損保大手4社が企業向け共同保険の保険料を不当に引き上げるカルテルや受注を決める談合を結んだなどとして、公正取引委員会は2024年10月31日、計9件の独占禁止法違反(不当な取引制限)を認定し、計約20億7千万円の課徴金納付命令と排除措置命令を出して発表した。
納付命令を受けたのは
▼三井住友海上火災保険
▼損害保険ジャパン
▼あいおいニッセイ同和損害保険
▼東京海上日動火災保険
▼損保代理店「共立」※情報交換に協力したとして排除措置命令。
4社は、主に令和2年から4年ごろにかけて、空港や大手鉄道会社、大手家電企業などに対し、複数社で共同して見積金額や入札で提示する金額を話し合い、保険料を引き上げるなどしていた。
公正取引委員会が調査したところによると、4社は発電事業者の「JERA」や石油元売りの「コスモエネルギーホールディングス」がそれぞれ発注した、災害の被害などに備える「共同保険」の契約をめぐり、価格を事前に調整するなど参加企業の組み合わせはそれぞれ違うものの、あわせて9件の企業や自治体などとの契約で、カルテルや談合を繰り返していた。
地震やなどの災害や事故が相次ぎ、保険料の支払いが増え、保険料を引き上げる必要などがあったといい、実際の調整は各社の担当者がオンライン会議や無料通信アプリなどでやり取りをしていたほか、都内のカラオケ店で行われていた事例も確認された。
警視庁や東京都が発注する案件では、損保会社同士で協力してあらかじめ受注会社を決めていたという。
4社の違反行為での売上高は、約540億円に上る。
公正取引委員会は、多岐に渡り独占禁止法に違反したとして5社に対して排除措置命令を行い、大手損保4社には合わせておよそ20億7千万円の課徴金納付を命じた。
会見で大胡審査局長は「日本を代表するような4社が多岐にわたる事案で多く違反を行っていて非常に遺憾。コンプライアンスの指針を作るだけではなく、しっかり運用して徹底してもらいたい」と述べた。
命令を受けた5社は、「処分を真摯に受け止め、再発防止と信頼回復に努めていく」とコメントしている。
☆参考サイト☆
【損保ジャパン等大手損害保険4社、金融庁から報告徴求命令を受ける 情報漏えい問題で】
損保大手4社に20億円超の課徴金納付命令、価格カルテルや談合繰り返す…公取委
「再発防止に取り組む」 損保大手カルテルで課徴金 4社コメント
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