2024年12月1日、米国のジョー・バイデン大統領(82歳)は、刑事裁判2件で有罪となっていた次男ハンター氏(54歳)について、恩赦を与えたと発表した。
恩赦はハンター氏が「2014年1月1日から2024年12月1日まで」に犯した可能性のある連邦罪を対象とする。
この期間にはハンター氏がウクライナのガス企業ブリスマの役員を務めた時期すべても含まれている。ハンター氏は外国との商取引で疑惑の目を向けられていた矢先だった。
ハンター氏に対しては量刑言い渡しが今月予定されていた。
〈バイデン大統領「恩赦をするつもりはない」と述べていたのに…〉
バイデン大統領は6月、ハンター氏が銃の購入などをめぐって連邦法に違反したとして有罪評決を受けた際、量刑を軽くするために大統領権限を行使することはないと述べていた。
ホワイトハウスの報道官も9月に、大統領は息子に恩赦を与えるつもりはない、トランプ氏が大統領選に勝利した後も含め、ハンター氏の恩赦や減刑は行わないと明言してきただけにこの度の恩赦は米国に衝撃をあたえた。
バイデン氏は1日、
「政治がこのプロセスに影響を与え、司法の誤りを招いた」
つまり政治的圧力が「誤審」につながったため、この決断を下したと説明した。
バイデン氏はこの決断を下すことを悩んだとし、
「この週末にこれを決断したからには、これ以上遅らせる意味はなかった」と付け加え
「父親として、大統領として、なぜこの決断に至ったのか、米国民が理解してくれることを願っている」と、
バイデン氏は米国民に理解を求めた。
恩赦を受けたハンター氏は、自分が依存症に苦しんでいた最も暗い日々に犯した過ちが、政治的争いのために、家族に「公に屈辱を与えて恥をかかせるために利用された」と話し、
「私は今日与えられた恩赦を、決して当然のこととは思わず、私が再建したこの人生を、今も病気で苦しんでいる人々を助けることにささげていく」と述べた。
〈ジル・バイデン夫人の働きかけか〉
また、これについては、12月2日、CNNの国内問題担当主任記者ジェフ・ゼレニー氏曰く
「明らかに家族内で圧力があった。ここ数週間、ジル・バイデン大統領夫人(73歳)が大統領のこのような行動をするよう協力的だったと聞いている」
と明かした。
夫の大統領在任中、夫とメディアとの接触を制限してきたことで評判が高まった一方、義理の息子の明らかな精神的衰弱を国民から隠そうとしたとの非難を浴びている。
〈トランプ氏は「連邦議会襲撃で服役中の私の支持者も恩赦に含めろ」と揶揄〉
ハンター氏に恩赦が与えられたことについて、来年1月20日に大統領執務室を引き継ぐドナルド・トランプ次期米大統領は、
「ジョー(バイデン)がハンターに与えた恩赦(の対象)には、何年も収監されている(2021年1月6日の米連邦議会議事堂襲撃事件に絡む)人質(襲撃に参加し逮捕され服役中のトランプ氏の支持者たち)も含まれているのか? なんという司法の乱用と誤りなんだ!」と述べた。
ハンター氏の恩赦がトランプ次期大統領によって取り消されることは出来ない。
〈米国民は、民主党バイデン大統領に嘘をつかれ裏切られた〉
任期満了前の身内に対する大統領権限行使ではないかとの疑念が巻き起こり民主党からも反発の声が上がっている。
何よりも米国民は、バイデン氏がハンター氏に対して恩赦をするつもりはないと言っていただけに嘘をつかれたことになる。
〈ハンター氏の犯罪〉
ハンター・バイデン氏は2024年6月、銃の購入や所持をめぐる3件の連邦法違反の事件で有罪評決を受けた。
現職の米大統領の子息が刑事裁判で有罪とされたのは初めてのことである。
2018年10月に拳銃「コルト・コブラ・スペシャル・リボルバー」を購入した際、自身の薬物依存を申告せず「違法薬物の違法使用者や常習者」ではないと虚偽申告したとされる。デラウェア州の連邦地裁の陪審が2024年6月に有罪評決を下した。
また、2016~2019年分の税金少なくとも140万ドル(約2億1千万円)の支払いを怠り、麻薬や買春、高級ホテル滞在などに使っていたことが判明。
2023年に重罪3件、軽微な罪6件の計9件の罪で起訴され、2024年9月に罪を認め有罪となった。
〈米国大統領、身内への恩赦は過去にもあった!〉
米国大統領が自分の親族らに恩赦を与えたのは、今回が初めてではない。
2001年、当時のビル・クリントン大統領は、1985年にコカインに関連した罪で有罪となった異父弟の故ロジャー・クリントン氏に恩赦を与えた。
2020年には、当時のトランプ大統領が長女イヴァンカ氏(43歳)の夫の父親チャールズ・クシュナー氏(70歳)に恩赦を与えた。トランプ氏は先月30日、駐フランス大使にクシュナー氏を起用すると発表している。
〈2021年合衆国議会議事堂襲撃事件とは?〉
2021年1月6日に合衆国議会で起きた政治的な暴動事件。当時の大統領であったトランプ氏の一部の過激な支持者らが、「2020年の合衆国大統領選挙で選挙不正があった」と訴えて、合衆国議会(連邦議会)が開かれていた議事堂を襲撃した。
この襲撃の目的は、
・選挙人投票の集計の妨害
・米議会と副大統領のマイク・ペンス(65歳)に大統領選の結果を覆すよう要求すること
・トランプ政権の継続を要求すること
である。
合衆国議会議事堂では、前年の大統領選挙に基づく各州の選挙人の投票結果を認定し、選挙に勝利したジョー・バイデン氏が次期大統領に就任することを正式に確定しようとしていた最中であり、トランプ氏は、ペンス氏が選挙結果を覆す権限を持っていると主張し、彼にその行動を求めたが、ペンス氏はこれを拒否。
その結果、トランプ氏の支持者たちはペンス氏を裏切り者と見なし、議会襲撃の際に彼を標的にした。
トランプ氏の支持者は大挙して議事堂を襲撃。現場で4人が死亡し、意識を失った警官が翌日に死亡する事態となった。
この事件は、米国の民主主義に対する重大な挑戦として広く報じられ、多くの議員や市民に衝撃を与えた。
参考サイト:さくらフィナンシャルニュースnote
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