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【全米の大学から言論の自由が無くなる? トランプ派ステファニク議員の反シオニスト狩りに反対運動勃発】

ガザの戦争に関連したキャンパスの政治問題に関する前回の議会公聴会から4か月が経ち、その間コロンビア大学はキャンパスでの抗議活動を抑制しようとしてきました。

昨年2023年12月から行われてきた公聴会は、下院共和党第4指導部のエリス・ステファニク下院議員による政治的なショーケースだったと言えます。ハーバード大学出身で、ドナルド・トランプ次期副大統領候補の有力候補でもあるステファニク議員の質問が、最も有害な証言を引き出しました。

ペンシルベニア大学、ハーバード大学、マサチューセッツ工科大学の学長がステファニク議員により詰問され、ペンシルベニア大学のM.エリザベス・マギル学長とハーバード大学のクローディン・ゲイ学長の辞任をステファニク議員は自らの勝利と位置づけました。「私はいつも結果を出す」と、ゲイ学長の辞任後にステファニク議員は語りました。

具体的には、議員が「ユダヤ人の大量虐殺を呼びかけることは各大学の規則に違反するか」と質問したところ、両学長が法的な言い回しでごまかすような答えをしただけだったため、大きな反発を招いたにすぎず、このことが両学長の辞任につながったと受け止められています。

ステファニク議員は共和党有力者で、ドナルド・トランプ次期副大統領の有力候補でもあるので、この出来事を自らの政治的勝利の意味あいで捉えたと考えられます。要約すると、大学の指導部に対して自らの影響力を示すことができたからに他なりません。

一方キャンパスでは、2023年10月7日のハマス勢力によるイスラエル攻撃以降、コロンビア大学はキャンパスでの抗議活動やパレスチナ人学生による組織活動を管理する上で、相当な努力を払ってきました。同大学によると、10月7日以降のキャンパスでの出来事に関して、少なくとも160人の学生に対して何らかの懲戒処分が開始されています。

2024年4月初旬、コロンビア大学の管理者は、無許可の学生イベント「レジスタンス101」への関与を理由に、5人の学生を停学処分にしています。このイベントでは、招待された講演者がハマスやアメリカ合衆国が指定するテロ組織を支持する発言を公然と行ったとされています。

4月17日、コロンビア大学では公聴会が執り行われましたが、同日に、コロンビア大学の学生たちは、ガザの戦争と封鎖に反対する「ガザ連帯キャンプ」をキャンパスの南芝生に設置しました。
また学生団体は、大学に対し、
●イスラエルからの投資を撤退せよ
●テルアビブのグローバルセンター開設を中止せよ
●テルアビブ大学の二重学籍の終了
これを求めて多数決投票で可決が圧倒的に上回りました。

夜にはニューヨーク市警が介入するなどし、あたりは騒然としました。大学生だけでなく教職員や、ニューヨーク市民も反対運動に加わっていました。反シオニスト派による多数の逮捕者がバスで連行され、その人数は100人に及びました。
そしてその波は他の大学にも起こっています。ニューヨーク大学でも逮捕者が、今週22日に入ると、イェール大学でも逮捕者が出ています。これは異常事態としか思えません。

コロンビア大学の学長、ネマト・シャフィク氏は、ガザ紛争関連の抗議活動に対する大学の対応をめぐり、パレスチナ派とイスラエル派の学生や教職員から批判を受けています。
シャフィク氏は、イスラエルへの批判を封じ込めているという批判もあります。一方、大学側は、反ユダヤ主義を許さないという立場を強調しています。

コロンビア大学の状況は特に緊張を帯びています。全米ユダヤ系学生組織である Hillel の推計によると、学部生の約20%がユダヤ人で、ハーバード大学の10%やマサチューセッツ工科大学の6%と比較しても高いことがわかります。

一方で、コロンビア大学はパレスチナ研究の拠点でもあり、著名な歴史家ラシッド・ハリディ氏を含む20人以上の教員がパレスチナ研究センターに所属しています。また、著名なパレスチナ系アメリカ人で文学研究者であったエドワード・ワディ・サイード(2003年没)も、コロンビア大学で学んでいました。

シャフィク氏は、参加者を特定し、「学内の規約に基づき処分を行う」とし、抗議活動の参加者を停学処分にするなど、強硬な姿勢で臨んでいます。しかし、この対応は表現の自由の侵害だと批判する声も上がっています。処分を受けた学生の一人、社会福祉学部のエイダン・パリシ氏(27歳)は「シャフィク氏が議会で証言する直前に抗議活動が起きたのは偶然ではない。彼女は私たちの住居や生活を犠牲にして、キャリアを守ろうとしている」と訴えています。パリシ氏は退去処分と闘っています。

現在コロンビア大学はzoomによる授業を行うなどの対策を取っています。コロンビア大学のラビはユダヤ人学生に自宅待機を勧めました。ユダヤ人学生達は自分達がいつ槍玉に上がるかわからないからです。しかしサテライト授業に安堵したようです。イスラエル人であるシェイ・ダビディ教授がキャンパスに入ろうとすると、立ち入り禁止『あなたの安全を守ることは出来かねます』。

ガザ紛争をめぐる問題は、多くの大学で議論を呼んでいます。大学は、ステファニク議員の介入と、表現の自由、学生の安全を守ることのバランスをどのように取っていくのか、難しい課題に直面しています。

クレジット/ニューヨーク・タイムズ紙ほか

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