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【根本良輔の経済教室】財務省と経団連が日本をダメにした理由――緊縮財政の正体とその代償

2020年、安倍政権は新型コロナウイルスに対する経済対策として事業規模234兆円と大々的に発表した。しかし、その実態は大きく異なっていた。新規国債発行額はわずか57.6兆円。残りは既存予算の付け替えや貸付金、感染症予備費など、実質的な経済対策とは言い難い内容が含まれていた。

金融緩和によって景気が上向いたとされるが、実際には企業が資金を借りたがらないデフレ下では、いくらマネタリーベースを増やしてもお金は市中に出回らず、経済は回復しない。消費税の増税も重なり、むしろ景気は冷え込み、企業や国民の生活を圧迫した。

日本が他国と比べていかに財政出動が弱かったかは、アメリカの320兆円規模の財政支出や、イギリスの法人税免除・給与の8割補償といった対策を見れば明らかだ。緊急事態でも緊縮を貫く財務省と、それに追従する政治家たちは、実質的に経済を破壊し、自殺に追い込まれた人々もいた。

安倍政権は、布マスク配布などで世界的な失笑を買い、個別補償は困難という姿勢を示した。背景には財務省の強い意向があった。彼らは「健全な財政」という曖昧な理念を掲げ、プライマリーバランスの黒字化や国の借金削減を目標にしているが、これはデフレ下では完全に間違っている。

財務省の起源は明治時代の大蔵省に遡り、ノーパンしゃぶしゃぶ事件などの不祥事を経て2001年に現在の名称となった。その設置法には「健全な財政」「信頼の維持」など抽象的な文言が並び、それを根拠に財務省は恣意的に財政方針を操作している。

本来の健全な財政とは、完全雇用と実質所得の上昇、インフレ率2%の達成であり、財政赤字や国債残高の削減ではない。政府の赤字は民間の黒字であり、逆に政府が黒字を目指すと国民が貧しくなる。

それにもかかわらず、財務省は「国の借金」や「将来世代へのツケ」といったレトリックを駆使し、国民を洗脳してきた。現実には日本の国債の大半は国内の金融機関や日本銀行が保有しており、デフォルトの可能性はゼロに等しい。

実際、2002年に財務省自身が格付け会社に「自国通貨建ての国債のデフォルトは考えられない」と通達している。変動相場制を採用している日本では、通貨発行権がある限り財政破綻は起こらない。

問題は、こうした真実が国民に共有されず、緊縮財政が正しいという誤った認識が根強いことにある。税金は財源ではなく、インフレ調整や所得再分配といった機能を担っている。支出が先、課税が後という「スペンディング・ファースト」が現実であり、「税収がないから支出できない」は間違いだ。

消費税はとくに悪質な税であり、物を買うこと自体に罰金を課す仕組みである。デフレ下でこれを導入・増税するのは、まさに経済を壊す行為に等しい。

こうした誤解を正す鍵となるのが、現代貨幣理論(MMT)だ。MMTは、政府の支出は税収に依存せず、インフレ率を上限とする支出が可能であるとする理論であり、日本のように供給能力が高い国では十分適用可能な考え方である。

家計と政府を同一視するミスリード、プライマリーバランス黒字化への盲信、そして財務省と経団連の既得権益のためのプロパガンダ。これらが30年間日本経済を停滞させてきた真犯人である。

国民がこの構造に気づき、正しい経済政策を求める声をあげること。それが日本再生の第一歩である。

コラムニスト:根本 良輔(ねもと りょうすけ、1994年6月21日)
東京都練馬区出身。くりのみ保育園、大泉南小学校、大泉第二中学校卒業。石神井高校、芝浦工業大学を卒業後、東京大学大学院へ進学し(のち中退)、電気工学の研究に従事する。会社経営者、政治活動家、つばさの党幹事長。二児の父。

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