同性婚を認めない民法などの規定は憲法に違反するとして、同性カップルら7人が国を訴えた訴訟の控訴審判決で、東京高裁(谷口園恵裁判長)は2024年10月30日、規定について、「違憲」と判断した。その上で、国会が立法措置を怠ったとは認めず、国の賠償責任を否定した1審・東京地裁判決(2022年11月)を支持し、同性カップル側の控訴を棄却し賠償請求は退けた。
今回の東京訴訟の控訴審では、30~60代の同性カップルら7人が国に1人当たり100万円の賠償を求めていた。
この度の判決は、同性婚を認めない民法の規定が憲法に違反していると判断したもので、これは日本における重要な法的進展となった。
判決は、同性婚を認めないことについて
「合理的な根拠に基づかずに、性的指向により法的な差別的取り扱いをするものだ」
と決定づけた。
全国5地裁で6件起こされた同種訴訟で、高裁判決は2件目。初の高裁判決だった札幌高裁は3月、規定は「違憲」と判断していた。
憲法24条1項は、婚姻について「両性の合意のみに基づいて成立する」などと規定されている。
24条2項では、婚姻や家族に関する法律は「個人の尊厳と両性の本質的平等に立脚して、制定されなければならない」と定められている。
この判決は、憲法14条の「法の下の平等」と、24条2項の「個人の尊厳と両性の本質的平等」に基づいている。これにより、同性カップルに対する法的な差別が認められないとされた。
この判決は、全国で起こされた同種の訴訟の中で2例目の高裁判決であり、初の高裁判決は札幌高裁で3月に下されていた。
憲法第24条第1項は、1947年に施行された日本国憲法の一部で、婚姻に関する基本的な原則を定めている。この条文は、婚姻が両性の合意のみに基づいて成立し、夫婦が同等の権利を有することを基本としている。
この場合の「両性」とは「男性」と「女性」の両方の性を指しており、男性同士、女性同士については婚姻を認めていないという見解と、
「両性の合意」とは、家父長制の下で婚姻を親や家に決められてきたことを否定するために設けられていて、「当事者間の合意」を指すものであり、同性間での婚姻を否定しているものではないという見解がある。
確かに、この条文は戦後の社会状況を反映しており、現代の多様化した家族観や価値観に対しては古すぎて、対応しきれない部分も出てきた。例えば、同性婚や事実婚など、当時は想定されていなかった家族の形態が増えてきている。
世の中の変化に対応するために、憲法や関連する法律の改正が今後議論されることも問われている。
☆参考サイト☆
同性婚認めない法制度は「違憲」 国の賠償責任は否定 東京高裁
同性婚を認めない民法規定は「違憲」 東京高裁 高裁判決は2例目
日本国憲法第24条 – Wikipedia.
憲法第24条の条文をわかりやすく説明|同性婚と憲法の関係性とは.
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