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自民総裁選:合同演説会を終え最終盤の闘いへ!9氏の政見検証(中)~基本姿勢、経済財政、社会保障、人口減少への対応について~

9月12日告示された自民党の総裁選挙は、23日、党主催の政策討論会が行われました。

9人の候補者は、27日の投開票に向け、最終盤の活動を強化していきます。

主な政策についての9氏の政見を整理しました。

中編は、基本姿勢、経済財政、社会保障政策、人口減少への対応についての9氏の政見です。

                                    【届出順】

                      【参考資料:9氏の政見、発言比較票】

基本姿勢と経済財政政策について

高市早苗・経済安保相

高市氏は、「国力を強くしなければならず、そのためには何よりも強い経済が必要だ。あくまでもどこまでも経済成長を追い求めるために必要な政策をしっかりと打っていく」と述べています。

その上で、経済対策として「ガソリン価格を抑えるための補助金は年内で終わり、電気やガス料金への補助は10月までなので延ばさなければならないか、出口を柔軟に考えたい」と訴えています。

小林鷹之・前経済安保相

小林氏は、「日本を世界から信頼され必要とされる国にする。経済と安全保障、イノベーション、教育をバランスよく高めていくことで国力を増し、世界をリードする日本をつくっていく」と述べています。

その上で、経済対策として「年内に対策パッケージを打ち出すが、一律に広くではなく中小企業などしわ寄せが来ているところに重点的にやる。本質的には物価高を超えるだけ所得を上げることだ」と訴えています。

林芳正・内閣官房長官

林氏は、「実感できる経済再生をやりたい。新しい資本主義による成長と分配の好循環でここまでやってきた。実質賃金がプラスの数字も出てきたこの流れを確かなものにしなければならない」と述べています。

その上で、経済対策として「電気・ガス、ガソリン価格の抑制策は続けたい。賃金と購買力が上がり物価が上がるまでは対策が必要で、できれば年内に補正予算を含めて経済対策を行いたい」と訴えています。

小泉進次郎・元環境相

小泉氏は、「政策活動費は廃止し、旧『文書通信交通滞在費』(※)は公開を義務化して残金は国庫に返納することで不透明なお金の使い方は断ち切る。この政治改革を断固たる決意でやる」と述べています。

その上で、経済対策として「総理・総裁になったら直ちに経済対策の指示を出す。インフレでしわ寄せが家計に及んでおり、給付金の拡充や地方創生臨時交付金の拡充を検討する」と訴えています。

上川陽子・外相

上川氏は、「孤独・孤立の中で取り残されている一人一人の声に耳を傾けながら日本を前に進めていきたい。誰一人取り残さない新しい日本の景色をつくっていく」と述べています。

その上で、経済対策として「物価高を上回る賃金アップを進めるため緊急の対策をやっていく。国民が安心して買い物ができるような環境をいち早くつくっていくために政策を総動員したい」と訴えています。

加藤勝信・元内閣官房長官

加藤氏は、「国民の所得倍増を命懸けで実現する。企業の収益は過去最高水準となり、内部留保も10年間で倍になっている。これらを活用して賃上げを起点とした新しい好循環を生み出していく」と述べています。

その上で、経済対策として「生活が厳しい方たちに対する物価高騰対策はすぐやるべきだ。来年の賃上げにもつながる経済対策、実効性のある大胆な補正予算をまず組んでいく」と訴えています。

河野太郎・デジタル相

河野氏は、「公平な競争の場をつくり、民間の活力を解き放つための改革をしっかりやる。改革をスピード感を持って深掘りし、日本の経済が発展したと言われるよう断行していく」と述べています。

その上で、経済対策として「本当に困っている方への給付を行うための予算の組み替えはやらなければいけない。現役世代の手取りを増やし、高齢者の手取りも増やしていく」と訴えています。

石破茂・元幹事長

石破氏は、「『すべての人に安心と安全を』と掲げた。災害や人口減少などで大勢が不安の中にいる。今さえよければいいという話ではなく、将来どうなるか、そうならないためにどうするかを示すのが政治の役割だ」と述べています。

その上で、経済対策として「物価高を超える賃金上昇の実現には労働分配率を上げて賃金を上げることが一番即効性がある。みんな苦しんでいるのだから経済対策は秋にもやらないといけない」と訴えています。

茂木敏充・幹事長

茂木氏は、「物価高や人口減少などの課題に直面し、国民の間には負担増への不安が高まっている。『増税ゼロ』の政策を推進して経済を再生し、一人一人の所得、年収を上げていく。必ず実現する」と述べています。

その上で、経済対策として「まずは物価高対策のために早急に総合経済対策をつくる。その上で本格的な日本経済の再生策を実行していく。中小企業や農林水産業への支援で生産性を上げていきたい」と訴えています。

社会保障政策、人口減少社会への対応につい

高市早苗・経済安保相

高市氏は、65歳以上の人が一定の収入を得ると年金が減額される「在職老齢年金制度」を見直し、働く意欲を妨げない制度を整備するとしています。

また、人口減少への対策として「企業の本社機能は東京の方がよければ置いておけばよいが、研究開発拠点や中核的な製造拠点をインセンティブをもって地方に移してもらうことや、地方の魅力ある研究大学を応援する政策をしっかり拡充したい」と訴えています。

小林鷹之・前経済安保相

小林氏は、若年層の保険料の負担軽減に向けて新たな会議を立ち上げ具体化を図るとしています。

また、人口減少への対策として「地方で雇用の機会をつくり所得の水準を底上げしていくことが重要だ。新たな産業のかたまりを地方につくり、農林水産業や中小企業、保育、介護、看護などの所得を上げる。地方でも質の高い教育環境をつくり、地方の活力を引き出したい」と訴えています。

林芳正・内閣官房長官

林氏は、医療や介護、福祉の分野で働く人たちの労働環境の改善、処遇改善に取り組むとしています。

また、人口減少への対策として「企業の本社機能などを、どうやって地方に分散するかは

非常に大きな課題だ。跡継ぎがいない地方の企業に対し経営能力を持った人を養成して支

援するような仕組みをつくり、魅力ある地方をつくっていく」と訴えています。

小泉進次郎・元環境相

小泉氏は、医療や介護、福祉の分野でデジタル化を進めて医療提供体制の改革を進めるとしています。

また、人口減少への対策として「首都機能の分散について官民で真剣に議論する場を立ち上げたい。首都圏で起きると予想される直下型の地震を座して待つわけにはいかない。また、海外からの投資を地方に呼び込むための総点検を行いたい」と訴えています。

上川陽子・外相

上川氏は、病気になる前の予防を強化して健康寿命を延ばすとしています。

また、人口減少への対策として「今はまさに地方分権を進め新しい国家像を作っていく極めて重要な時期だ。ネットワーク大国を目指しているが、海外からダイレクトに人が来てもらえるような地方空港の国際化を徹底して進めたい」と訴えています。

加藤勝信・元内閣官房長官

加藤氏は、医療や介護、福祉の分野で働く人たちの労働環境の改善、処遇改善に取り組むとしています。

また、人口減少への対策として「東京から地方に戻ってもらうだけでなく、東京にいながら地方に関与する、地方にいながら東京と仕事をすることがデジタルでできるようになっている。関係人口を増加させることで地域が再生していく」と訴えています。

河野太郎・デジタル相

河野氏は、医療保険制度について高齢者でも負担できる人にはしてもらい、現役世代の負担軽減を図るとしています。

また、人口減少への対策として「東京とは違った地方の魅力を増していかなければいけない。18歳人口の地方からの流出があり、首都圏の高等教育機関のあり方を考える必要がある。国立の大学を徐々に東京、首都圏から地方に出していくことをやるべきだ」と訴えています。

石破茂・元幹事長

石破氏は、健康維持のための医療制度を構築し医療費を適正化するとしています。

また、人口減少への対策として「国の政策を根本的に変え若い人が来てくれる地方を考えなければならない。地方に魅力的な仕事がなければだめで、どうしたら農業、漁業、林業、サービス業の生産性を上げ、収入が増えるかは考える余地があり、そこに集中するべきだ」と訴えています。

茂木敏充・幹事長

茂木氏は、厚生年金保険料の算定基準を見直し収入が多い人に相応の負担を求める一方、

低所得世帯や子育て世代の負担は軽減するとしています。

また、人口減少への対策として「地方の活力アップは私の政治の原点だ。地方に『ミニ東京』を作るのではなく『ここにしかない』という産業や大学、研究機関を作っていく。単純に地方活性化や地方分散ではなく特色を持った地域をつくることが一番大切だ」と訴えています。

今後の日程

終盤戦に入っている総裁選挙は、党員、党友による投票が26日までに締め切られたあと、27日に国会議員の投票が行われ、あわせて開票され、新総裁が決定します。

                                     以 上

筆者 平木雅己(ひらきまさみ)選挙アナリスト

元NHK社会部記者。選挙報道事務局を長く勤め情勢分析や出口調査導入に尽力。小選挙区制度が導入された初めての衆議院議員選挙報道ではNHK会長賞を受賞。ゼネコン汚職事件、政治資金の不正など政治家が関わる多くの事件・疑惑も取材。その後、連合(日本

労働組合総連合会)事務局にて会長秘書(笹森清氏)として選挙戦略の企画立案・候補者指導を担当、多くの議員の当選に尽力した。 

政策担当秘書資格取得後、法務大臣/自民党幹事長代理はじめ外務大臣政務官、衆参国会

議員政策秘書として、外交・安全保障、都市計画、防災、司法、治安、雇用・消費者、地方自治などの委員会や本会議質問を作成、政策立案に携わる。

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