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報道各社7月度世論調査より~自民支持率に若干の回復基調、立民は蓮舫効果で支持率半減~

    報道各社の7月度の世論調査数値がほぼ出揃いました。初旬に公表されたNHKと時事通信社に加え、讀賣新聞社・日本テレビ、朝日新聞社、共同通信社、毎日新聞社の調査数値が公表されました。

7月度は東京都知事選挙が行われた影響もあり、各党の支持率の変動から「特徴」を読み解くことができます。きょうは岸田政権の内閣支持率と各党の支持率、衆議院比例代表選挙での投票予定数値を取り上げます。

内閣支持率

NHK(7月5~7日調査)25%、時事(7月5~8日調査)15.5%、讀賣・日テレ(7月19~21日調査)25%、朝日(7月20~21日調査)26%、共同(7月20~21日調査)24.6%、毎日(7月20~21日調査)21%(男性22%女性21%)でした。

このうち、時事以外の各社調査を、前月6月調査と比べますと、NHK、朝日、毎日で4ポイント上昇しているのをはじめ、共同と讀賣・日テレ2ポイントそれぞれ上昇しています。

NHK調査の詳報を見ていきます。7月の内閣支持率は25%でしたが、9か月連続で20%台で低迷しています。

支持政党別に見ますと、自民党の支持層の内閣支持率は6月から3ポイント下がって49%でした。自民党支持層の支持率が50%を割り込むのは、自民党が2012年12月に政権に復帰して以降、初めてです。

自民党支持層の支持率は岸田内閣発足時の2021年10月調査では73%でしたが、2023年11月以降は、50%前後から50%台前半で推移しています。

内閣不支持率

一方、内閣を支持しない=不支持率ですが、NHK57%、時事58.4%、朝日61%、讀賣

・日テレ62%、共同60.7%、毎日73%(男性75%女性71%)でした。

このうち、時事以外の各社調査を、前月6月調査と比べますと、NHKと朝日3ポイントで減少しているのをはじめ、讀賣・日テレと共同で2ポイント、毎日1ポイント(男性3ポンと、女性5ポイント)それぞれ減少しています。

内閣「不支持」率の動向は、かなりのチェックポイントとなります。「不支持」率が「支持」率の高低よりも、高い(もしくは高止まり)していると、選挙の際に一気に「政権批判票」として野党への投票動向の割合が高くなります。

かつて橋本龍太郎内閣は、98年の参議院選挙での惨敗を受け退陣しましたが、前年の消費税率引き上げ、「山一・拓銀」の廃業などの経済低迷、景気への影響から選挙前に「不支持」率が上昇傾向を見せていて、結党まもない民主党(第2期)に参院選で惨敗しました。

岸田文雄首相の自民党総裁としての続投

一方、今年9月末に自民党総裁としての任期を迎える岸田首相についても触れています。

朝日調査で「岸田さんには、総裁に再選して、首相を続けてほしいと思いますか。続けてほしくないと思いますか。」と尋ねたところ、「続けてほしい」と答えた人が18%「続けてほしくない」と答えた人が74でした。自民党の支持層に絞っても「続けてほしくない」と答えた人の割合は57%と6割近くになりました。

毎日調査でも「岸田首相が総裁に再選され、首相を続けた方がいいと思いますか」と尋ねています。「続けた方がいい」と答えた人は11%(男性12%女性10%)に対して、「交代した方がいい」と答えた人は70%(男性74%女性67%)でした。

政党支持率 

主な政党の支持率の動きを見ていきましょう。

自民の政党支持率は、共同で33%となっているのをはじめNHK28%、朝日と讀賣・日テレで24%、毎日21%(男性23%女性20%)、時事16%となっています。共同でプラス7ポイント上昇したのをはじめ、朝日プラス5NHKと毎日でプラス3(男性プラス6女性プラス1)と支持率は若干持ち直しています。

時事では横ばい、讀賣・日テレではマイナス1ポイントでした。

立民は、毎日14%(男女ともに14%)、共同10%、時事6%の他は、NHK、朝日、讀賣・日テレともに5%でした。

しかし、最も高い毎日でもマイナス3ポイント(男性2ポイント、女性4ポイントの下落)となったのをはじめ、朝日もマイナス3、共同でマイナス2となった他、NHKではマイ

ナス5ポイントと前月の支持率から半減しています。

この調査結果について、複数の立民国会議員は「やはり蓮舫氏が都知事選で偏った支持層をターゲットにして惨敗したことが党の支持率下落に影響している」と述べています。

日本維新の会は、毎日8%(男女ともに8%)、共同6.6%、讀賣・日テレ5%、NHK3.6%、朝日3%、時事2.4%と各社ともに横ばいでした。

一方、「無党派層」「支持する政党なし」と回答した人の割合は、時事で64に達したのをはじめ、讀賣・日テレ54%、朝日51%と半数を超える調査もありました。また、NHKでも47%と前月よりも3ポイント増えています。毎日は33%、共同30%でした。

衆議院比例代表選挙での投票予定政党

「次の衆議院選挙、比例代表でどの政党に投票するのか」投票予定の政党について4社が調査しています。

「自民へ投票する」と回答したのは、共同31%、朝日29%。讀賣・日テレ27%、時事23となっています。このうち、前月調査と比較できる社の調査数値を見ていきますと、共同で8ポイントプラス、朝日5ポイントプラスですが、讀賣・日テレはマイナス2ポイントでした。

「立民へ投票する」と回答したのは、共同15%、朝日14%、時事と讀賣・日テレで12%でした。共同ではプラス1ポイントなっているものの、朝日はマイナス5ポイント、讀賣・日テレはマイナス2ポイントでした。

「維新への投票する」と回答したのは、讀賣・日テレと朝日で11%と前月に比べて1ポイント増えたほか、共同は9%で横ばい、時事は6.3%でした。

「決めていない」と回答した人の割合は、共同30%、朝日22%、讀賣・日テレ21%でした。

岸田文雄首相は、9月末に自民党総裁としての任期を迎え、総裁選は9月中に行われる見通しです。また、立民の泉健太代表、公明も山口那津男代表もそれぞれ9月末が代表とし

ての任期です。

3党のトップが交代するのかどうか、早ければ「10月にも解散・総選挙の可能性」(ベテラン参議院議員)の可能性も指摘されています。

「内閣支持率・不支持率」そして「各政党の支持率」と「衆議院比例代表選挙での投票予定」の調査数値は、今後、一層注目されます。以 上

参考:各社の調査概要

NHK:7月5~7日、全国の18歳以上を対象にコンピューターで無作為に発生させた固定電話と携帯電話の番号に電話をかける「RDD」方法、調査対象2480人で、49%にあたる1211人から回答

時事通信:7月5~8日、調査は全国18歳以上の2000人対象、個別面接方式。有効回収率は58.4%。

朝日新聞:7月20~21日、RDD方式、全国の有権者を対象に調査した。固定は有権者がいると判明した936世帯から429人(回答率46%)、携帯は有権者につながった1614件のうち606人(同38%)、計1035人の有効回答

讀賣新聞・日本テレビ:7月19~21日、コンピューターで無作為に作成した固定電話と携帯電話の番号にかけるRDD◎方式で18歳以上の有権者を対象に実施。固定では有権者在住が判明した740世帯の中から420人、携帯では応答のあった1740人の中から611人、計1031人の回答を得た。回答率は固定57%、携帯35%。

共同通信:7月20~21日、コンピューターで無作為に発生させた番号に電話をかけるRDD(ランダム・デジット・ダイヤリング)法で実施。実際に有権者がいる世帯にかかったのは498件、うち418人から回答。携帯電話は、電話がかかったのは2701件、うち617人から回答。能登半島地震で、石川県の一部地域は調査対象から外した。

毎日新聞:7月20~21日、携帯電話のショートメッセージサービス(SMS)機能を使う方式と、固定電話で自動音声の質問に答えてもらう方式を組み合わせ、携帯507件、固定513件の有効回答を得た。

元NHK社会部記者。選挙報道事務局を長く勤め情勢分析や出口調査導入に尽力。小選挙区制度が導入された初めての衆議院議員選挙報道ではNHK会長賞を受賞。ゼネ

コン汚職事件、政治資金の不正など政治家が関わる多くの事件・疑惑も取材。

その後、連合(日本労働組合総連合会)事務局にて会長秘書(笹森清氏)として選挙

戦略の企画立案・候補者指導を担当、多くの議員の当選に尽力した。 

政策担当秘書資格取得後、法務大臣/自民党幹事長代理はじめ外務大臣政務官、衆参国会議員政策秘書として、外交・安全保障、都市計画、防災、司法、治安、雇用・消費者、地方自治などの委員会や本会議質問を作成、政策立案に携わる。

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