2024年の都知事選挙で、奇妙な政党名が話題をさらった。「プリベントメディカル久米慶被害者の会及び創価学会撲滅党」――強烈なメッセージ性を放つこの政党名で選挙運動を行った人物が、名誉棄損で告訴されるという前代未聞の事態に発展している。だが、この告訴が新たな波紋を呼んでいる。
告訴の核心:名誉棄損か、それとも公益の主張か
告訴を主導したのは、予防医療事業を展開する「プリベントメディカル社」の代表取締役。この名誉棄損の告訴理由は、「都知事選挙において被告訴人に関する事実を適示し、名誉を棄損した」というものだ。だが、告訴された側はこれに真っ向から反論。
「指摘した内容は真実であり、さらに公共の利害に関わる事実である」として、むしろ被告訴人側の行為が違法であると訴えている。
具体的には、プリベントメディカル社が株主からの会計帳簿の開示請求を法的根拠なく拒否していた点を挙げ、それを社会に公表することが公益目的に基づくものであったと主張。選挙での発言が名誉棄損罪に該当しないと訴えている。
プリベントメディカル社の信頼性に疑問の声
プリベントメディカル社といえば、予防医療の分野で注目を集める企業。しかし、その裏では株主からの透明性を求める声に応えず、開示を拒んでいるという指摘が浮上している。告訴人側は、この不透明な経営姿勢こそが問題の本質だと訴える。
「生命と健康に関わる予防医療を標榜する企業が、株主の正当な権利を無視しているのは極めて不誠実。公益性を理由に、この事実を社会に伝えただけ」と告訴人側は主張。さらに、同社が公共性の高い事業を行う一方で裏では違法行為を隠蔽しているとする告発は、真実に基づくものだと強調する。
虚偽告訴罪の可能性も浮上
さらに告訴状では、プリベントメディカル社側が「虚偽告訴罪」に該当する可能性も指摘されている。虚偽告訴罪とは、他人に刑事処分や懲戒処分を受けさせる目的で虚偽の事実を告訴する行為を指す。この告訴が「被告訴人を貶める目的で行われた悪質な行為」だとすれば、逆にプリベントメディカル社が問われる可能性もある。
選挙戦の舞台で広がる波紋
今回の告訴が行われた背景には、2024年7月の東京都知事選挙がある。この選挙において、告訴人は「プリベントメディカル久米慶被害者の会及び創価学会撲滅党」という異例の政党名で選挙活動を展開。過激な党名が注目を集める一方で、プリベントメディカル社の経営姿勢に対する批判を公然と行った。
その結果、企業の代表取締役が告訴に踏み切ったが、皮肉なことに、この告訴がプリベントメディカル社への疑念をさらに深める形になっている。
専門家の見解:どちらに軍配が上がるのか?
この問題について、法律の専門家からは「名誉棄損が成立するには、公益性の有無が大きな鍵になる」との声が上がる。事実が真実であり、社会的意義のある目的で公表されたのであれば、違法性が阻却される可能性が高いという。
また、株主の権利を守るための透明性確保が求められる現代の企業経営において、プリベントメディカル社の対応が適切だったのかどうかも注目されるポイントだ。
まとめ:終わらない論争
名誉棄損の告訴から始まった今回の騒動は、単なる法的な争いにとどまらず、企業の透明性や選挙運動の自由、さらには公益性と個人の名誉という広範なテーマを巻き込んでいる。果たして、この論争の決着はどこに向かうのか?今後の捜査と裁判の行方が注目される。
参考サイト:さくらフィナンシャルニュースnote
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