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自民党憲法改正実現本部 岸田首相出席で「自衛隊明記」の議論加速指示

自民党は、7日、岸田文雄首相出席の下、憲法改正実現本部を開催しました。

岸田首相は、憲法への自衛隊の明記について「国民の命や身体や自由を守るという国家の最も重要な責務をしっかりと明記することは、緊急事態条項とともに大変重要な課題だ」と述べ、8月中に論点整理を行うよう指示しました。

そのうえで「憲政史上初の国民投票にかけるなら、ぜひ緊急事態条項とあわせて、自衛隊の明記も含めて国民に判断してもらうことが重要だ」と述べ、国民投票を行う際には「自衛隊の明記」と「緊急事態条項」の2つの論点を問いたいという考えを示しました。

そして「国会で3分の2の賛同をどのように得て、国民投票を通じてどのように実現していくのか、現実論の戦いも重要だ。来年は自民党結党70年の大きな節目を迎える。ぜひ長年の懸案である憲法改正の議論を進めてほしい」と述べ、「議員任期特例の条文化」と「自衛隊明記」などに関する論点整理を行う二つの作業部会の新設も決定しました。

 【参考資料1 党内のみ 自民党ワーキングチームの議論まとめ】

 【参考資料2 党内のみ 条文イメージたたき台素案】

自民党の憲法議論の経緯

自民党は、1955年の結党以来、自主憲法制定を党是としています。

理由は、現行憲法は、連合国軍の占領下において、同司令部が指示した草案を基に、その了解の範囲において制定されたという経緯を重く見ているからです。

国の主権が制限された中で制定された憲法には、国民の自由な意思が反映されておらず、自衛権の否定ともとられかねない9条の規定など、多くの問題を有しているとの認識です。

そして、これまでに党内で議論を重ね、憲法改正に向けて多くの提言を発表してきました。

1956年4月28日『中間報告-憲法改正の必要と問題点』、1972年6月16日『憲法改正大

綱草案(試案)-憲法改正の必要とその方向』、1982年8月11日『日本国憲法総括中間報告』、2005年11月22日『新憲法草案』、2012年4月27日『日本国憲法改正草案』で、野党時代、当時の谷垣禎一総裁の下で、提案された『日本国憲法改正草案』が基本となっています。

【参考資料3 自民党『日本国憲法改正草案』】

『改正草案』の主な内容です。

安全保障では、自衛権を明定し国防軍の設置を規定し、あわせて、領土等の保全義務を規定しています。

また、緊急事態の章を新設し、有事や大災害の時には、緊急事態の宣言を発することができることとし、その場合には、内閣総理大臣が法律に基づいて一定の権限を行使できるようにするとともに、国等の指示に対する国民の遵守義務を規定しています。あわせて、国会議員の任期の特例などを定めることができるよう規定しています。

憲法改正の発議要件について、これまで、両院で3分の2以上の賛成が必要とされていたものを、過半数と改め、緩和していることなどが大きな論点です。

さらに、憲法施行70年の17年12月20日に、憲法改正に関する論点整理を行い、(1) 第9条の第1項、第2項の維持、新設「9条の2」における自衛隊の存在の明記、(2) 緊急事態条項(国家緊急権)の規定、(3) 参議院議員選挙区の合区見直しと地方公共団体の位置付け、(4) 教育環境の充実化の「改憲4項目」をまとめています。

岸田政権下での議論

岸田首相は、21年9月の就任以来、自民党総裁の任期中に憲法改正を目指す考えを繰り返してきました。

この背景には、21年10月の衆議院選挙、そして22年7月の参議院選挙の結果、衆参両院で自民・公明両党と維新、国民など憲法改正に前向きな勢力・議席数が3分の2を超えたことが大きく、21年11月、自民党は「憲法改正実現本部」へと組織を改組しています。

また、22年12月、衆院憲法審査会が、緊急事態条項の論点整理を行い、与野党の5会派が議員任期延長を一致していること、24年3月の自民党大会において、「憲法改正の年内実現をめざす」との運動方針も決定されていることも岸田首相の姿勢を後押ししています。

自民党はこれまで、党派を超えて連携できる項目として、緊急事態に国会議員の任期を延長するなどの「緊急事態条項」を先行して検討してきた経緯があります。

しかし、7日の岸田首相からの指示について「9月の総裁選挙でいわゆる保守層の支持を得るねらいがあるのではないか」「内閣支持率が低迷し公然と退陣を迫る声も出る中、結党70年という目標を設定し、憲法改正を総裁選再選の柱に据えるのではないかという見

方も出ています。

憲法改正の発議は過去例がないこともあり、自民党は野党第1党との合意を重視してきました。自民党はこうした方針を今後も堅持するのか。

それとも改正に前向きな公明・維新・国民との作業に舵を切ることになるのか。

緊急事態時の議員任期延長、自衛隊の明記という課題以外にも、新型コロナウイルスいわゆるパンデミックへの対応、性同一障害はじめ性別や婚姻をめぐる憲法判断などの課題も生じています。

憲法をめぐる議論は政治や社会の動きに影響を受けます。憲法がすべての法律に勝り、国の指針を定めた最高法規ゆえに議論の大前提となるのは、「国民からの信頼」しかありません。

「信頼」を持ち得ている政治なのか、憲法議論の際、常に考えるべき言葉です。以 上

筆者 平木雅己(ひらきまさみ)選挙アナリスト

元NHK社会部記者。選挙報道事務局を長く勤め情勢分析や出口調査導入に尽力。小選挙区制度が導入された初めての衆議院議員選挙報道ではNHK会長賞を受賞。ゼネコン汚職事件、政治資金の不正など政治家が関わる多くの事件・疑惑も取材。

その後、連合(日本労働組合総連合会)事務局にて会長秘書(笹森清氏)として選挙戦略の企画立案・候補者指導を担当、多くの議員の当選に尽力した。 

政策担当秘書資格取得後、法務大臣/自民党幹事長代理はじめ外務大臣政務官、衆参国会議員政策秘書として、外交・安全保障、都市計画、防災、司法、治安、雇用・消費者、地方自治などの委員会や本会議質問を作成、政策立案に携わる。

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☆出稿資料☆

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