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自由民主党総裁選:9月12日告示  高市早苗、小林鷹之、林芳正、小泉進次郎、上川陽子、 加藤勝信、河野太郎、石破茂、茂木敏充の9氏による争いに

自由民主党の総裁選挙が9月12日告示されました。

立候補の受付は、午前10時から党本部の9階に設けられた会場で行われ、9人の候補者の代理人が20人の国会議員の推薦人名簿などを添えて届け出を済ませました。

抽せんの結果、届け出順は、高市早苗・経済安全保障相、小林鷹之・前経済安全保障相、林芳正・内閣官房長官、小泉進次郎・元環境相、上川陽子・外相、加藤勝信・元内閣官房長官、河野太郎・デジタル相、石破茂・元幹事長、茂木敏充・幹事長の順に決まりました。

候補者の数は1972年に推薦人を必要とする仕組みが導入されて以降、過去最多となりました。

9人は、このあと党本部で行われる立会演説会に臨み、本格的な論戦がスタートします。

9氏の主な経歴をまとめました。【届出順】

高市早苗・経済安保相

高市は、衆議院奈良2区選出の当選9回で63歳。無派閥で現在は経済安全保障担当大臣を務めています。

総裁選挙への挑戦は前回・2021年に続き2回目です。

大学卒業後、松下政経塾で学び、アメリカ連邦議会での勤務やテレビ番組のキャスターなどを経て、1993年の衆議院選挙に無所属で立候補し、初当選しました。

旧新進党などに所属したあと、1996年に自民党に入党。

その後、2003年の衆議院選挙で議席を失いましたが、2年後の選挙で郵政民営化に反対した相手候補の「刺客」として立候補し勝利しました。

保守的な政治信条で知られ、初当選が同期の安倍元総理大臣とも近く、2006年の第1次安倍内閣で沖縄・北方担当大臣として初入閣しました。

2012年に発足した第2次安倍内閣では、政務調査会長に就任。その後、総務大臣を歴代最長の在任期間となる1438日にわたり務めました。

前回2021年の総裁選挙では、安倍氏の支援も受けて初めて立候補し、1回目の投票で岸田総理大臣、河野デジタル大臣に次ぐ3位でした。

岸田内閣の発足に伴って再び政務調査会長に就任し、おととしからは経済安全保障担当大臣として、重要な情報へのアクセスを限定する「セキュリティークリアランス」制度の創設などに取り組んできました。

今回の総裁選挙に向けては、2023年11月から自身に近い議員らと定期的に勉強会を重ねてきていて、8月末にはその内容をまとめた書籍を出版するなど準備を進めていました。

小林鷹之・前経済安保相

小林氏は、衆議院千葉2区選出の当選4回で、49歳。旧二階派出身です。

総裁選挙には初めての挑戦です。

40代の議員の立候補は、2009年の総裁選挙に当時、共に46歳だった河野太郎氏と西村康稔氏が立候補して以来、15年ぶりとなります。

東京大学を卒業したあと1999年に当時の大蔵省に入省し、アメリカ・ワシントンの日本大使館に出向していた際、日本の存在感の低下に危機感を覚え、政治の世界に飛び込む決意をしました。

当時の谷垣禎一総裁に長文の手紙を書き、自民党からの立候補を直談判したといいます。

2012年の衆議院選挙で初当選し、防衛政務官などを務めたのち、2021年に岸田内閣が発足した際に、当選3回で経済安全保障担当大臣に抜てきされ初入閣しました。

党内では経済安全保障や知的財産戦略、科学技術・イノベーションなどの政策に精通した若手のホープと目され、衆議院憲法審査会の幹事として憲法改正の議論にも携わっています。

林芳正・内閣官房長官

林氏は衆議院山口3区選出の63歳。現在、内閣官房長官を務めています。

総裁選挙への立候補は自民党が野党だった2012年以来、2回目です。

林氏は商社に勤務したあと、大蔵大臣を務めた父 義郎氏の秘書官などを経て、1995年の参議院選挙で初当選しました。

参議院選挙には5回連続で当選し、この間、防衛大臣や農林水産大臣、文部科学大臣などを歴任しました。

2021年の衆議院選挙では「この国のかじ取りをしていくため、くら替えというハードルを越えなければならない」として参議院議員を辞職し、山口3区に立候補して初当選しました。

その後、岸田内閣で2023年9月まで外務大臣を務め、ロシアによるウクライナ侵攻をめぐる対応や、G7広島サミットの開催などに尽力しました。

小泉進次郎・元環境相

小泉氏は衆議院神奈川11区選出の当選5回で43歳。

総裁選挙には初めての挑戦です。

大学卒業後、アメリカのシンクタンクCSIS=戦略国際問題研究所の研究員を経て、父親の小泉純一郎元総理大臣の秘書を務めました。

2009年の衆議院選挙で、純一郎氏のあとを継いで立候補し、28歳の若さで初当選しました。

若手議員ながら、当時の民主党政権を厳しく追及し頭角を現します。

その後、党の農林部会長として農協改革に取り組んだほか、子育て支援にも力を入れ、保険料を財源に幼児教育を実質的に無償化する「こども保険」の導入を提言しました。

2019年に、安倍内閣で環境大臣に抜てきされて戦後3番目の若さとなる38歳で初入閣。

プラスチックごみを削減するためのレジ袋の有料化などを進め、菅内閣でも再任されました。

上川陽子・外相

上川氏は、衆議院静岡1区選出の当選7回で、71歳。旧岸田派の出身で、現在、外務大臣を務めています。総裁選挙への挑戦は初めてです。

東京大学を卒業後、三菱総合研究所に入り、ハーバード大学大学院に留学して政治行政学の修士号を取得しました。

アメリカ上院議員の政策立案スタッフを務めた経験もあります。

「海外から日本を眺め、改革の必要性を痛感した」として政治の道を志しますが、初めて立候補した1996年の衆議院選挙は落選。

2000年の衆議院選挙で初当選し、2007年に当選3回で少子化担当大臣に抜擢されます。

安倍内閣と菅内閣で3度にわたって法務大臣を務め、成人年齢を18歳に引き下げる民法改正に取り組んだほか、オウム真理教の麻原彰晃、本名・松本智津夫・元死刑囚ら13人に死刑の執行を命じました。

2023年9月には、女性では19年ぶりとなる外務大臣に就任。この1年で中東やウクライナなど、40あまりの国と地域を訪問しました。

「女性ならではの視点を外交に生かす」として、紛争の予防や和平に女性が主体的に参画することが重要だとする考え方、「WPS」の推進に特に力を入れています。

加藤勝信・元内閣官房長官

加藤氏は衆議院岡山5区選出の当選7回で、68歳。旧茂木派出身です。

東京大学を卒業したあと旧大蔵省に入り、義理の父親の加藤六月・元農林水産大臣の秘書などを経て、2003年の衆議院選挙で初当選しました。

六月氏が、安倍元総理大臣の父親、晋太郎氏の盟友だったこともあり、安倍氏とは旧知の

仲で、安倍内閣では2012年に官房副長官に起用されたほか、2015年に一億総活躍担当大

臣として初入閣しました。

その後も、党の総務会長などを歴任し、2020年に発足した菅内閣では官房長官として支えました。

厚生労働行政をはじめ、幅広い分野の政策に明るいことでも知られ、これまでに3回厚生労働大臣を務め、新型コロナ対応の陣頭指揮もとりました。

現在は、党の拉致問題対策本部長や衆議院予算委員会の筆頭理事を務めています。

総裁選挙には初めての挑戦になりますが、2018年に党の総務会長に就任した際には「常に高みを見据えながら進みたい」と述べ、将来的に総理大臣を目指したいという考えを示していました。

河野太郎・デジタル相

河野氏は衆議院神奈川15区選出の当選9回で61歳。麻生派に所属し、現在はデジタル大臣を務めています。

総裁選挙は3回目の挑戦です。

アメリカの大学を卒業後、会社勤務を経て1996年の衆議院選挙で初当選しました。

若い頃から総理大臣を目指すと公言し、自民党が野党だった2009年の総裁選挙に46歳で挑みました。

党が政権に復帰したあとの2015年には、安倍内閣で行政改革担当大臣などとして初入閣し、外務大臣や防衛大臣も歴任。

外務大臣として、2年あまりで訪問した国と地域はのべ123に上りました。

菅内閣では規制改革担当大臣を務めたほか、新型コロナのワクチン接種の担当として、供給促進に尽力しました。

2回目の挑戦となった前回・2021年の総裁選挙では、党員票の支持を集め、1回目の投票で岸田総理大臣と1票差の2位につけましたが、決選投票で水をあけられ、敗れました。

岸田内閣ではデジタル大臣に起用され、マイナンバーカードと健康保険証の一体化を推進し、トラブルへの対応にもあたったほか、いわゆる「日本版ライドシェア」の導入など、規制改革に取り組みました。

河野氏はかねて、将来的な「脱原発」などを主張し、歯に衣着せぬ言動から「自民党の異端児」とも呼ばれてきました。

石破茂・元幹事長

石破氏は、衆議院鳥取1区選出の当選12回で、67歳。総裁選挙には5回目の挑戦となります。

鳥取県知事や自治大臣を務めた石破二朗氏の長男として生まれました。

慶応大学を卒業後、銀行に勤めていましたが、田中角栄・元総理大臣の勧めで政治の世界に入りました。

旧田中派の事務局職員を経て1986年の衆議院選挙に立候補し、当時、全国最年少となる29歳で初当選します。

そして、リクルート事件をきっかけに党内の若手議員が結成した研究会に参加し、小選挙区制の導入など政治改革を訴えました。

1993年には、政治改革法案の取り扱いをめぐって、野党が提出した宮沢内閣に対する不信任決議案に賛成して自民党を離党。新生党、新進党を経て、1997年に自民党に復党しました。

2002年に小泉内閣で防衛庁長官として初入閣し、防衛大臣、農林水産大臣を歴任しました。

自民党が野党だった2012年の総裁選挙では最も多くの党員票を獲得しましたが、決選投票で安倍元総理大臣に敗れました。

第2次安倍政権発足後は、党の幹事長や地方創生担当大臣として政権を支えましたが、退任したあとは、安倍氏と距離を置きます。

4回目の挑戦となった2020年の総裁選挙では菅前総理大臣に敗れ、前回・2021年の総裁

選挙には立候補せず河野デジタル大臣を支援しました。

2015年に当時の安倍総理大臣の後継を目指したいとして立ち上げた派閥は、所属議員の減少などを受けて2021年に事実上解散しています。

ここ数年は、近い議員と政策勉強会を重ね、全国各地を回って講演するなど活動を続けてきました。

茂木敏充・幹事長

茂木氏は衆議院栃木5区選出の当選10回で、68歳。

総裁選挙には初めての挑戦です。

東京大学を卒業したあと商社や新聞社、外資系コンサルタント会社での勤務を経て、1993年の衆議院選挙で初当選しました。

2003年、小泉内閣で当選3回で沖縄・北方担当大臣、科学技術担当大臣として初入閣しました。

安倍内閣では経済産業大臣や経済再生担当大臣、外務大臣を歴任したほか、党でも政務調査会長や選挙対策委員長を務めました。

経済再生担当大臣を務めた際にはアメリカのトランプ政権と日米貿易協定の交渉にあたり、トランプ氏から「タフ・ネゴシエーター」と称されました。

2021年の衆議院選挙で甘利前幹事長が小選挙区で敗北し、辞任したのに伴い岸田総理大臣から後任の幹事長に起用されました。

総裁選挙の仕組み

自民党総裁選挙の投開票の仕組みです。

自民党の総裁選挙は、国会議員1人1票の「国会議員票」と全国の党員・党友による投票で配分が決まる「党員票」で争われます。現時点では「国会議員票」と「党員票」は同数のいずれも367票、あわせて734票となっています。

ただ、堀井学氏の議員辞職に伴い、比例代表北海道ブロックの自民党の名簿から候補者が投票日までに繰り上げ当選すれば「国会議員票」と「党員票」がいずれも1票ずつ増え、「国会議員票」と「党員票」がそれぞれ368票、あわせて736票となる見通しです。

「国会議員票」は今月27日に党本部8階のホールで投票が行われ、その場で開票されます。

一方、党員投票は、党の規程では去年までの2年間、党費を納めた党員に選挙権が与えられることになっていますが3年前の総裁選挙などと同様、今回も特例で去年1年分の党費を納めた党員にも与えられます。

今回、投票権を持つのは、全国105万5839人です。「党員票」の投票は12日以降、投票所での直接の投票やはがきなどで行われ、開票日前日の今月26日までに締め切られます。

各都道府県連が集計した投票数を党本部でまとめ、いわゆるドント方式で候補者に配分されます。

そして「国会議員票」と「党員票」をあわせた有効票の過半数を得た候補者が、新総裁に選出されます。

ただし、1回目の投票で過半数を得る候補者がいなかった場合は、上位2人による決選投票が行われます。

決選投票は、国会議員が改めて1人1票を投じるのに加え、各都道府県連にも1票ずつ割りふられます。

各都道府県連の1票は、党員投票の結果に基づき、上位2人のうち得票数が多い候補者が自動的に獲得する仕組みです。

今後の日程

12日告示された総裁選挙は、告示日から投票日前日までの期間は15日間となり、いまの規程が設けられた1995年以降、最も長くなります。

13日は午後1時から共同記者会見が行われるほか、14日は日本記者クラブ主催の討論会が予定されています。

今回は、全国8か所で演説会や討論会が行われます。

14日に名古屋市、15日に福島市、16日に金沢市、17日に那覇市、18日に松山市と大阪市、19日に東京、20日に松江市でそれぞれ開催されます。

また、22日から3日間、憲法改正や政治改革、経済財政などをテーマに事前に国民から寄せられた質問に答える政策討論会を行い、オンラインでも配信されます。

そして、27日の午後1時から党本部で「国会議員票」の投開票や「党員票」の開票が行われ、新しい総裁が選出されます。

                                     以 上

筆者 平木雅己(ひらきまさみ)選挙アナリスト

元NHK社会部記者。選挙報道事務局を長く勤め情勢分析や出口調査導入に尽力。小選挙区

制度が導入された初めての衆議院議員選挙報道ではNHK会長賞を受賞。ゼネコン汚職事

件、政治資金の不正など政治家が関わる多くの事件・疑惑も取材。

その後、連合(日本労働組合総連合会)事務局にて会長秘書(笹森清氏)として選挙戦略の企画立案・候補者指導を担当、多くの議員の当選に尽力した。 

政策担当秘書資格取得後、法務大臣/自民党幹事長代理はじめ外務大臣政務官、衆参国会議員政策秘書として、外交・安全保障、都市計画、防災、司法、治安、雇用・消費者、地方自治などの委員会や本会議質問を作成、政策立案に携わる。

 ☆出稿資料☆

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