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天皇陛下をお迎えし国会開会式

国会は4日、参議院本会議場で天皇陛下をお迎えして、開会式が行われました。

衆参両院を代表して額賀衆議院議長が「わが国をめぐる内外の諸情勢は、依然として厳しいものがある。内政、外交のそれぞれにおいて必要かつ適切な施策を講じ、国民生活の安定向上を図るとともに、世界平和の確立にいっそう大きな役割を果たしていかなければならない」と述べました。

このあと、天皇陛下が「全国民を代表する皆さんと一堂に会することは、私の深く喜びとするところであります。国会が、当面する内外の諸問題に対処するにあたり、国権の最高機関としてその使命を十分に果たし、国民の信託に応えることを切に希望します」と、おことばを述べられました。

衆参両院にて石破首相の所信表明演説

             【参考資料 第214回臨時国会 石破茂首相 所信表明演説】

この後、衆参両院で石破首相による所信表明演説が行われました。

冒頭、石破首相は「全身全霊をささげ、日本と日本の未来を守り抜く。政治資金問題で失われた政治への信頼を取り戻し、納得と共感をいただきながら安全安心で豊かな日本を再構築する」と述べました。

そして、自民党の政治とカネの問題について、収支報告書に不記載があった議員一人一人に反省を求めながら自身も説明責任を果たす考えを示し「さらに透明性を高める努力を最大限行うことを約束する」と強調しました。

外交・安全保障では、ロシアのウクライナ侵攻に中東情勢なども相まって国際社会は分断と対立が進んでいると指摘し、日米同盟を基軸に友好国や同志国を増やし、日本の平和と地域の安定を実現するとしています。

日韓関係では来年の国交正常化60周年も見据え、協力をさらに堅固で幅広いものとする

としています。

中国については、あらゆるレベルで意思疎通を重ねるとした一方、東シナ海などでの力に

よる一方的な現状変更の試みを強化していることに触れ、主張すべきは主張し、共通の諸課題では協力する「建設的かつ安定的な関係」を双方の努力で築いていく考えを示しまし

た。

ウクライナ情勢をめぐってはロシアへの制裁とウクライナ支援は今後も強力に推進するとした上で、ロシアとの関係は領土問題を解決して平和条約を締結する方針を堅持するとしています。

また、北朝鮮による拉致問題は、最重要課題だとして、すべての拉致被害者の1日も早い帰国を実現するとしています。

そして、日本は戦後最も厳しく複雑な状況に直面しており、防衛力を抜本的に強化すべきだとして、その基盤となる自衛官の処遇や勤務環境の改善を進めるため、自身をトップとする関係閣僚会議を設置する考えを示しました。

さらに、沖縄の基地負担の軽減や経済強化への支援に引き続き取り組むとしています。

経済政策をめぐっては、デフレ脱却を確かなものにし、危機に強じんな経済・財政を作っていくとした上で、物価上昇を上回る賃上げを定着させ、最低賃金を2020年代に全国平均で1500円まで引き上げることを目指す考えを示しました。

また、賃上げと投資がけん引する成長型の経済を実現するため、早急に経済対策を策定し、当面の対応として物価高の影響を特に受ける低所得世帯への支援などを進めると説明しました。

さらに、貯蓄から投資への流れを着実なものにし、国民の資産形成を後押しする「資産運用立国」の政策を引き継ぎながら、産業に思い切った投資が行われる「投資大国」に向けた施策を講じていく方針を示しました。

一方、人口減少について「国の根幹に関わる課題で『静かな有事』だ」とし、子育て支援のため短時間勤務の活用や勤務間インターバル制度の導入促進など働き方改革を推進する意向を表明しました。

地方創生をめぐっては「地方こそ成長の主役だ」と述べた上で、地方創生の交付金について、当初予算ベースで倍増を目指すなど、国、地方、国民が一丸となって永続的に取り組

む機運を高めていく決意を示しまし

防災分野では、世界有数の災害発生国の日本で人命最優先の体制を作るとして、内閣府の防災担当の予算や人員を抜本的に強化した上で、専任の大臣を置く防災庁の設置に向けた準備を進めていく考えを示しました。

その上で「災害関連死ゼロ」を実現するため、避難所のあり方を見直すとともに、発災後、速やかにトイレやキッチンカー、それにベッド・風呂を配備できる官民連携体制を平時から整えるとしています。

さらに地震と大雨による被害を受けた石川県の能登地方の復旧・復興に向けた取り組みを加速していく考えも示しました。

社会保障をめぐっては、多様な人生の選択肢を実現できる柔軟な制度設計を行うことや、社会のあらゆる組織の意思決定に女性が参画することを官民の目標として計画的に取り組むこと、それに男女間の賃金格差の是正に向けて、国民的議論を主導して制度改革を進めていく方針を示しました。

このほかエネルギー政策では、AIの普及による電力需要の激増も踏まえ、脱炭素化を進めつつエネルギー自給率も高めるため、安全を大前提として原発を利活用すると説明しました。

憲法改正をめぐっては、総理大臣在任中に発議を実現すべく、国民的な議論が深まることを期待したいと述べました。

そして最後に石破首相は、議員になる前、渡辺美智雄・元外務大臣の「政治家の仕事は勇気と真心をもって真実を語ることだ」ということばに感銘を受けたエピソードを紹介し「国民の納得と共感を得られる政治を実践することにより、政治に対する信頼を取り戻し、日本の未来を創り、日本の未来を守り抜く決意だ」と結びました。

新たな経済対策衆院選後に補正予算案提出へ

一方、石破首相は4日午前の閣議で「成長と分配の好循環が力強く回っていく経済を実現しなければならない。賃上げや設備投資などが改善を続けているが、デフレからの脱却を確実なものとすることが必要だ」と述べました。

その上で、物価高の克服、地方を含めた経済成長、それに国民の安全・安心の3つを柱と

する経済対策の策定を閣僚に指示しました。

この中では、物価高の影響を特に受ける低所得世帯向けの給付金や、地域の実情に応じた「重点支援地方交付金」などを盛り込むのに加え、エネルギーコストの上昇に強い社会の実現も図るとしています。

また、成長につながる国内投資の促進に取り組み、中堅・中小企業の賃上げも支援するとしています。

さらに、石川県能登地方などの復旧・復興に全力を尽くし、防災体制の抜本強化や避難所の環境整備などを進める方針です。

その上で、10月27日に投票が行われる見通しの衆議院選挙のあと、速やかに経済対策を決定し、今年度の補正予算案を国会に提出する考えを示しました。

そして、石破首相は、能登地方の被災地支援は迅速で切れ目ない対応が必要だとして、10月中旬をめどに予備費を使用した追加の措置を講じることも指示しました。

今後の日程

国会は7日衆議院、8日参議院で代表質問が行われ、9日には党首討論が開催されることで与野党が合意しました。

そして、石破首相は、9日に衆議院の解散を行い、各党は15日公示・27日投開票の日程で総選挙に臨みます。

                                     以 上

筆者 平木雅己(ひらきまさみ)選挙アナリスト

元NHK社会部記者。選挙報道事務局を長く勤め情勢分析や出口調査導入に尽力。小選挙区制度が導入された初めての衆議院議員選挙報道ではNHK会長賞を受賞。ゼネコン汚職事件、政治資金の不正など政治家が関わる多くの事件・疑惑も取材。その後、連合(日本

労働組合総連合会)事務局にて会長秘書(笹森清氏)として選挙戦略の企画立案・候補者指導を担当、多くの議員の当選に尽力した。 

政策担当秘書資格取得後、法務大臣/自民党幹事長代理はじめ外務大臣政務官、衆参国会

議員政策秘書として、外交・安全保障、都市計画、防災、司法、治安、雇用・消費者、地方自治などの委員会や本会議質問を作成、政策立案に携わる。
☆出稿資料☆

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