江尻隆弁護士が、元部下だった美人弁護士から婚約不履行で訴えられている事件で、原告女性側からさらに第7回準備書面が提出されましたので、全文を掲載します。
平成26年(ワ)第9289号 婚約不履行に基づく慰謝料等請求事件
原告 森順子
被告 江尻隆
準備書面(7)
2015年12月25日
東京地方裁判所民事第30部ろA係 御中
原告訴訟代理人 秋田一恵
第1 被告準備書面(4)について(注:この書面は、2015年12月15日にファクシミリにて届いたが、書面はなぜかその2ヶ月以上前の平成27年10月7日付となっている。)
1 1.について
(1)(1)について全て否認もしくは争う。
①について
アソシエイト・ランチョン制度が公式制度というのは、原告にとっても初耳である。原告の理解では、パートナーがアソシエートとランチを一緒にして交流の場を設定しようという、いわば慣行として行われていたものであり、何をもって「公式」というのかすら不明である。事務所内の規定で定められたものだとは聞いていない。
被告が、この飲み会に原告を誘う際に、「アソシエートと一緒にランチに行く制度がありますが、今回は森さんが事務所に入ったばかりなので一緒に飲みに行きましょう」と言ったのは事実である。原告は、被告と二人きりで飲み会に行くことが事務所内で秘密のものではないため、安心して被告の誘いに応じたのである。
ところが、被告はこの機会を利用して、原告に対し「結婚を考えてくれないか」と切り出したのである。原告は天と地がひっくり返るほど驚いたのをはっきり覚えている。驚くと同時に、原告は被告がこの申し出をしたことについて、事務所内で隠し立てをする気が無いのだと誤解し、むしろ被告の申し出を真剣なものとしてすっかり信じ切ってしまったのである。
②について
当時、原告が35歳の弁護士で、被告が結婚後20数年連れ添った妻がいるから、よほどの事情がなければ原告への結婚申込みがされたと考えることはありえない、と主張するが、何年連れ添ったかどうかは被告と結婚など全く考えていなかった原告にとっては無関係な事実であるし、被告自らが「自分も桝田さんのように離婚したい」と言ったのを信じたことが始まりなので、それを聞いた時の原告の年齢など、無関係である。
被告は度々原告が弁護士であることに言及するが、忘れてならないのは、被告は原告よりはるかに社会的地位も、経験もある著名な弁護士であったということである。原告が弁護士であろうと無かろうと、このような地位のある人物が、結婚を餌に肉体関係を迫るなどとは到底思わず、被告の言葉を信じても不思議ではないのである。
なお、被告代理人は反対尋問において、結婚の申し込みと結婚を前提とする交際の申し込みとの違いにこだわっていたが、本人尋問において原告が答えるべきは「事実」であってそのほう的解釈ではない。原告が「結婚を考えてみてくれないか」と言った事実が、結婚の申し込みなのか、結婚を前提とする交際の申込みなのか違いはない。詭弁である。
(2)(2)について全て否認もしくは争う。
①について
被告代理人の質問に対し、原告は「わかりましたと答えた」と答えており、少しもはぐらかしてはいない。
②について
原告は、被告からの結婚の申入れに対し、ボスに対してはっきり拒否することもできず、半ば諦めの気持ちで応じたのであって、この主張は一貫している。
(3)(3)について全て否認、もしくは争う。
原告は反対尋問における被告代理人の質問を聞いて、結婚とは、両者が結納を交わし、親戚縁者に紹介することが前提であるという今時あまりないようなことを想定しているらしい。いつの時代の人なのだろうか。このように、結婚が要式行為とする見解はあり得ないし、合意の要件として「原告が被告に対し離婚を求める」ことが必要という解釈も成り立ちえない。原告にとって、既婚者である被告が離婚するのは被告側の問題であって、原告と被告間の結婚の約束の成立要件ではない。単に離婚は前提条件である。
原告は、被告の結婚の申し入れを信じて肉体関係に応じたのであるし、その後もこの申入れの実現を待ち続けて、20年間も被告の言いなりになってきたのである。当初より、被告が「結婚の意思」などなかったというのであれば、被告の行為は明らかに原告に対する不法行為であり、犯罪である。
なお、被告は「実際には何ら「確認」はしたことがないにもかかわらず、こじつけで・・・・・・強弁しているだけ」と主張するが、結婚の申し込みは、被告からの飲み会での申入れとその後関係を持つまで数回に亘ってなされた「説得」から成り、原告の「承諾」は圧力に屈して肉体関係に応じた時点で成立しているのであるから、その後原告が被告に対して回答を迫ったかどうかはその後の事実であるし、客観的証拠がないというが、そもそも申込み自体、衆人のもとではなされないし、本件の密室性からして当然のことである。
(4)(4)について全部否認もしくは争う。なお、求釈明。毎回、欄外に書いてくるが、これは主張なのか。準備書面の書き方が変である。
①について
被告が引用した部分は、原告が独身者であるT氏との交際について供述したものであるが、結果としてT氏とは「いや、結婚を前提にお付き合いしていますとは言っていません」と訂正しているのであるから、何が問題か判らない。
T氏との交際は、T氏が結婚を前提に交際したいと言っていただけであって、原告は被告との関係を隠したままT氏と結婚するなど考えられないと主張しており、これは一貫している事実である。
②について
被告代理人は、原告のT氏との交際についての供述を勝手に被告との交際に当てはめて「注目される」としているが、原告に対して誠意をもって、かつ嘘の無い言葉で申し入れをしたT氏と、結婚していながら、原告に(原告はその当時は当然真実であると信じていたが)虚偽の結婚の申入れをして肉体関係を迫った被告とでは、前提事実が全く異なるのであるから、比較にはならないのである。
(5)(5)について否認もしくは争う。
被告は原告に対し「結婚の申し込み」をしたと信じさせ、真意は結婚する意思など全く無かったにもかかわらず、原告を騙して肉体関係を強要したのである。
二人が並んでいる写真を見れば明白であるが、年の差が開きすぎており、かつ、男女関係を持ちたいと原告が願うような容姿でもない被告に対し、原告が、長年に亘り、二人の男女関係を維持するためにマンションの賃料その他の多額の金銭を立替えてきたのは、被告が原告に対して仕事上の上限関係を利用して関係を迫ったからである。結婚してくれと被告に言われた当初、原告には被告に対するそのような恋愛圧力が無く、ただ、被告が「結婚」を前提に交際を申入れ、執拗に圧力をかけたので、やむなく応じたのである。何の将来の約束もなく、結婚しないのであれば、これだけ多額の出費をするはずがない。
2 2について否認もしくは争う。
(1)堀内代理人の証言について
被告の代理人である堀内弁護士が被告に有利な証言をするのは当然のことであり、信ぴょう性が認められないのは明らかである。事実、堀内弁護士は、原告が電話で言ったはずもないことを、累々と原告との会話のように述べている。
ちなみに、2012年7月25日に堀内弁護士と面談するにあたり、堀内弁護士が電話で原告に対し「僕も江尻さんからは詳細な事実は聞いていないし、森さんにはそれなりの主張があるのだろうから、明日会うまでに簡単に書面でまとめてくれないか」と言われて作成したのが乙35である。原告は、被告代理人に対し書面を出すリスクが気になっていたし、いずれは訴訟を提起することを考えていたため、堀内弁護士に対し今後の訴訟において証拠として使用しないことを条件として乙35を提示したし、堀内弁護士もこの条件に承諾して署名したのである。弁護士として署名までした条件について簡単に破るような信義に反する行為をできる人物は簡単に嘘をつくのである。
(2)原告準備書面(4)における原告の主張について
当該準備書面33頁の(3)(イ)で、原告は何度も被告に対しメールと携帯電話で連絡を試みた事実を述べただけである。「このメールを送信した記憶もない」と明確に述べている。
被告は、乙16を原告が作成したメールであるとして、なんとか和解の成立を認めさせようとしているが、メールの発信者は「takashi.ejiri」であるし、送信日時も原告が依頼者との夕食会に出席していた時間帯であって、原告がこのようなメールを作成できるはずもない。被告が本件を早急に終了させたいため、自らねつ造した証拠であるとしか考えられない。
(3)原告準備書面(4)の34頁に関する部分について
当該準備書面34頁(ロ)の「江尻さんが森さんの要求通り1700万円を支払うと言ってきた。」という記述は、確かに原告準備書面(5)の第1の1(1)の②③の記述と矛盾している。
原告は堀内弁護士からこの電話を受けたときに依頼者との夕食会の最中であった。また、堀内弁護士とはその日の午後、弁護士会の会議室で面談して話し合いが決裂したばかりなので、同氏から携帯に電話が入るとは予想していなかったため、依頼者がいる前で大した会話もできなかった。この点、準備書面(4)の作成時点代理人が聞き間違っており、事実は準備書面(5)に記載したとおりである。
いずれにしても、原告は堀内弁護士との面談で、5500万円余りの請求をしており(乙35)、「和解」が成立したと言えるためには、1700万円受領後の残額の放棄する意思表示をするはずであるが、原告がこのような放棄の意思表示をした事実は無いし、そのような放棄の意思表示をした証拠もない。
原告が直前に提示した金額をはるかに下回る金額で和解したというのは、余りに不自然な主張である。
3 3について全て否認もしくは争う。
①について
原告本人尋問において、被告代理人が示した乙11を見たところ、メールの最後にある原告の署名欄に記載されたメールアドレス(junko_mori@noandt.com)と当該メール上部に記載されたアドレス(JKMori@email.msn.com)が異なるため、原告が作成したメールでないと回答した。当時原告は長嶋大野常松法律事務所に所属しており、メールアドレスはjunko_mori@noandt.comを使っていたのである。
②について
堀内弁護士が原告に対してそこに記載した脅迫、強要をしたのは事実である。
そもそも、交渉に臨むにあたり、訴訟で証拠として使用しないことを署名までして約束したにも拘わらず、平然と証拠として提出するような弁護士が訴訟の場で嘘をつくのは簡単なことであり、虚偽の主張をしているのは被告の方である。
更に、乙35で、「江尻先生は、交際しても今後一切、離婚して森と結婚することは無いとも、一緒に暮らすことは無いとも明言されていませんでした」と述べているのは、被告が原告との約束を守らないまま、逆に守る可能性がないことも告げないまま、20年間もだらだらと事態を引き延ばしたことが問題を大きくしたという主張である。
原告がこの記述で堀内弁護士に伝えたかったのは、被告が原告に対して結婚の申し入れをしたから、原告がこれに渋々応じたのであるから、被告は、原告が他の人と結婚のチャンスを失わないように「離婚したうえで森と結婚することは無いよ」とか、「一緒に暮らすことは無いよ」とか態度を明らかにして原告に誠意を示すべきであったにも拘わらず、問題を先送りして放置したという意味である。
原告が乙35を作成する次点においては、未だ秋田が代理人についておらず、自分ひとりの判断で被告と結婚の約束をしたことを書面に書くとその後大変な事態を招くのではないかと危惧したので、結婚の約束をした部分については、堀内弁護士に口頭で説明して補足したのである。
4 4について否認。
(1)(1)について
被告は二世帯住宅の主張が常識に反すると主張するが、原告は当時40代半ばになっていたのであるから、両親が原告の意思を尊重して、かつ家屋の構造上それぞれ独立した世帯として暮らすことに同意することが常識に反するとは考えられない。また、原告は両親に対し、「いずれ結婚を報告できる状況になったら紹介するので、それまで待ってほしい」と言い、両親も「お前の言葉を信頼する。同居と言ってもスペースは区切られているのだから、構わないよ」と言ってくれたのである。建物を建てる前に両親に紹介できない状況を作ったのは被告自身であるから、逆に原告の言動を不自然とするのは理解しがたい。
(2)(2)について
全部被告のこじつけである。被告は本人尋問で長年にわたり原告と男女関係を続けていたことを認めている。本件訴訟では、この関係継続のために、原告が被告の言質を信じて負担を強いられてきた金額について、被告がこれを賠償する責任が問われているのである。
被告がこの金額について責任がないと考えるのであれば、責任がないことを主張すればよいのであり、原告の訴訟の意図を証拠もないのに勝手に解釈して、あたかも被告が被害者のようにふるまうのは許しがたい行為である。
このような被告のふるまいは、原告が陳述書の14で述べている被告の人格の記述そのものである。自らが為してきた非を認めずに、逆に相手の人格を傷つけることを公言して憚らないのは、原告に対する本件訴訟における主張だけではない。係る被告の主張は、他人に責任をなすりつけ、自らを正当化するために他人の名誉を傷つけるという、被告の人生そのものである。
5 5について意味不明なので、認否の対象としない
ここでの被告の主張が本件訴訟にどのように関係するのか不明である。本件訴訟においては、被告が原告に対し行ってきた一連の債務不履行と不法行為について、原告の主張が認められるかどうかであって、被告と堀内弁護士が侮辱されたかどうかではない。
被告は自らが原告を騙して原告に多大な経済的負担を負わせ、原告の人生に関わる重大な決断(被告の肉体関係の要求に応じるかどうか)について「結婚の約束」というあるまじき手段を用いることによって、原告に精神的・経済的損害を与えたのである。
こうした損害を与えた被告の考え方、人間性を原告が述べるのは当然である。それについて自分が違うというのであれば、その誠実さを示す機会は交渉、調停、裁判中の和解とずっと提供されてきていた。それにも答えなかったのが被告である。
以上
参考サイト:
江尻隆のwiki
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