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日本を取り巻く安全保障環境の激変と緊張、国際平和・協調のための   防衛省、外務省の概算要求のまとめ

日本を取り巻く安全保障環境が激変しています。

中国は軍事力を急速に増強するとともに、尖閣諸島周辺を含む東シナ海や太平洋などでの活動を活発化させています。

北朝鮮は核・ミサイル開発を進展させ、弾道ミサイルなどの発射を強行しています。

また、ロシアはウクライナ侵略を継続させるなかで、北方領土を含む極東地域での活発な軍事活動を継続させており、さらには中国と共同での航空機や艦艇の活動も確認されています。

こうした複雑かつ厳しい国際情勢の下、国民の命と暮らしを守るため、防衛省、外務省が概算要求で求めた来年度2025年予算をまとめました。

防衛省 来年度予算案の概算要求 過去最大の8兆5389億円

【参考資料1 防衛省概算要求】

防衛省は、概算要求で、今年度の当初予算を8140億円上回る過去最大の8兆5000億円余を求めています。

防衛省が提出した概算要求によりますと、弾道ミサイルの発射の兆候を把握したり、敵の艦船などを探知・追尾したりするため、複数の人工衛星を連携させて情報を収集するシステム「衛星コンステレーション」を構築する費用が初めて盛り込まれ、3232億円を計上しています。

また、敵の射程圏外から攻撃でき「反撃能力」としても活用する「スタンド・オフ・ミサイル」として、艦艇から発射できるよう改良し、射程距離も伸ばした「12式地対艦誘導弾」に、170億円を計上するなどしています。

このほか、◇侵攻してきた敵の車両などを攻撃する小型の無人機の取得、◇違法なドローンを探知して無力化する器材の導入費用なども盛り込まれています。

政府は、防衛力の抜本的強化に向けた整備計画に基づいて、2028年度までの5年間にあわせて約43兆円を支出するとしていて、防衛費は昨年度から急速に増えていますが、それを賄うための増税は実施時期が決まっておらず、9月の自民党総裁選挙などでも論点となることが予想されます。

概算要求に新たに盛り込まれた主な事業です。

【航空自衛隊の自動警戒管制システムを大規模改修】

弾道ミサイルなどの攻撃に対応するため、航空自衛隊の自動警戒管制システム、いわゆる「JADGE」を大規模に改修するとしています。

モバイル端末を使って、防空指令所以外の場所からも指揮できるようにするとともに、極超音速ミサイルへの対処能力も向上させるとして、126億円を計上しています。

【旧式の戦車 一部を保管へ】

戦いを継続する能力=「継戦能力」を強化しようと、使われなくなった戦車の一部を廃棄せずに保管することになりました。

ことし3月で退役した「74式戦車」をおよそ30両、後継の「90式戦車」のうち使われていない数両を、それぞれ保管するとしています。

こうした予備の装備品を維持するため、7億円を計上しています。

【新たな装備品の研究開発費】

新たな装備品の研究開発費も盛り込まれています。

具体的には、◇潜水艦から大型のミサイルを発射できる垂直発射システムに300億円、◇多数の無人機による襲撃などに対応する護衛艦のレーザーシステムに191億円、◇隊員と連携して敵を攻撃したり物資を運んだりする陸上型の無人機に14億円を、それぞれ計上しています。

概算要求に新たに盛り込まれた施設整備関連です。

【東京 南鳥島 訓練用の射撃場計画】

東京 小笠原諸島の南鳥島では、地上から海上の艦艇を攻撃する陸上自衛隊の「12式地対艦ミサイル」の訓練用の射撃場の整備が計画されていて、再来年度以降の運用開始を目指

しています。

この射撃場の整備や、発射したミサイルを追尾するレーダーを配備する費用として、48億円が盛り込まれています。

【長崎 佐世保分屯地と鹿児島 鹿屋航空基地の弾薬庫整備への調査費】

2032年ごろまでに全国で130棟程度を整備することにしている弾薬庫について、新たに長崎県の佐世保分屯地と鹿児島県の鹿屋航空基地で、整備に向けた調査費が盛り込まれました。

【沖縄 北大東島 警戒管制レーダーと部隊の配備計画】

沖縄県の北大東島では、航空自衛隊の移動式の警戒管制レーダーと部隊を配備する計画で、2027年度までに最低限の施設の整備を行うための費用などとして144億円が盛り込まれました。

【広島 呉に防衛拠点の整備検討 地形測量など】

広島県呉市では、装備品などの製造や物資の集積、艦艇の配備など、複数の機能を持たせた防衛拠点の整備を検討していて、地形を測量するための費用など5億円が盛り込まれています。

来年度の新たな部隊の発足計画についてです。

【海上自衛隊 情報作戦集団が発足】

海上自衛隊では、偽情報の拡散など「情報戦」に対応するため、情報技術やサイバー対策などを担う「情報作戦集団」が発足します。

これまで海上自衛隊にあった情報に関わる部隊を整理、集約して、防衛省に拠点を置き、指揮官には階級が最も高い海将が就きます。

【海上自衛隊 「水上艦隊」を新編】

海上自衛隊では、52隻の護衛艦を運用する「護衛艦隊」と、機雷の除去などを行う「掃海隊群」などを統合して、「水上艦隊」を新編します。

司令部は神奈川県の海上自衛隊横須賀基地に置き、海将が指揮官を務めます。

【航空自衛隊 宇宙空間監視部隊を規模拡大 名称「宇宙作戦団」】

航空自衛隊では、宇宙空間の監視などを行う部隊の規模を拡大して、名称を「宇宙作戦団」とします。

東京の府中基地に司令部を置き、人員はこれまでの2倍余りのおよそ670人に増えるということです。

【陸上自衛隊 沖縄 石垣駐屯地に「電子戦部隊」配備】

陸上自衛隊では、再来年度、沖縄県の石垣駐屯地に、電波情報を収集したり妨害したりする数十人規模の「電子戦部隊」を新たに配備するということです。

電子戦部隊は沖縄県の与那国駐屯地や那覇駐屯地などを含む全国13か所に配備されていて、今年度末までに宮古島駐屯地にも配備される予定です。

外務省 概算要求 偽情報対策 AI活用の国際情勢分析に600億円余

【参考資料2 外務省概算要求】

外務省は、SNS上などに出回る偽情報への対策や、AIを活用した国際情勢の分析を強化するため、来年度予算案の概算要求に、600億円余を盛り込んでいます。

外務省が提出した概算要求は、デジタル庁が所管するものを除き、今年度の当初予算より889億円多い、8146億円となっています。

この中では、東京電力福島第一原発にたまる処理水の海洋放出をめぐり、SNS上で誤った情報が出回ったことなどを踏まえ、「情報戦」に対応するための取り組みに662億円を盛り込んでいます。

具体的には、◇偽情報を見つけるためのモニタリング、◇AIを活用した国際情勢の分析、◇戦略的な対外発信などを強化するとしています。

また、◇同志国の軍隊に防衛装備品を提供するOSA=「政府安全保障能力強化支援」を拡充する費用として51億円、◇来年の大阪・関西万博で日本を訪れる海外要人の接遇費として27億円を計上しています。以 上

筆者 平木雅己(ひらきまさみ)選挙アナリスト

元NHK社会部記者。選挙報道事務局を長く勤め情勢分析や出口調査導入に尽力。小選挙区制度が導入された初めての衆議院議員選挙報道ではNHK会長賞を受賞。ゼネコン汚職事件、政治資金の不正など政治家が関わる多くの事件・疑惑も取材。

その後、連合(日本労働組合総連合会)事務局にて会長秘書(笹森清氏)として選挙戦略の企画立案・候補者指導を担当、多くの議員の当選に尽力した。 

政策担当秘書資格取得後、法務大臣/自民党幹事長代理はじめ外務大臣政務官、衆参国会議員政策秘書として、外交・安全保障、都市計画、防災、司法、治安、雇用・消費者、地方自治などの委員会や本会議質問を作成、政策立案に携わる。 

☆出稿資料☆ 
              

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