【5月3日、さくらフィナンシャルニュース=東京】
●厚労省という組織の体質
川村 なぜ、そのようなことが起こるのでしょうか。
郷原 一言でいえば、厚労省という組織の体質です。
とにかく、誤りを認めない、無謬性にこだわる。だから、何か誤りや間違いを指摘されても、その場しのぎの屁理屈で、間違っていないことにして乗り切ろうとする。さらに、そうすることで、ツギハギの屁理屈が積み重なり、事態はますます混乱する。その繰り返しです。これは年金局に限らず、厚労省全体に言えることです。
ノバルティスファーマのディオバン問題への厚労省の対応にしてもそうです。そういう厚労省の姿勢、体質をそのままにしておくと、どこかでまた大きな問題が起きるのではないかと危惧しているわけです。厚労省は年金だけでなく国民の命も預かる役所であるだけに、その行政の在り方は国民にとっては重大な問題です。
川村 運用3号問題は、年金業務監視委員会が厳しく追及した結果、国会でも大きく取り上げられ、廃止になったわけですが、そうした重要な役割を果たしてきた年金業務監視委員会を、総務省はなぜ廃止したのでしょう。
郷原 総務省にとっては、年金問題で厚労省の行政に口を出すことは、もともと本意ではなかった。社保庁の問題などの年金不祥事が相次いだことから、関わらざるを得なかったのですが、安倍政権も政治的に安定し、国会での追及を恐れることもなくなり、官僚にとっては大変やりやすい状態になった。
●ちょうど設置期限が切れた
これ以上、年金問題などを抱え込みたくない—-ということで、ちょうど設置期限が切れたので、延長の措置をとらずに、そのまま委員会を廃止したということでしょう。
川村 問題の多くは、ほとんど解決されていないように感じますが。
郷原 その通りです。年金業務監視委員会の廃止寸前の時期に、失踪宣告と年金の消滅時効をめぐる問題を、取り上げました。3年程前、長期間所在不明の高齢者に老齢年金が支払われ続けていることが社会問題になった際に、失踪宣告を受けた人の遺族年金の時効に関して解釈変更が行われた。それは、民法の失踪宣告や時効に関する規定に反するものです。
最後の年金業務監視委員会でも、その問題を取り上げ、厚労省を追及しましたが、結局、委員会が廃止されたことで中途半端なまま終わってしまいました。(平成26年3月28日 平成25年度第6回年金業務監視委員会)。これらについては、次回以降、順を追ってお話したいと思います。
かわむら・まさよ/1966年、静岡県出身。名城大学法学部卒業後、中部経済新聞社を経て、日刊ゲンダイ、ロイター通信、週刊文春、AERA、週刊朝日などで敏腕記者として活躍する。経済産業省や財務省などの経済官庁を中心に強いパイプを持つ。2011年よりフリーランスとして活動。【了】
引用元:wikipedia
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