2024年11月22日三菱UFJ銀行が「元行員の不祥事について」と題したリリースを出したのは事件が発覚してからおよそ1ヶ月後だった。
三菱UFJ銀行が、東京都内の2支店で貸金庫から顧客の金品を繰り返し盗んだとして、管理者だった行員を2024年11月14日付で懲戒解雇したと発表した。
2020年4月から2024年10月までの約4年半で被害者約60人、金額は時価で十数億円に上る被害額。
2支店は練馬支店(練馬区)と玉川支店(世田谷区)。
2022年6月に練馬支店に統合した江古田支店名義の貸金庫も含む。
貸金庫を契約している顧客から「貸金庫に入れていたものが減っている」などと指摘を受け、三菱UFJが行員に確認したところ「盗んだ」事を認め、発覚した。
盗みが発生した2024年10月31日以降、三菱UFJ銀行では全店の貸金庫を調査し、同様の被害が他にはないことを確認したという。
〈都市銀行安全神話崩壊 貸金庫の中身を盗むのはレアケースでは決して無い〉
三菱UFJによると、この元行員は管理者クラスだと言うからかなり危ない管理がこれまで行われていたと考えられる。
「厳格な管理ルールを定め、第三者による定期チェックの仕組みも導入していた」というが、それが長期間にわたり機能していなかった。
三菱UFJは対策本部を設置し、原因の究明や全容解明に向けた調査を進めている。警察にも相談済みということだ。
被害を受けた顧客には既に連絡済みで被害を補償するとは言うものの、実は貸金庫の中身というのは行員も把握しきれていない部分がある。
現金の窃盗であれば、被害額が明確にわかりそうなもの、貸金庫となれば銀行も中身を全て把握はできていない。だから被害状況や証拠がつかめない。そこを突いたのだろうか。信用している銀行の内部で起きた卑劣な犯行である。今回の被害も、被害を受けた被害者複数が、警察に被害届を出せないなどと相談が殺到していたとの話がある。
文春オンラインによると「当該行員は、女性。40代後半既婚者、子供は居ない。有名某女優をぽっちゃりさせたようなショートカットで目が大きくて可愛らしい雰囲気。また酒豪であることも明かされている。練馬支店や、事案発覚時には玉川支店に勤務しており、窓口業務や貸金庫管理の責任者を務めていた支店長クラスであった。
「怪しい噂もなかったし、羽振りが良いわけでもなかった。驚いています。」
と他の行員は言う。
現在三菱UFJ銀行では、貸金庫に4種類のタイプがあるというが、今回狙われたのは、4種類のうち1種類だけだったとのことだ。
今回、窃盗を自供した元行員について、専門家は「貸金庫の管理責任者ということで、おそらく副鍵を取り出すための鍵は自分のICカードで取得できていたと思う」と話す。管理責任者に対しての信頼が揺らぐ。
「貸金庫に出入りするには、別の役席者に鍵を取得してもらわなければなりませんが、たとえば、別の顧客が貸金庫から出てきたとき、『こちらで閉めておきますよ』と声をかけ、そのまま自分が入室することはできるでしょう。」
しかもそれを管理者クラスがやっている。マンション管理で例えると、オーナーが住民に対して「修理に入るのでオートロック開けたままにしてくれますか?」といえば住民は「オーナーさん修理に来たんだな」と、快く開けておくだろう。
これと似たような体制で、貸金庫室に“なあなあ”の抜け穴部分ができてしまっていた。
元行員が盗んだのはおもに現金で、ほかは貴金属類も。貸金庫の規約上、現金を預けるのは “グレー” だが、実際のところ、現金を貸金庫に入れている人は少なくないということが今回の事件で明確になった。
そのため、被害にあった顧客に聞き取りし、元行員の供述内容とすり合わせていかなければ、全容解明はできない。
元行員を早期に逮捕し、日頃の人間関係など、盗んだ大金の動きを徹底的に調べることも切実に要求される。銀行の管理体制の抜け穴が、内部行員の犯行によってさらけ出された今回の窃盗被害。波紋の広がりは内外を揺るがすものとなった。
参考サイト:さくらフィナンシャルニュースnote
三菱UFJ銀行 支店管理職が貸金庫から盗み 被害10数億円 約60人
【独自】盗まれた10億円「三菱UFJ貸金庫事件」ベテラン行員が狙い撃ちした「1種類の金庫」と「グレーな現金」…元銀行員が明かす “安全神話” の隙間
まさか銀行員が泥棒、氷山の一角? ホリエモン「衝撃的ニュース。犯罪を確かめようがない」。三菱UFJ銀行の元行員、貸金庫から窃盗…今度どうなる?
三菱UFJ銀、元行員が貸金庫から顧客資産を着服-時価十数億円
三菱UFJ行員が貸金庫から窃盗 Yahoo!知恵袋で3年前に酷似事案告白、「なぜスルー」の声も
「大事件ですよ!」貸金庫で1000万円盗まれたと放送作家が告白 三菱UFJ事件から、5年前の動画が再注目
この記事へのコメントはありません。