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イギリス総選挙 14年ぶりの政権交代 労働党政権スタート 

イギリスでは、7月4日に総選挙が行われ、野党・労働党が下院の過半数の議席を獲得して、14年ぶりの政権交代となりました。きょうはイギリス総選挙について取り上げます。

イギリスの議会・選挙制度とは

イギリス議会は、二院制で、非公選の議員から構成される上院と公選の議員から構成される下院となります。

上院は議員数 748 名(2008 年3月現在)で、世襲貴族議員、上訴貴族議員、一代貴族

議員、司教議員からなり、議員はすべて任命制で任期は終身です。

下院は総定数650人で、すべて公選の議員で構成されていて、任期は5年(解散あり)です。下院議員選挙は、1つの選挙区から1人を選ぶ小選挙区制を採用しているため、選挙区数も650で、選挙年齢、被選挙年齢とも18歳以上です。

選挙結果は

BBC(イギリス国営放送)などの集計によりますと、議会下院の650議席のうち各党の獲得議席は、労働党が412議席、保守党が121議席、自由民主党が72議席、スコットランド国民党が9議席、リフォームUKが5議席などとなっています。

労働党は、選挙前に比べて議席を2倍近くに増やし、単独で過半数を獲得しました。保守党の議席は改選前の3分の1近くまで縮小しました。トラス元首相をはじめ、国防相など閣僚も相次いで議席を失いました。

EU離脱を求める「離脱党」を前身とするポピュリスト政党「リフォームUK」は、保守党の票を切り崩し4議席を獲得し、ファラージュ党首も初当選を果たしました。

14年間の保守党政権とは

今回の総選挙は2010年から続く保守党政権の審判の場となりました。

保守党政権が主導した20年の欧州連合(EU)からの離脱は輸入コストの増大や東欧の出稼ぎ労働者の減少による人手不足でインフレを助長したこと、22年に当時のトラス政権が財源の裏付けのない大規模減税を表明すると、住宅ローン金利が跳ね上がり、多くの人が住宅購入をあきらめたという批判も出ています。

生活費の高騰や公的医療サービスの受診待ちの深刻化などについても不満が噴出した結果となったと現地メディアは伝えています。

さらに、新型コロナウイルス対策の行動制限期間に当時のジョンソン元首相がパーティーに参加するなど不祥事が相次いだことも保守党政権の信用を失ったとのことです。

労働党政権の課題

労働党は今回の総選挙で、公的医療や学校教育の充実を掲げました。また、離脱で傷んだEUとの関係修復を進める、スナク政権が35年に延期したガソリン車とディーゼル車の新車販売禁止の時期を30年に戻すこと、不法移民をルワンダに強制移送する計画は廃止することなども公約に盛り込んでいます。

新政権にとって、待ち時間の長さが問題となっている医療サ-ビスの改善や、価格が高騰し若者に手が届かなくなったと言われる住宅問題の解消、教師不足に苦しむ教育現場への支援などは喫緊の課題です。

しかし、所得税や付加価値税の増税はしないと約束しているため、財源不足を指摘する声も出ています。

EUとの問題もあります。労働党は、離脱を選んだ民意を尊重し、EUへの再加盟はないとしていますが、EUに対して、食品など個別分野で貿易障壁を少なくする交渉を進めたり、新しい安全保障協定を結び、サイバーセキュリティーや気候変動、エネルギー問題での連携を深めたりしたいという姿勢です。どのような形で連携していくのか焦点となります。

欧州各国では、ポピュリスト政党や極右政党が躍進し、いわゆる中道勢力が後退する中、「議会制民主主義」発祥のイギリスで、中道左派政党が勝利し、政権交代が行われた意味を考え、引き続き、注視していくこと必要もあります。

                                    以 上

筆者 平木雅己(ひらきまさみ)選挙アナリスト

元NHK社会部記者。選挙報道事務局を長く勤め情勢分析や出口調査導入に尽力。小選挙区制度が導入された初めての衆議院議員選挙報道ではNHK会長賞を受賞。ゼネコン汚職事件、政治資金の不正など政治家が関わる多くの事件・疑惑も取材。

その後、連合(日本労働組合総連合会)事務局にて会長秘書(笹森清氏)として選挙戦略の企画立案・候補者指導を担当、多くの議員の当選に尽力した。 

政策担当秘書資格取得後、法務大臣/自民党幹事長代理はじめ外務大臣政務官、衆参国会議員政策秘書として、外交・安全保障、都市計画、防災、司法、治安、雇用・消費者、地方自治などの委員会や本会議質問を作成、政策立案に携わる。

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