2024年5月11日 土曜日の昼下り、東村山市立中央公民館3階の大ホールに地元民が受付開始時間前から押し寄せた。何度も昇降するエレベーターを待つのも億劫と、高齢にも拘わらず、急な階段を登り切る人も多かった。東村山市議会議員小林美緒氏の司会で幕を開けた『東京都第20区小選挙区東京投票連絡会議〜今なぜ憲法改正が必要なのか』始まり1番「皆様ご起立下さい」『国歌斉唱』違和感なく言われるがままに斉唱する支持者達。
国家斉唱が終わると東京都第20区小選挙区東京都投票連絡会議代表を務める、自民党衆議院議員木原誠二氏(53歳)が直ぐ様壇上に上がった。
「憲法は国の最高法規。憲法改正は国民に判断を頂いてから決めるもの、しかしながらその選択肢すら与えて来なかった。国民主権だとか、人権の尊重であるとか、平和主義である、こういう憲法の三大権利と言われるもの 、これは変えてはならない。だが、時代は変わった。このゴールデンウィーク、私はサイバーセキュリティの協議の為にオーストラリア政府の招致を受けて渡豪した。5人の大臣と協議をしたが、どの大臣からも必ず出る名前が中国だ。中国、ロシアが日本の隣国。尖閣を、南西諸島を、一体誰が守っているのか?私共は自衛隊をしっかりと憲法に明記して行こうと言うことを申し上げておく。」
「9年前、安倍総理が平和安全法制というものを作っていて原点的な集団自権、これを初めて法制度的に認めることができた。 その後、岸田総理の下では、反撃能力を保持しよう、という方向になってきているが、いずれの時も憲法の論議が一番中心だった。」
「大学の教科書、依然として自衛隊は違憲だということが書かれている教科書が多数ある。(日本医師会会長)松本(吉郎)会長にも申し上げたが、 コロナの後、次のパンデミック、感染症があったとき、あるいは自然災害のとき、どういう風に対応していくのかを医師会の先生方を交えて緊急事態条項、憲法改正を含めてしっかりと議論していく。私達も一気に憲法を変えていくのではなく、少しずつ、少しずつ変えていく。」
自民党の掲げる憲法改正草案の大きな点は4つ。
◆自衛隊の活動や統制など国際社会に理解を得られるように
「憲法に自衛隊を明記」
◆巨大自然災害等に、迅速な対応が出来るようにするという
「緊急事態対応」
◆地方の声を反映しやすくするための
「合区解消・地方公共団体」
地方政治に権力を与えること。
◆教育学充実の必要性
「教育充実」
結局のところ自民党としては、憲法を最終的には全部変えていきたい構えで、段階を徐々に踏まえていくのは国民騙しの手段にしか見えない。
それもそのはずだ。これまでの自衛権に加えて反撃能力をつけると、これまでより一層国民から死者が出ることをわかっていないわけではない。
それにもし緊急事態条項やパンデミック条約が成立してしまうと、有事の際に国民には選択肢が無くなりかねない。だがそんなことは一切口にはせず、このような手段を取るのだ。
木原氏は応援を頼んだ日本医師会会長、松本吉郎氏(69歳)に憲法改正の必要性を聞く。彼と木原氏は無二の親友という。
松本吉郎氏と言えば2023年に提唱した『改定財源、自然増5200億円と「別枠」で確保』とは、日本医師会が医療費の自然増分としてこの莫大な予算5200億円を確保することを求めている政策提案である。この財源は消費税の引き上げ等で吸い上げる計画のようだ。
松本氏
「憲法改正について賛否両論あるが、私が 一番強く感心したのはやはり読売新聞の世論調査では63%の国民の方が憲法改正が必要だと言っていて、これは読売新聞の統計では過去2番目に高い結果と言われている。」
と自信を表した。(北朝鮮ミサイル発射の後に取った統計と予想。調査期間2024年3月12日~4月18日、※ミサイル発射日3月18日,4月2日,12日,22日)全国の有権3000人を対象に実施し、2002人から回答を得た(回答率67%)。
松本氏
「日本の人口統計では、2050年、今後26年後には、約日本人の人口が2100万人と、かなり大きな変化がある状況。来年は戦後80年を迎え現憲法も77年。人間にすれば喜寿を迎える基本的人権尊重平和主義。しかし今日我が国を取り巻く様々な、今申し上げたような環境の中で一度むしろ憲法に自衛隊の規定がないことによって、万が一の事態に日本の平和、安全、国民の命を守りきれるのかと思っているところである。」
松本氏は演説を終え退席すると、すかさず駆け寄りホール外に出る木原氏、親友と軽く挨拶を交わしたのであろう、数分経った後ホールに再び戻る木原氏。
また、来賓である日本会議東京本部北多摩支部長 濱島光雅氏も壇上に上がり
「『 国民の命と生活を守る日本武道館 1 万人大会』が(5月30日)開催、その手伝いもしている。この大会の主催は 日本医師会の松本会長が発言者だが、感染症に強い日本、自然災害に強い日本にするために、緊急事態情報を憲法に入れる。」とし、
「皆さんご存知のように 現在日本は領空侵犯を1日 3回受けている。その度に自衛隊が緊急発進。年間にすると約1000回以上領空侵犯の6割は中国、3割はロシア。この安全を命だけで守っているのが自衛隊。この自衛権を憲法に明記する。ということが自民党の憲法改正案。」と会場にいる人達に理解を求める挨拶をした。
ここで主な来賓者の紹介が続く。
日本医師会 松本吉郎会長
日本会議東京本部 濱島光雅 北多摩支部長
東京都市長会会長 東村山市 渡部 尚市長
武蔵村山市 山崎 泰大市長
東大和市 和地 ひとみ市長
東久留米市 冨田 竜馬市長
清瀬市 瀬谷 真副市長
武蔵村山市 医師会 半田 浩一会長
公益社団法人 日本歯科医師会 小玉 剛常務理事
東京都柔道整復師会 北多摩支部 西村 俊幸副支部長
東大和市 商工会 高橋 昭会長、以下東京都第20区小選挙区商工会からの来賓が目立った。
来賓者が客席に会釈を終えたあと、本日のメインイベント、櫻井よし子講演会だ。現れた櫻井氏、背筋を伸ばし、セットした髪をなびかせ、パンプスを履きストライプのワンピースに白のジャケットでさっそうと現れ会場のどよめきと拍手が湧く。到底78歳とは思えない。国旗儀礼をする櫻井氏に、壇上の緞帳から半分姿を見せた木原氏も礼をする姿が覗けた。
櫻井氏はのっけから民衆をアクティブラーニングにより揺動する。
「憲法改正について必要だと思う皆さん手を上げて!ほぼ全員が上げて下さった…皆さんに憲法改正がなぜ必要か話すと40分貰っている時間だが、40時間くらいかかかるので、ここでは話さず根本的な話をしていく。」
と挙手を取って軽く民衆を掴んだ上で、日本の国がこれまでどんなに素晴らしいかを妖艶な口調で話し出した。
「私達は食べるものに困らない。水も豊か。お金もあります。でも…足りない物があるでしょ?」
櫻井氏は、ワンクッション置いたところで子供を寝かしつけるような静かな口調で語りかける。
「それは国家の役割を考えて見たときにすぐわかる。国民を守ることでしょ。国土を守ること。そして国民が豊かに暮らして行けるようにすること。」
「我が国の隣には中国がいる。安全でないことは誰もが理解している。昔の憲法を読んでみると…平和を愛する諸国民の公正と信義に信頼して、われらの安全と生存を保持しようと決意した…私達の安全と命もこの世界に預けよう、(なんて)アホとちゃうかと!」
櫻井氏「9条の1項は、我が国はもう侵略戦争をしないということだから、これは大事にしよう。」
櫻井氏は続ける
「問題は第2項。陸海空軍 、その他の戦力はこれを保持しないと書いてある。陸海空軍 、三軍全部持たない。国家は必要に応じて戦わなければいけない事がある。立憲民主党や共産党の言うように話し合いで解決するんだったらそれはそれでいい。でも、話し合いだけで解決するには…限界があるでしょ!…あると思ったら拍手すんのよ!」
慌てて民衆が拍手をすると、櫻井氏は満面の笑みを浮かべた。
「この世界がお花畑でないことはプーチン、習近平、金正恩を見ればわかる。」
櫻井氏は続ける。
「金正日の時代から金正恩の今の時代までどれだけ私達は重油や軽油、お米を渡したりもう本当に色々なことをして来た。だから、(その代わりに)拉致被害者を返してくれ、と。歴代の政権は真剣に拉致被害者を取り返そうと頑張って来た。岸田総理は、金正恩と自分が直接会って話したいと直轄のチームで交渉してるけど…でもあの氷のような顔をした金与正が出て来る。あの人が、とんでもない思い違いをするなと酷い言葉を我が国に投げつけた。でも、中国や北朝鮮は捉えていたアメリカ人は解放する。」
「私達の国は戦後アメリカにこんなくだらない憲法を作ってもらったから、もう日本政府は軍事力持たなくていい、国際社会を信じてあなた方の命までお預けしなさい、という憲法を書かれてしまったから、80年間も、経済に軍事という事を忘れてしまった。」
櫻井氏は、更に、会場に杖をつき足を運んで来たお年寄り達にさえ、こう話す。
「サッカーの試合ってボールを蹴ってゴールに入れるでしょ?」
「サッカーの試合に選手防衛を受ければとにかく自分たちはボールを蹴っちゃいけない」
「ひたすら守って、守って、守り通す。アホちゃうか!」
「選手防衛というのは、 国民の皆さんが何千人か何万人かまず死ぬ。つまりそこから反撃出来る、ということ。」
物騒な事を言うと思いきや、櫻井氏は訪れた聴衆をホラー映画に引き込むかのよう、やおら力を込めて言う。
「戦争を起こさないように相手を威しをかけなきゃいけない。抑止力というのは、強い軍事力を持つと言うこと。こんな攻撃を彼らに与えたら、もっと強い力で反撃するよ?と。」
櫻井氏は核の脅威について説明する。集まって来た東村山市住民の恐怖を煽り、憲法改正に持って行きたい構えだろうか。
「国際秩序、民主主義、そして透明性、国際法を守る、人道を守る、少数民族を守る、各民族の宗教、文化、言語、我々の価値観、中国とは違う、ロシアとは違うということを言ったために日本は生まれ変わったような国となってアメリカと共に世界を守るという決意表明を実行しなければこれは鳩山さんと同じルーピーになる。岸田さんは憲法改正をやってくれる。だから私達は今、岸田政権をじっと見守りたい。」
櫻井氏は、講演会での発言が特に物議を醸すことがある。彼女はしばしば、架空の敵国や広島への原爆投下、核兵器の破壊力を引き合いに出し、国の軍事力増強を訴える。
「あなたは祖国のために戦えますか」
と挑発的な問いを投げかける櫻井氏に対し、Z世代の若者たちは反発。
「おまえが先頭を切って戦場に行け」
「老人が若者を犠牲にするな」
という批判が相次いだ。SNS上では彼女の発言が火種となり、
「統一教会とベッタリの自称愛国者」
「韓国スパイ疑惑はどうなった。いつになったら告訴するんだ?」
といった厳しいコメントが目立ち、大きな議論となっていたのだ。
事実、櫻井氏は英字新聞クリスチャン・サイエンス・モニター東京支局に努めているが、ここの会社が統一教会系の会社だというのだ。英字新聞クリスチャン・サイエンス・モニターは、世界基督教統一神霊協会系出版社である世界日報社と提携している(世界日報社のHPには「※世界日報社は米紙クリスチャン・サイエンス・モニターと提携しています。」と表記されていた)
また、櫻井氏は、木原氏に対して意味深発言を行った。
「私はこの人、嫌いなの。だってオイタが過ぎるから。」
会場は苦笑に包まれたが、オイタとは、皆が知っての通り、『木原事件』を指していることは間違いないだろう。
安田種雄さん(享年28)の死を巡り、種雄さんの妻だった女性がこの事件後、木原氏と再婚したのだ。2018年に大々的に再捜査が始まるも、突然打ち切りになってしまうという未解決事件である。種雄さんのご遺族が未だに犯人を探しているのに、一連の事件それがオイタで片付けられてしまうなんてなんともやりきれないものだ。
何よりも、武器を構えての威し外交では、当然ながらそれは冷戦であり、平和な世の中とは考えにくい。
参考サイト:
自民党憲法改正実現本部
国民の命と生活を守る日本武道館一万人大会のご案内
Wikipedia 櫻井よし子
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