米国航空宇宙企業スペース・エクスプロレーション・テクノロジーズ(スペースX)の最高経営責任者、テスラの最高経営責任者(CEO)、そしてソーシャルメディアXの所有者であるイーロン・マスク氏(53歳)は、AIスタートアップが私益と商業的利益を優先しているとして2024年2月末に一度OpenAIとサム・アルトマン氏CEO(39歳)を訴えていましたが、
2024年8月に入って再び訴訟を起こしました。
「共同創業者たちはAGI(汎用人工知能)に強い期待感を持つよりも、グーグルなどの資金力が豊かな巨大企業の力が増すことを懸念して議論することのほうに多くの時間を費やしているのだ。」とイーロン・マスク氏は憤ります。
マスク氏の訴訟の相手はOpenAIと、その経営陣2名、最高経営責任者(CEO)のサム・アルトマン氏と社長のグレッグ・ブロックマン氏(37歳)。この2名は2015年、ロケットと電気自動車(EV)の分野の起業家であるマスク氏と共同でOpenAIを設立した人物です。
マスク氏はOpenAIが無謀にも人間に匹敵する水準の人工知能(AI)を開発し、マイクロソフトにそのライセンスを供与したと非難して2名に対して訴訟を起こしました。訴状の中で、非営利組織として立ち上げられたはずのOpenAIが、実際には世界最大のテクノロジー企業であるMicrosoftの事実上のクローズドソースな子会社に変わってしまったと主張しています。
マスク氏はOpenAI立ち上げ時に、「OpenAIを非営利組織として、その技術をオープンソースのまま維持する」という設立契約を結んだとしていました。
しかし、OpenAIはマスク氏とたもとを分かち合った後にMicrosoftと提携し、開発したあらゆる技術をオープンソースで公開することはなくなりました。
マスク氏
「被告らは、AGIを開発するために私の寄付を故意に繰り返し受け入れたが、AGIが実現した暁には、その条件を尊重する意図はなかった。一例を挙げると、GPT-4、GPT-4T、GPT-4oはすべてクローズドソースで秘密に包まれており、被告らは非営利を完全に営利事業に変えようと積極的に取り組んでいる。」
そのためOpenAIが設立契約に違反しているとしています。
マスク氏は裁判所に対し、OpenAIをオープンソースのソフトウェアを開発する非営利団体に強制的に戻し、サム・アルトマン氏とグレッグ・ブロックマン氏が財務上の利益のためにOpenAIやその資産を利用すること、あるいはMicrosoftやその他の団体の利益のためにOpenAIを利用することを禁止する命令を出すよう求めていました。
これに対してOpenAI側は、会社立ち上げ初期に送られたマスク氏の電子メール数通を含むブログ記事を公開しました。
その電子メールには、
マスク氏が、AIの野望を実現するために必要なコンピューティングリソースを調達するには、OpenAI社が多額の資金を稼ぐ必要性を認めていることが示されており、
OpenAIが不当に利益を追求しているという彼の訴訟での主張とは対照的な内容でした。
マスク氏の弁護士は、同社がこれらの電子メールを公開した後、説明することなく訴訟を取り下げていました。
マスク氏が以前の訴訟を取り下げ、新たな訴訟を起こした理由について、マスク氏の弁護士マーク・トベロフ氏はニューヨーク・タイムズ紙に、「以前の訴訟は歯が立たなかった。しかしこれはより強力な訴訟だ」とトベロフ氏は確証しています。
☆参考リンク☆
Elon Musk sues OpenAI, Sam Altman for making a “fool” out of him | Ars Technica
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