2024年12月5日、東証プライム上場の建設会社ヤマウラ(長野県駒ケ根市)の子会社の預金口座から計9億円余りを着服したとして業務上横領の罪に問われている、元ヤマウラ社員の無職村田浩幸被告(64歳)の息子であり会社役員村田俊樹被告(35歳)の被告人質問が、長野地裁伊那支部で行われた。
父子は同年2月16日に子会社ヤマウラ企画開発の口座から3億6,000万円横領した疑いで逮捕、長野地裁伊那支部に身柄送検されていた。
起訴状などによれば、村田浩幸被告、俊樹被告は共謀して、ヤマウラ子会社のヤマウラ企画開発の口座から俊樹被告が経営する会社や取引先の会社の口座に現金を送金したとされる。
〈息子は罪を認め、父親は否定〉
村田俊樹被告は父親と共謀してヤマウラの子会社から9億円以上を横領したとされる事件について、詳細な説明を求められると、父親の指示に従って不正行為を行ったと述べ、深い後悔の念を表した。彼はまた、横領した資金の一部が個人的な借金返済や高額な生活費に充てられたことを認めた。
裁判官は、村田俊樹被告の証言を慎重に聞き取り、事件の全貌を明らかにするための追加証拠の提出を求めた。次回の公判では、さらなる証人の証言や新たな証拠が提示される予定だ。
俊樹被告は、同罪で公判中の元ヤマウラ社員で父親の無職浩幸被告(64歳)が違法性の認識を否定したことについて、
「自分はやってしまったことを認めているので、(浩幸被告とは)方向性が違う」
と話した。
〈監視委員会が金融庁に勧告〉
12月3日、証券取引等監視委員会は、東京証券取引所のプライム市場などに上場する長野県の建設会社ヤマウラが、2020年から2023年にかけて有価証券報告書などにうその記載をしていたとして、委員会はヤマウラに対して1800万円の課徴金の納付を命じるよう金融庁に勧告した。
総合建設業ヤマウラの会計監査人が、2023年5月に子会社の預金残高と帳簿残高に10億円の差があることに気づき指摘した。
元社員ら2人が連結子会社の口座から9億円余りを横領した罪で起訴されていて、監視委員会によると、元社員は横領の発覚を防ぐため、この子会社の支出を過大に計上するなどしていた。
この元社員は父子であり、この子会社で経理責任者を長期間担当するなど権限が集中していた。
決算報告書を作った父親は子会社の口座から総額26億円を不正に引き出したことが第三者委員会の調査で判明していて、この息子とともに横領の罪に問われているという。
勧告についてヤマウラは「真摯(しんし)に受け止めます。ご迷惑をおかけしていることを深くおわび申し上げます」などとしている。
専門家によると、親会社の取締役から従業員まで、全員がこの子会社を会社の一事業部門とみなしていて、子会社としてしっかりと管理しなければならない意識がなかったため、子会社への監督がなされていなかった、これが要因となったのではないかと分析している。
参考サイト:さくらフィナンシャルニュースnote
株式会社ヤマウラにおける有価証券報告書等の虚偽記載に係る課徴金納付命令勧告について
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