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小林製薬 紅麹問題で補償開始 原因究明継続も81%減収を発表

小林製薬は、8月8日、記者会見を開き、紅麹の成分を含むサプリメントをめぐる一連の問題を受けて、紅麹事業から撤退することを決めたと発表しました。引き続き、補償や原因究明の対応は進めていくとしています。

発表によりますと、小林製薬は、8日の取締役会で、紅麹関連の製品の製造や販売を行う事業から撤退することを決めました。重大な健康被害を引き起こしたことを踏まえたためです。

また、今年6月までの半年間の決算では、紅麹の成分を含むサプリメントを摂取した人が腎臓の病気などを発症した問題を受けて、製品の回収にかかる費用などとして新たに40億円あまりの特別損失を計上しました。

この結果、最終的な利益が前の年の同じ時期から81%減少して14億円となり、2年ぶりの減益となることも発表されました。

   【参考資料1 2024年12月期  第2四半期(中間期)決算短信〔日本基準〕(連結)】

紅麹問題 これまでの経緯

小林製薬の紅麹の成分を含むサプリメントの問題について、公表までの経過や健康被害の訴えの状況などを整理しました。

今年1月15日、小林製薬に医師から健康被害が疑われる最初の症例の報告がありました。

さらに、その後も報告が相次いだことから、社内で検証を進め、2月6日には当時の小林章浩前社長にも報告されました。

検証の結果、製品に想定しない成分が含まれている可能性があることが判明しました。

小林製薬が製品の自主回収を決め、問題を公表したのは最初の報告から2か月以上がたった3月22日でした。

7月23日に公表された外部の有識者委員会がまとめた報告書は、「遅くとも2月上旬以降には全社を挙げて早急に対応すべきだった」と指摘しています。

                 

                 【参考資料2 外部有識者 事実検証委員会報告書】

問題の公表後、会社には健康被害の訴えが数多く寄せられています。

小林製薬によりますと、8月4日時点で、死亡に関係する問い合わせ件数は319件にのぼるということです。

このうち、会社が製品の摂取と死亡との関係について調査対象としているのは、107件で、その具体的な内訳は調査完了が21件、調査継続が32件、そして、調査の同意が得られないことなどから調査が困難としているのが54件となっています。

また、「調査完了」となった21件について、会社は現時点では因果関係の有無など、詳細な回答は控えるとしています。

一方、原因の解明に向けた調査も進められています。

製品から検出された想定しない成分については、3月29日、青カビから発生することがある「プベルル酸」という物質の可能性があるという調査結果が発表されています。

5月28日には厚生労働省と国の研究所が「工場内の青カビが培養段階で混入して、『プベルル酸』などの化合物が作られたと推定される」と公表しました。

「プベルル酸」のほかに、被害が報告された製品の原料ロットから2種類の化合物も検出されていて、現在も原因となった物質を特定するための調査が続いています。

会社の品質管理をめぐって、外部の有識者委員会がまとめた報告書では、製造工場で青カビが発生していたことを現場の担当者は認識していたとした上で、「製造ラインの品質管理は現場の担当者にほぼ一任する状況で人手不足が常態化していた」などと指摘しています。

8月19日から補償の受付開始へ

記者会見では、小林製薬は紅麹コレステヘルプなどを摂取し症状との間に相応の因果関係が認められる人を対象に、医療費や慰謝料、休業に伴う補償などについて、今月から受付を始めると発表しました。

補償の対象となるのは、紅麹コレステヘルプなど大阪市の回収命令の対象となっている製品のうち、◆プベルル酸を含む可能性のあるサプリメントを摂取し、◆「相応の因果関係が認められる人」としていて、会社は医師の診断内容を総合的に考慮して補償を進めるとしています。

補償の内容は、◆治療に必要となった医療費と交通費、◆慰謝料、◆症状によって休業しなければならなかった分の休業補償、◆後遺障害によって将来得られたはずの収入が減少した場合の「逸失利益」で、亡くなった人についてはこれとは別に対応するとしています。

8月19日から受付を開始するとしていて、問い合わせの電話番号は0120ー663ー272です。

今後求められる経営陣の対応

一連の問題について、小林製薬の経営陣は、「あってはならないことを起こしてしまい、痛恨の極みだ。改めて、おわびを申し上げます。他者をおもんぱかる想像力が事業の出発点だが、これを見失ってしまった。会社の歴史において最大の難局にある」と述べ、陳謝しました。

そして、「責任を持って補償をやりきることが使命で、粉骨砕身、身をささげてきたい」とも述べました。

新経営陣は、業績の改善をはかりながら、健康被害に対する補償への対応や、品質管理体制の再構築にどう取り組むか、課題に直面することになります。

また、今回の問題では、会社が健康被害が疑われる事例を把握したあとも、適切な経営判断ができず、消費者への注意喚起や製品回収の判断が遅れたことが批判されました。

小林製薬では、コーポレートガバナンス=企業統治の抜本的な改革を行うための経営体制について、2025年3月の株主総会で諮る方針を明らかにしていますが、社会からの信頼を取り戻すことが出来るのかが問われています。以 上

筆者 平木雅己(ひらきまさみ)選挙アナリスト

元NHK社会部記者。選挙報道事務局を長く勤め情勢分析や出口調査導入に尽力。小選挙区制度が導入された初めての衆議院議員選挙報道ではNHK会長賞を受賞。ゼネコン汚職事

件、政治資金の不正など政治家が関わる多くの事件・疑惑も取材。

その後、連合(日本労働組合総連合会)事務局にて会長秘書(笹森清氏)として選挙戦略の企画立案・候補者指導を担当、多くの議員の当選に尽力した。 

政策担当秘書資格取得後、法務大臣/自民党幹事長代理はじめ外務大臣政務官、衆参国会議員政策秘書として、外交・安全保障、都市計画、防災、司法、治安、雇用・消費者、地方自治などの委員会や本会議質問を作成、政策立案に携わる。

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