10月15日公示、27日投開票の予定で実施される衆議院選挙に向け、8日までに日本維新の会、公明党、立憲民主党、国民民主党が公約を発表しました。
それぞれの政党の公約をまとめます。
維新 「政治改革」と「現役世代への徹底投資」
【参考資料1:維新 衆院選政策集】
日本維新の会は10月3日、衆議院選挙の公約を発表し、世襲の制限や議員の定数削減などの政治改革に取り組むほか、若い世代に過度な負担になっている社会保障制度を徹底的に見直すなどとしています。
日本維新の会の馬場伸幸代表は3日、「政治改革」と「現役世代への徹底投資」を柱とする衆議院選挙の公約を発表しました。
公約では「自民党の裏金問題に見られる政治腐敗を根絶する」として企業・団体献金を全面的に禁止する法整備を進めるとともに、党から議員に支給される政策活動費を廃止するとしています。
議員の世襲を制限するため、政治団体の資金を親族間で移動することを規制するほか、議員の報酬を大幅に減らし、一院制も視野に議員定数を大胆に削減するとしています。
また、若い世代に過度な負担となっている社会保障制度を徹底的に見直すとして年金を抜本改革し、世代間格差の生まれない「積み立て方式」などを導入するほか、高齢者の医療費の窓口負担を原則3割に引き上げ、子どもの医療費の無償化にも取り組むと明記しています。
このほか消費税や所得税、法人税を減税し、簡素で公平な税制を目指すとしているほか、国民の負担増に頼ることなく、防衛費をGDPの2%程度まで増額することなどを掲げています。
馬場代表は「これまで日本維新の会は、政策を国政選挙ごとにブラッシュアップしてきている。可処分所得を増やして現役世代や子育て世代をサポートし、そういった方の消費を
増やして経済を成長させていきたい」と述べました。
公明 政治改革 進める姿勢を強調
【参考資料2 公明 衆院選政策集】
公明党は、10月7日、衆議院選挙の公約を発表しました。政治とカネの問題を受けて政治改革を進める姿勢を強調し、党から議員に支給される「政策活動費」の廃止などを打ち出しています。
公約では、政治とカネの問題を受けて「令和の政治改革」を断行するとした上で、公明党が結党以来重視する「クリーンな政治」の実現を掲げています。
具体的には、党から議員に支給される「政策活動費」の廃止を明記した上で、政治資金をチェックする独立性の高い第三者機関を設置するとしています。
また、旧「文書通信交通滞在費」、現在の「調査研究広報滞在費」は使いみちを公開し、未使用分を国庫に返納させるため来年の通常国会までに法改正を目指すとしています。
経済対策では、物価高の影響が大きい低所得世帯や年金受給者を対象に給付金を支給するほか、電気・ガスやガソリンの価格を抑えるための支援を続けるとしています。
最低賃金も引き上げ、5年以内に全国平均で時給1500円の達成を目指すとしています。
防災対策では、「防災庁」の設置や避難所の環境改善などを盛り込んでいます。
また、子ども・子育て政策では、所得制限を撤廃して高校の授業料の実質無償化を進めるほか、出産費用についても実質無償化を目指すなどとしています。
一方、憲法改正に対する考え方は、今後、追加で発表するということです。
岡本三成・政務調査会長は記者会見で「今回の選挙で問われているのは、どの党が政治改革を断行し、クリーンな政治の実現をリードしていけるかだ。明るい未来を一人一人が実現できるような環境づくりを進めていきたい」と述べました。
立民 企業・団体献金禁止や政策活動費廃止
【参考資料3 立民 衆院選政策集】
立憲民主党は10月7日、衆議院選挙の公約を発表しました。政治の信頼回復に向けて、
企業・団体献金の禁止や政策活動費の廃止を打ち出しています。
立憲民主党は「政治の信頼回復」や「分厚い中間層の復活」など、7つの柱からなる公約を発表しました。
この中では、自民党の政治とカネの問題を念頭に「政権交代こそ最大の政治改革だ」と強調しています。
そのうえで政治の信頼回復に向け、企業・団体献金を禁止し、政策活動費を廃止するほか、政治家のなり手を多様化し、政治に民意を反映するとしています。
また、経済対策として、最低賃金を1500円以上に引き上げ、環境エネルギーやデジタル産業などへの投資を重点的に行うとしています。
このほか、日米同盟を基軸とした安定した外交・安全保障政策を推進し、急増した防衛予算を精査して防衛増税は行わないとしています。
社会保障政策では、マイナンバーカードと一体化した「マイナ保険証」の利用率が低迷する中、国民の不安が払拭(ふっしょく)されるまでは今の保険証を存続させるとしています。
また、低所得の高齢者の年金に一定額を上乗せして給付する制度を設けるとしています。
さらに教育分野では、公立小中学校の給食費を無償化するとともに、国公立大学の授業料を無償化し、私立大学や専門学校は、国公立大学の授業料と同額程度の負担軽減を行うとしています。
このほか、能登半島の被災地復興のための速やかな補正予算の編成や、選択的夫婦別姓制度の早期実現なども盛り込んでいます。
立憲民主党・野田佳彦代表は、「今年6月に政治資金規正法の改正が行われたが、中身はほとんど改革の名に値しないもので再改正をしなければならない。まず一番は政治改革で、政治を正さなければ日本はよくならない。ここからまず始めなければならない」と述べま
した。
国民 “令和の所得倍増計画を実現する”
【参考資料4 国民 衆院選政策集】
国民民主党は、10月8日、衆議院選挙の公約を発表しました。「令和の所得倍増計画」を
実現するとして、賃上げを促進し、消費税を減税するとしています。
公約では「『令和の所得倍増計画』で消費と投資を拡大し、持続的な賃上げを実現する」として、消費税を減税し、現役世代の社会保険料を軽減するとしています。
また、所得税の基礎控除などの拡充、子どもがいる親の所得の一部を控除する年少扶養控除の復活も盛り込んでいます。
さらに、家計支援としてガソリン代や電気代の負担軽減に取り組むほか、子育て世帯を支援するため、年間5兆円の「教育国債」を発行し、子育てなどの予算を倍増するとしています。
また、高校までの授業料を完全無償化するとしています。
エネルギー政策では、原子力発電所の建て替えや新増設を推進するとしています。
さらに政治とカネの問題を受け、政党から議員に支給される「政策活動費」を廃止し、政治資金をチェックする第三者機関を来年3月までに設置する、としています。
このほか政治への参加を広げるため、インターネット投票の導入、被選挙権の18歳への引き下げも打ち出しています。
国民民主党の・玉木雄一郎代表は「賃金が上がっても、税金や社会保険料負担がそれ以上に上がって手取りが増えないと持続的な賃上げが実現できない。政治の役割は国民のふところを豊かにすることであり、手取りを増やす経済政策をしっかり進めていきたい」と述べました。以 上
筆者 平木雅己(ひらきまさみ)選挙アナリスト
元NHK社会部記者。選挙報道事務局を長く勤め情勢分析や出口調査導入に尽力。小選挙区制度が導入された初めての衆議院議員選挙報道ではNHK会長賞を受賞。ゼネコン汚職
事件、政治資金の不正など政治家が関わる多くの事件・疑惑も取材。
その後、連合(日本労働組合総連合会)事務局にて会長秘書(笹森清氏)として選挙戦略の企画立案・候補者指導を担当、多くの議員の当選に尽力した。
政策担当秘書資格取得後、法務大臣/自民党幹事長代理はじめ外務大臣政務官、衆参国会議員政策秘書として、外交・安全保障、都市計画、防災、司法、治安、雇用・消費者、地方自治などの委員会や本会議質問を作成、政策立案に携わる。
☆出稿資料☆
241008出稿資料1 維新:衆院選政策集
241008出稿資料2 公明:衆院選政策集
241008出稿資料3 立民:衆院選政策集
241088出稿資料4 国民:衆院選政策集
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