今年9月末に岸田文雄首相は自民党総裁としての任期を迎えます。自民党は、先週(7月)26日、総裁選挙の選挙管理委員会のメンバー11人を決定しました。
同じ9月末には立憲民主党の泉健太代表も任期を迎えますが、党内からは、既に代表選をめぐる発言が続いています。
一方、政府は、今週、来年度予算案の概算要求の基本方針を閣議決定し、予算案の編成作業が本格化していきます。今週の主な日程をまとめました。
【別紙:「永田町カレンダー」】
まず、政府の予定です。
7月29日、障がい者などへの偏見や差別の根絶に向けた全閣僚を対象にした対策推進本の初会合が行われます。
旧優生保護法について最高裁判所が憲法違反だったとして国に賠償を命じた判決を受け、岸田文雄首相は先般、原告らに謝罪するとともに、障がい者などへの偏見や差別の根絶に向けた恒久的な対策を検討していく方針を示しました。政府は具体策の議論を始めることにしています。
また、来年度(2025年)予算案の概算要求の基本方針を閣議にて決定することにしています。
政治についての動きをお伝えします。
自民党・茂木敏充幹事長が7月28日から来月(8月)4日まで、インドネシア、シンガポール、タイ、フィリピンの東南アジアの4か国を訪問します。
日本とASEANの友好協力関係が去年50年を迎えたことも踏まえ、各国の政府要人らとの会談などを通じて連携強化を確認したいとしています。
衆議院政治改革特別委員会のメンバーは、7月28日~8月3日の日程でドイツと英国を視察します。
ドイツでは連邦議会事務局を訪ね、議会に設けた監督機関の運用実態を確認する。英国では監督機関が持つ権限を調べるほか、労働党と保守党から政治資金を巡る実情をヒアリングする予定です。
自民党派閥のパーティー収入不記載事件を踏まえ、政治資金を監督する第三者機関の在り方を調査するのが目的で、先の通常国会で成立した改正政治資金規正法の付則では、独立性を確保した機関設置を明記していて、今後の制度設計に活かす方針です。
日米両国の外務・防衛の閣僚協議、いわゆる「2プラス2」が7月28日、東京で行われます。日本から上川陽子外務大臣と木原稔防衛大臣、アメリカからブリンケン国務長官とオースティン国防長官が出席します。
協議では、自衛隊とアメリカ軍の部隊連携を円滑にする指揮・統制の向上に向けて、自衛隊に「統合作戦司令部」を創設することを踏まえアメリカ軍にも新たな組織を設けることなどについて意見を交わす見通しです。
また、防衛装備品の共同開発・生産をめぐり、地上配備型の迎撃ミサイル「PAC3」などをアメリカに輸出するため、日本での生産体制の強化についても議論する予定です。
一方、沖縄のアメリカ軍兵士による性暴力事件をめぐり、日本側からアメリカ側に対し、再発防止策を着実に実行するよう求めることにしています。
7月30日、防衛省・自衛隊で相次ぐ不祥事や沖縄のアメリカ軍兵士による性暴力事件での政府の対応をめぐり衆議院と参議院のそれぞれの担当委員会で閉会中審査が行われます。
午前は衆議院安全保障委員会、午後は参議院外交防衛委員会がそれぞれ開催され、防衛省・自衛隊で、国の安全保障にかかわる「特定秘密」の情報や潜水手当の受給などで違反や不正があったほか、沖縄のアメリカ軍兵士による性暴力事件での政府の対応をめぐり、政府側の姿勢を質すことになります。
8月3日、岸田内閣は在職1035日となり、近衛文麿内閣と並び、在職日数で歴代内閣14位となります。
岸田文雄首相は、29日67歳の誕生を迎えます。偶然ですが、立憲民主党の泉健太代表、共産党の志位和夫前委員長(現党中央委員会議長)も、29日が誕生日でそれぞれ泉代表が50歳、志位前委員長が70歳となります。
経済に関する動きです。
日銀は7月30日と31日に金融政策決定会合を開きます。
日銀は現在、月間6兆円程度としている国債の買い入れを減額する方針を示していて、今回の会合では今後1年から2年程度の具体的な計画を決定します。
日銀は買い入れの減額が市場に及ぼす影響などについて今月、国債の買い手となる金融機関と意見交換を行っていて、その内容も参考に減額の規模やペースを示すことにしています。
政府・与党内から利上げをめぐる発言が相次いだこともあって市場では、日銀が早期の利上げに踏み切るという観測も広がっていて、日銀の対応に関心が集まっています。
7月30日、6月の有効求人倍率、6月の完全失業率が公表される他、31日には消費動向調査と鉱工業生産指数、そして、6月27日から7月29日までの為替介入実績が財務省から発表されます。
4月から6月期の企業決算の発表も続きます。
7月30日野村ホールディングス(HD)、31日は みずほフィナンシャルグループ(FG)、りそなホールディングス(HD)、8月1日は三菱UFJFG、大和証券グループ本社、日本製鉄、トヨタ自動車、三菱商事となっています。2日は三井住友FGそして日銀から7月のマネタリーベースも公表されます。以 上
筆者 平木雅己(ひらきまさみ)選挙アナリスト
元NHK社会部記者。選挙報道事務局を長く勤め情勢分析や出口調査導入に尽力。小選挙区制度が導入された初めての衆議院議員選挙報道ではNHK会長賞を受賞。ゼネコン汚職事件、政治資金の不正など政治家が関わる多くの事件・疑惑も取材。
その後、連合(日本労働組合総連合会)事務局にて会長秘書(笹森清氏)として選挙戦略の企画立案・候補者指導を担当、多くの議員の当選に尽力した。
政策担当秘書資格取得後、法務大臣/自民党幹事長代理はじめ外務大臣政務官、衆参国会議員政策秘書として、外交・安全保障、都市計画、防災、司法、治安、雇用・消費者、地方自治などの委員会や本会議質問を作成、政策立案に携わる。
★出稿資料★
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