営むのに著しい支障を生じる」

というものである。

2. (a)の理由について

(1)「当事者間の私生活上の重大な秘密」とは、恒常的に裁判所の主題である。夫婦関係、離婚関係、不貞関係、いずれも公開法廷の下で、堂々と当事者間が主張、立証して争われる主題であり、本件についても、被告の不貞行為は、ありふれた(よくある)裁判に持ち込まれる争訟に過ぎず、従って、通常訴訟の例外的取扱いを認めるようなものではない。

(2)原告側にとっても、私生活上の秘密であることは被告も認めるところであり、原告が制限を求めない以上、被告も受任すべきである。

3. (b)の理由について

(1)弁護士間の裁判だからといって、制限扱いされる理由もない。

むしろ、弁護士は、一般人と違って弁護士倫理を法律で厳しく課せられている存在なので、閲覧制限などの”特権”など享受するべきではない。

(2)原告も弁護士である点は同じであり、原告が閲覧制限を言わない以上、被告も甘受すべきである。

4. (c)の理由について

(1)メディアが関心を持つかどうかについては、原、被告間が主体ではなく、メディア主体の話である。メディアの関心とは、表現の自由、知る権利(憲法21条)という重要な人権から出ている。こうした憲法の人権上、中核的人権を軽々しく制約すべきでないことは言うまでもない。

(2)既に本件については報道されており、従って、最早、メディアにとっては本件は旧聞でもある。殊更に閲覧を制限する必要性すらなくなった。

(3)又、メディアが関心をもつことを妨げる理由としては、前述の通り、かなり根拠ある具体的な理由がなければならないが、メディアに取材をされたり、クライアントに知られたりするのは、公開法廷で裁判をする以上、当然である。もともと、閲覧制限の必要性は全くない。

第3 被告の要求が身勝手な更なる理由

1. 原告代理人は、被告に対して何回も密室解決の道を示してきた。

2. 調停の申立書すら、被告の家族に知られないように、事務所を送達先にするなど、通常では不必要なまでの気を遣ってきた。

3. 調停では、はなから男女関係について、自分の代理人(若手で、いわいる伝書鳩的役割しか担っていない)に打ち明けていなかった。

4. 調停前の話し合いでも、この調停とは違う代理人を就け、その弁護士にも不貞関係を隠したので、ことごとく話が噛み合わずに紛糾したのに、又もや、同じ轍を踏んだのであり、もともと被告は解決する気がないとしか言えない態度だった。

5. ようやく不貞関係を認めて、前記の調停の若手の代理人が話し合いに入ったが、調停委員が「伝えるのも恥ずかしい」という様なレベルの金額を提示したので、決裂した。伝えるのが恥ずかしい金額を言ったのも被告である。

6. 被告が殊更に己が身分を”弁護士だ”と言い立てるのであれば、調停に対して真摯に向き合わなければ不成立となり、裁判になることは十分、予測できるはずである。

7. そもそも調停申立書が自宅ではなく、事務所に送達された時点で、原告代理人の被告の立場を過剰な位、考えてあげた思い遣りを弁護士であれば気がつかないはずもない。気がつかないのであれば、弁護士としての能力に欠ける。

ところが、本訴になっても、まだ自分勝手さを気がつかないのか、被告は原告代理人が調停申立時に優しく思い遣りを示すと、図に乗ってくるのである。つくづく、閲覧制限の申立ては被告の不貞行為の経過を貫く、被告の自己中心性を如実に表している。互譲の精神という法律家の素養の基本がないのであるし、問題解決に向けての誠実さもないのは弁護士倫理にも欠ける。

8. 以上、何回も公開裁判によらない解決を示されても、無意味な抵抗をして解決の努力を怠った被告は、弁護士であるならば尚更、この様な申立てをすること自体を恥じるべきである。

以上

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