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来年度2025年度予算案の概算要求出揃う!  過去最大117兆円超 社会保障関連で34兆円超など 

 国の来年度2025年予算案の編成に向け、各省庁が財務省に提出する概算要求が8月30日に締め切られました。

社会保障や防衛など多くの分野で要求が増えたことから、一般会計の総額は117兆円を上回って過去最大となりました。

今回の概算要求で、厚生労働省は、医療や年金など社会保障の費用が増えるとして、今年度予算を4500億円以上、上回る34兆2763億円を要求しました。

       

【参考資料1 厚生労働省概算要求】

防衛省は、防衛力の抜本的な強化を進めるため、今年度予算より8100億円余り多い、8兆5389億円と過去最大となりました。

【参考資料2 防衛省概算要求】

文部科学省は、教員の処遇改善や働き方改革などへの対応として今年度予算より6100億円余り多い、5兆9530億円です。

【参考資料3 文部科学省概算要求】

財務省は、日銀の金融政策の転換で長期金利が上昇し、国債の利払い費が増えると見込んで、「国債費」の要求額を今年度予算を1兆9000億円余り上回る、28兆9116億円としました。

この結果、各省庁の概算要求の一般会計の総額は117兆円を上回り、過去最大となりました。110兆円を超えるのは4年連続となります。

一方、賃上げや少子化対策など政府が重要政策と位置づける事業では、具体的な金額を示さない「事項要求」も相次ぎ、実質的な要求額はさらに膨らむ見通しです。

各省庁の具体的な主な要求をまとめました。

今年1月の能登半島地震を受けた災害対策、東京電力福島第一原発にたまる処理水の海洋放出に伴う風評対策では、以下の要求項目が上がりました。

国土交通省は、能登半島地震で古い耐震基準の住宅で被害が多かったことを受けて、全国を対象に住宅や緊急車両が通行する道路沿いの建物の耐震化を促す事業などに300億円を

盛り込みました。

【参考資料4 国土交通省概算要求】

総務省は、消防や地域の防災力を強化するための費用として105億円を要求し、事項要求も行っています。

道路が寸断されても人員や資材を被災地に送るため機動力の高い小型の車両を消防に配備するほか、大規模な火災に備えて無人で走行する放水ロボットを整備する方針です。

復興庁は、東京電力福島第一原発にたまる処理水の海洋放出に伴う風評対策として、地元水産物の販路回復や漁業者の人材育成などを支援する事業に109億円を要求しています。

こども政策や育児、介護、雇用についての要求項目です。

こども家庭庁は、政府の「こども未来戦略」に明記された3人以上の子どもを扶養する「多子世帯」を対象とした大学授業料の実質無償化や、1歳児の保育士の配置基準の見直しについて、金額を示さない「事項要求」として要求しました。

また、民間企業と連携した若い世代への結婚支援の強化策などとして、53億円を要求しました。

さらに、子どもに接する仕事に就く人に性犯罪歴がないかを確認する新たな制度「日本版DBS」の実施に向けたシステム開発費などには22億円を盛り込んでいます。

厚生労働省は、フリーランスとして働く人が育児や介護をしながら安心して働けるよう、就業環境改善のためのモデル事業を行うことや発注事業者への研修を実施するための費用として、9300万円を要求しています。

また、最低賃金の引き上げに伴って従業員の賃上げと設備投資の両方を行った中小企業への助成として22億円を要求しています。

国土交通省は、トラックドライバーの賃上げ原資の確保を目指して、多重下請け構造の是正や標準的運賃の普及に向けた実態調査をする費用として、1億円を盛り込みました。

厚生労働省は、医薬品の供給不足が続いていることを踏まえ、供給状況をより迅速に医療現場などに提供し、供給状況の早期改善を図るシステムの開発に必要な費用として3億円を盛り込みました。

文部科学省は、教員の処遇改善や働き方改革のために、教員の給与への上乗せ分を現在の月給の4%から13%に引き上げることや、教科担任制の拡充などに必要な経費として、1兆5807億円を要求しました。

法務省は、育成就労制度の創出や、インバウンドの増加を踏まえた出入国在留管理の体制整備に関する費用として362億円を要求しました。

政府は2027年度にかけて防衛力を抜本的に強化する方針で、防衛省をはじめ各省庁が防衛や安全保障関連の経費を要求しています。防衛力強化や安全保障に関連する要求項目は次のようになります。

防衛省は、複数の人工衛星を連携させて情報を収集するシステム、「衛星コンステレーション」を構築するための費用として、3232億円を要求します。

北朝鮮が弾道ミサイルの発射を繰り返す中、発射の兆候を把握する能力を高めるねらいがあります。

また、侵攻してきた敵の車両などを攻撃する小型の無人機の取得費用として30億円、島しょ部などに必要な部隊を輸送するため民間船舶6隻を確保する経費として509億円を盛り込みました。

外務省は、OSA「政府安全保障能力強化支援」という、同志国の軍に防衛装備品を提供する取り組みに51億円を要求し、事項要求としても盛り込んでいます。

内閣官房は「台湾有事」なども念頭に、沖縄県石垣市や宮古島市など先島諸島の5つの市町村に「特定臨時避難施設」とするシェルターを整備するための調査などを行う費用、2億円を盛り込みました。

インターネットはじめSNS上での偽情報拡散などへの対策についても各省庁が要求を出しています。

総務省は、インターネット上の偽情報、誤情報の拡散に対応するため、実態調査をする費用などとして20億円を要求しています。

 【参考資料5 総務省概算要求】

外務省は、偽情報を発見するためのモニタリングや正しい情報を発信するための体制の拡充に21億円を要求しました。

警察庁は、生成AIを活用したフィッシングサイト対策に2600万円を要求しました。

                                     以 上

筆者 平木雅己(ひらきまさみ)選挙アナリスト

元NHK社会部記者。選挙報道事務局を長く勤め情勢分析や出口調査導入に尽力。小選挙区制度が導入された初めての衆議院議員選挙報道ではNHK会長賞を受賞。ゼネコン汚職

事件、政治資金の不正など政治家が関わる多くの事件・疑惑も取材。

その後、連合(日本労働組合総連合会)事務局にて会長秘書(笹森清氏)として選挙戦略の企画立案・候補者指導を担当、多くの議員の当選に尽力した。 

政策担当秘書資格取得後、法務大臣/自民党幹事長代理はじめ外務大臣政務官、衆参国会議員政策秘書として、外交・安全保障、都市計画、防災、司法、治安、雇用・消費者、地方自治などの委員会や本会議質問を作成、政策立案に携わる。 

☆出稿資料☆
       

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