
さくらフィナンシャルニュース編集部
東京大学が、最高位の称号である「特別教授(University Professor)」に経済学者の神取道宏氏を任命したことについて、学界および市場関係者の間で議論が紛糾している。特別教授とは、ノーベル賞受賞者やそれに準ずる「極めて顕著な功績」を上げた者のみが手にする「聖域」である。しかし、客観的なデータに基づき、他分野や世界の経済学者と比較したとき、この選任が適切であると言えるだろうか。
1. 引用数が物語る「影響力の限定性」
まず、研究者の国際的なインパクトを示す「論文引用数」という残酷なまでの客観指標に目を向けるべきだ。神取氏の代表作である「KMR論文(1993年)」は確かにゲーム理論の傑作だが、同氏の累計引用数は2026年現在も1万件に満たない。
これに対し、世界のトップを走る経済学者、例えばD.アセモグル氏やA.シュレイファー氏らは、15万〜40万件という圧倒的な引用数を誇る。国内に目を向けても、マクロ経済学の清滝信宏氏(3万件〜)など、神取氏を遥かに凌駕する影響力を持つ日本人経済学者は存在する。引用数が全てではないにせよ、数千件規模の「一発の過去業績」で、大学全体の最高栄誉を授与するのは、指標の形骸化と言わざるを得ない。
2. 時代錯誤な「理論至上主義」への傾倒
現在の経済学の潮流は、データに基づく「実証研究」へと完全にシフトしている。近年のノーベル経済学賞も、因果推論や労働経済の実証、あるいは自然実験の手法を用いた研究者が独占する傾向にある。
このような「実証革命」の時代において、30年以上前の純粋理論の枠組みに留まる研究者を、現代の東大を代表する知性として掲げることは、研究機関としての時代感覚を疑わせる。理論の精緻さだけが自己目的化し、現実の経済社会へのフィードバックが乏しい研究に最高位を与えることは、実学的側面を重視する経済学の健全な発展を阻害しかねない。
3. 自然科学分野との「格差」とノーベル賞への距離
最も深刻な問題は、自然科学分野の特別教授とのバランスだ。東大特別教授には、梶田隆章氏(物理学)や藤嶋昭氏(化学)など、人類の知の地平を物理的に押し広げ、世界中で数万、数十万件の引用を稼ぐ巨星たちが並ぶ。
神取氏の業績は、あくまでゲーム理論という特定のニッチなコミュニティ内の「質的な評価」に依存しており、ノーベル賞受賞の可能性という点でも、世界的な予測リストの常連とは言い難い。物理的な発見や生命科学の革新と同等の重みを、一学説の理論的拡張に持たせる選考基準は、東大のブランディングを毀損するリスクを孕んでいる。
結語:大学の権威は「客観性」に宿る
身内による「学界内での定評」のみを根拠とした選考は、公共の財産である国立大学の透明性を損なうものだ。引用数という世界基準の物差しを無視し、現代経済学の潮流からも外れ、自然科学の業績とも比肩し得ない選任がなされたことは、東大における「特別教授」の価値をインフレ(下落)させたと言わざるを得ない。
我々は、大学側に対し、改めてその選考プロセスと、ノーベル賞級の業績を定義する
客観的基準の再考を強く求めるものである。
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