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「私は無実です—。」秋元司元議員の有罪判決、この報道に私たちは何を見抜くべきか(上)

あなたがもし、身に覚えのないことで濡れ衣を着せられそうになったらー。
完璧な証拠があるなら、潔白を訴え、一刻も早く窮地を脱しようとするだろう。それが通じる世の中だと信じているからだ。
普通に生活を送っている人にしてみれば、「裁判所」というものは遠い世界のことに違いないし、裁判や取り調べがどのように行われているかもよく知らないだろう。

しかし生きていれば、被疑者としてではなくても、参考人として突然呼ばれて話を聞かれたり、関係者と見做されて調書を取られたりする可能性は大いにある。
想像してみて欲しい。
ずるいことなどひとつもしていない、騙すようなこともひとつもしていない、それを証明する証拠もばっちりあるのに、「お前は有罪だ」と決めつけられて、犯罪者と仕立て上げられてしまった瞬間のことを。

現代の日本に「そんなことあるわけない」とお思いだろうか?
2019年以降、「真実」を巡って検察と戦い続けている元代議士がいる。この2月、異例に長く待たされた第二審がようやく始まる。元代議士が立ち向かっている日本の司法の闇について伺った。

1.懲役4年。令和の世に、田中角栄レベルの判決を受けた国会議員がいた

2021年9月7日、ある事件の一審判決が出た。「懲役4年。」執行猶予もつかない厳しい実刑判決である。懲役4年の判決が出た事件といえば、1976年2月におきたロッキード事件にまで遡る。田中角栄元総理大臣が贈収賄で逮捕されたが、その際受け取ったとされる金額は、5億円。しかも、今から半世紀近くも前の相場で、である。

このあまりにも重い判決を受けたのが、当時、IR担当内閣府副大臣を勤めていた秋元司前衆議院議員である。2019年当時、日本で議論の進んでいたIR事業に便宜を図る見返りに、中国企業から賄賂を受け取ったとする収賄容疑で逮捕、立件されたという事件である。

秋元氏の著書「事実無根 私はこうして特捜に嵌められた」(徳間書店)には、操作から逮捕・立件、そして判決までの流れが詳しく綴られているが、読み手は「本当に法治国家である現代の日本で行われたことなのだろうか?」「この国の司法はきちんと機能しているのだろうか?」と、疑いの気持ちを抱かずにはいられないだろう。

思い出して欲しい。この近年で、ロッキード事件に匹敵するような重大な事件があっただろうか?今回、この記事でお伝えしたいのは、この事件が「冤罪」である可能性が非常に高い、という点なのだ

まるで、検察側が勝手に描いたストーリーに当てはめるように、と秋元氏は言う。

インタビュアー(以下、イ):秋元さんに起こった出来事を聞くと、今の日本でそんなことが起こるのか?司法は大丈夫なのか?と心配になってしまうのですが。

秋元司元代議士(以下、代):これが現実なのです。私は検察の制度に、「狙った獲物は絶対に逃さない」という意地のようなものを感じます。真実かどうかなど関係ない。

とにかく恐ろしいのは、検察は一気通貫で逮捕まで持っていくことができてしまうと言う点です。

普通こういう事件というと、まずは警察が捜査をして、証拠をそれなりに揃えて、検察に処理送検して、と言う手順を踏む。検察の方で起訴するかしないかということを判断するから、警察の捜査に不備があれば、何度も何度も検察から戻されて、警察としてもちゃんと起訴できるような形をしっかり証拠も積み上げて、そしてそれなりに時間と捜査をして書類送検するというのが一般的な形だと思うのですが、(検察の中の)特捜部だけは自分たちでストーリーを考えて、そのストーリー通りに証拠をはめて、そのまま逮捕をして、そして起訴ができるという特殊な組織。

第三者的な目がとても届きにくく、ガバナンスという点でもあまり良いことを聞かない組織だなということを思いました。実際、私の公判でも、一審は「結論ありき」の裁判としか思えない内容と感じています。

2.物的証拠も拒絶する。検察の「有罪ありき」は恐ろしい

イ:まさにそうですよね。私(インタビュアー)も著書を読ませていただきましたが、確実と思える物的な証拠を出しているのに、完全に無視されてしまったとも言えますよね。

代:おっしゃる通りです。2017年9月28日に、中国企業側から300万円を私が受け取ったか否かというのが争点となっている事件です。

その日はちょうど衆議院が解散をした日で、贈賄側が私がいたとされる議員会館に来て、私と会って直接300万円を渡したというふうに言われているんですけどね。実際、当日の私のスケジュールをみていただければ不可能と言わざるをえない。

衆議院議員にとって解散日は多忙を極めているんです。二階派の総会、昼食会、国土交通省副大臣室での海上保安庁の表敬訪問…と、300万円を受け取ったとされる13時半になど、議員会館にいられるような時間的な余裕は一瞬もなかった。

イ:はい、本に詳しく書かれていましたね。スケジュール表の写真や、表敬訪問のご様子の写真、スマートフォン内臓のアプリのヘルスケアアプリにも、秋元さんの移動の記録が生々しく残されていました。

代:ヘルスケアアプリに関しては、アップル社のシニアアドバイザーの技術部に、アメリカの裁判所から証拠開示をしてもらい、そして彼に宣誓をして宣言をしてもらってそれを日本の裁判所に提出するということで公式なルートを取って提出をしたのですが、検察は、それも証拠として受け付けられませんでした。

状況証拠は全て開示していますが、裁判官に「こんなの証拠として認めません」と言われてしまったらそれで終わり。明らかに捻じ曲げられていると感じざるをえません。

また、裁判官をチェックする機能は日本にはないんです。過去にも、冤罪だったのではと言う事件がありますが、裁判所が公正に判断することと、それをチェックする機能が働くこと、これはしっかりと確立していかなくてはならないと考えています。警察は起訴したものは必ず有罪にする!という意地を持ってやってくる。これは本当に怖いことです。

3.「代議士逮捕」のためなら、他の犯罪の黙殺も辞さない

イ:中国企業側から300万円を渡そうとした二人のブローカーが登場しますね。この二人の計画も綿密に練られていて読み手としては唸るばかりです。でも、この人たち、途中で中国企業に対して横領を働いていますよね?それが表に出ないことが気になりました。

代:はい、二人のブローカーがいましたが、私は彼らと直接話したことはほとんどありません。彼らは中国企業から「IR事業で日本の国会議員に便宜を図ってもらうため」と言う名目で、2650万円にものぼる現金を引き出していました。そのうち、2000万円を横領しているのです。

本当なら、業務上横領の罪で捜査をされてもおかしくないはずだが、なぜか彼らはされてない。特捜は放置しているんです。

イ:業務上横領は罪が重いと聞いたことがあります。まして、2000万円ともなれば、判決が出れば相当なのではと思いますが?

代:その通りです。業務上横領ならば、最高で懲役10年ですし、2000万円では執行猶予がつかない可能性も大いにあります。

イ:それならば、なぜ、放置されているのでしょうか?彼らの罪が認められれば、先生の罪状も軽くなるように感じます。

代:おそらくの話になりますが、特捜は、二人の犯罪に目を見逃す代わりに、「秋元が賄賂を受け取った」とする供述調書にサインをさせたのではないかと思います。特捜としては「一般人の業務上横領」を検挙したとしても、大した手柄にはならないが、国会議員を一人検挙すれば、それは将来の出世と栄光が約束されるものなのです。

二人のブローカーとしても、業務上横領の罪か、贈賄の罪かで問われれば、圧倒的に贈賄の方が罪が軽いので、執行猶予が着く可能性も高くなる。それならば真実を語るより「議員逮捕」に持って行きたい検察に沿う供述をするという、司法取引的なやりとりがあったのではと疑わざるをえませんね。

イ:また、今回の事件の争点の一つに「証人買収罪」というものがありました。これは比較的新しく制定された法律で、2018年6月に施行されたばかりですね。

代:ブローカーの二人が虚偽の供述をしているために私は無実の罪に陥れられそうになっていました。そこで私の支援者の方の中に、例のブローカーに繋がりを持っている人がいまして、「真実を証言してもらおう」と働きかけてくださったのですが、これがこの「証人買収」の疑惑へと繋がってしまいました。これは本当に申し訳なく思っています。

この法律では、自分たちに有利になるような「事実と異なる証言」をするように働きかければ、それは確かに罪に問われます。しかし、「真実の証言をして欲しい」との働きかけは、決して罪ではないのです。

私たちは一度も「事実と異なる証言をしてほしい」などとはお願いしたことなどありません。あくまで真実を証言して欲しいとのお願いだったのです。

イ:ということは、もしも秋元さんが衆議院解散のあったあの日、「議員会館に立ち寄っていない」ということが証明されたら、根底が覆されるわけですから、証人買収罪も消えてしまうと言うことでしょうか?

代:もちろんその通りです。もし私が検察が作ったストーリーに迎合する形で、「300万円受け取りました。申し訳ありません」と証言してしまえば、執行猶予がついて終わりの事件だったでしょう。しかし、受け取っていないものは受け取った、などと認めるわけにはいきません。

受け取っていないことを証明する客観的な証拠をいくら提出しても、却下されてしまう。日本の司法は、本人の自白が全てという「供述主義」なのです。

アメリカなどでは、客観的証拠に基づいて取り調べをするケースもありますが、日本の場合、極端に言えば客観的証拠などどうでもいい。「私がやりました」という自白調書さえあれば、それで有罪に持っていけてしまうのです。そのため、自白するまで起訴後も勾留する。こういった日本独特のやり方を「人質司法」などと呼びます。

これは冤罪事件を生む温床になっているとも言えるのです。

4.日本の「人質司法」の闇。病室にまで押しかける閉鎖的取り調べ

イ:「人質司法」、初めて伺いました。それは一体どんなものなのでしょうか?

代:日本独特のものです。一度起訴されたら相手が認めない限り、裁判が終わるまでずっと勾留し続けるというものです。普通の人は、拘置所などにはいたくないので、1日でも早く外に出たいと言う気持ちになってくる。精神的に疲れてくるのです。

もうめんどくさいから、もう検察が言う事と聞けばすぐ出れるから、じゃあもう認めますよ、と言うことになってしまうことも少なくないのです。私のために動いてくれた支援者も、取り調べの会話の中で「秋元さんを助けられるなら何でもいいいう思いもあった」というようなことを発言したこともあったかもしれません。

それを検察側が作ったストーリーにうまく当てはめ、出来上がった供述調書が裁判所に提出されていく。その流れで次々に私を有罪とする判決が出されることになってしまいました。

イ:強引とも言える非常に恐ろしい取り調べですね。

代:当時の私の秘書は双極性障害で入院中だったのですが、彼に対する取り調べもひどいものでした。かなり重篤な精神状態だったのにもかかわらず、検察は病室に押しかけ、取り調べを実施しました。

病状としては、観察モニターが必要なほどで、常時監視が続けられていましたが、医師や弁護士の立ち会いも一切なく、検察側の人間のみで実施されました。取り調べの最中は、監視モニターは切られ、録音・録画などの申し入れも受け入れられることもなく、完全な密室で行われる形となりました。検察のストーリーから外れる供述をしようものなら、険悪な雰囲気になったとも伝え聞いており、抑うつ、不安、焦燥感といった大変な症状の出ている秘書にとって、拷問にも近い取り調べだったに違いありません。信用のおける調書となったかは甚だ疑問です。

検察の思惑通りに仕立て上げられたとも言えるのではないでしょうか。

 実際に裁判では、秘書は事実と違う事を言わされたと証言し、何故かとの問いには、逮捕されたくなかったから、と証言しています。

5.「でっち上げ」など許してはいけない。司法制度を見直す必要性

イ:ここまでのお話を聞いていると実際秋元さんはお金を受け取ったわけではないことが伝わってきますし、「検察からターゲットにされてしまった」「狙われた」と感じざるをえません。言葉は悪いですが、もし狙われたとしたら、なぜだと思いますか?

代:「なぜ、狙われたか。」それはわからない、と言うのが正直なところです。ただ、ブローカー二人の横領事件を贈賄事件へと確定させるには、IR法に関する要職についている国会議員の存在が必要だったことは推測できます。

私が逮捕されたのは2019年12月25日でしたが、9月頃から検察が身辺を調べているなと言うことには気がついていました。こういう調査をするのに、検察というのは手足にマスコミを使うのです。マスコミは検察から情報をもらえて仕事ができるし、捜査機関を持たない検察としても都合が良くて、ギブアンドテイクの関係なのです。

ジャーナリズムのあり方も疑問ですね。

イ:今回、秋元さんの身におきた事件の話を伺って、日本の司法の恐ろしさを感じました。ご自身の政治家としての信念や活動にも影響を及ぼしたかと思いますが、今後はどのようなことに注力されて行きますか?

代:今回の件を通じて、日本の司法の歪みや、冤罪が作られる構図を身を持って感じました。このことから、司法制度改革を行って行きたいと考えています。

特に、完全録音・録画、取り調べの時の検事メモの開示請求などは、検察の身勝手なストーリーに巻き込まれないために絶対に必要でしょう。被疑者は完全録音・録画の対象となっていますが、それ以外の参考人などはその対象ではありません。密室の中で誘導したり、あるいは都合の良い供述を引き出すために威圧したりなど、決してあってはならないのです。

加えて、証人テストに関する問題もあげておきたいと思います。証人テストとは、証人尋問を行うときのリハーサルのようなものですが、この時に、検察が想定問答集を渡して証言内容を指示しているなどの指摘がされています。

冤罪など起こってはいけない。一刻も早く司法制度改革を行い、真実が追求される司法を取り戻さなくてはなりません。

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