プリベントメディカル株式会社(東京都中央区、久米慶代表取締役)の取締役である馬渕知子医師に対し、医師免許取り消しの通報が行われることが、さくらフィナンシャルニュース編集部の取材により分かった。
本誌では、昨年9月1日付で同社が株主Aからの会計帳簿閲覧謄写請求を不当に拒絶していることを報じた。そして、今年5月10日付の記事において、同社の創業者である久米慶氏が、株主への配当を怠る一方でセクシーヨガに通うなど、株主の利益を食い物にしているのではないかと報じた。同社については、経営実態の不透明性を問う声が株主から上がっていた。
そこで、株主Aから株式を譲り受けた株主Bが、同社の取締役である馬渕知子医師に対して、取締役として任務懈怠責任を追及されることを根拠として、厚生労働省に医師免許取消し処分を求める情報提供をすることとなったようだ。
医師免許取消しには「医師としての品位を損するような行為」(医師法7条)が要件とされ、取締役として任務懈怠責任はその要件に当たらないようにみえる。
しかし、株主Bは、厚生労働省の諮問機関である医道審議会医道分科会が「医師及び歯科医師に対する行政処分の考え方について」と題して発表した見解を根拠として医師免許取消しを求めるとしている。その見解では、「我が国において医業、歯科医業が非営利の事業と位置付けられていることにかんがみ、医業、歯科医業を行うに当たり自己の利潤を不正に追求する行為をなした場合については、厳正な処分の対象となるものである。
また、医師、歯科医師の免許は、非営利原則に基づいて提供されるべき医療を担い得る者として与えられるものであることから、経済的利益を求めて不正行為が行われたときには、業務との直接の関係を有しない場合であっても、当然に処分の対象となるものである。」とされている。
つまり、医師としての業務に関係ない行為でも、「経済的利益を求めて不正行為が行われたときには、業務との直接の関係を有しない場合であっても」処分の対象となるということだ。
医師や弁護士に限らず企業などでも社会的責任が広く問われるようになった現代、馬渕知子医師も予期しない形で正念場を迎えるようだ。
株主Bの請求が厚生労働省に認められるかどうかは分からないが、取締役としての責任が医師免許取消しにも影響するかどうか、新たな法的論点を提供する観点からも重要な問題提起となる。
参考サイト:さくらフィナンシャルニュースnote
プリベントメディカル、過去5年間の決算データから見る企業の舵取り2023/12/9
新株主がプリベントメディカルの株式取得、承認請求を行う2023/10/2
プリベントメディカルが株主からの株式売却交渉における情報公開を拒否2023/9/1
この記事へのコメントはありません。