スイスを拠点とする自殺ほう助団体 The Last Resortの共同代表 Dr. Florian Willet フロリアン・ウィレット氏(47)が2025年5月5日に死亡していたことが6月3日の報道で明らかとなった。享年47歳。
The Last Resortは、スイスを拠点にオランダ発祥の3Dプリント型自殺幇助カプセル『Sarco〜サルコ』の導入を推進していた団体である。窒素濃度を高め、酸素濃度を下げることで安楽死を可能にする装置である。
4桁のコードを入力し、ボタンを押すだけで、医療従事者の関与なしに死を選べるとして議論を呼び賛否両論の渦中にあった。
ウィレット氏は2025年5月5日にドイツ・キルンで自ら命を絶ったとされているが、『サルコ』を使用したかは不明である。
ウィレット氏は2024年9月にスイスで初めて、自殺希望者に対してサルコ自殺カプセルが使用された現場に立ち会った。
その後スイス・シャフハウゼン警察によって逮捕される。
70日間の公判前拘留を受けていた後、検察当局はようやく殺人の可能性を否定し2024年12月初旬にようやく釈放された。のち精神状態を崩していたことがわかる。
〈ウィレット氏拘禁症状 自殺立ち会いの精神的負担と重なって〉
拘禁症状とは、投獄による精神疾患を発症することだ。
拘束中の残留トラウマや捜査ストレスが深刻で、心身に影響したのではないかと見られており、精神病(急性多型精神病)と診断され、今年初めにはチューリッヒのアパートから転落する自殺未遂もあったという。
The Last Resortの公式発表でも、
「ウィレット氏は自身の命で共感の究極的代価を払った」
と表現されており、これは自殺を強く示唆する内容を含んだものだ。
また、警察が死亡を確認したとされているが、自殺である可能性は高いものの、完全な確証を得るには現時点で不足があり、さらなる公式発表や調査結果が待たれる。
〈『サルコ』を使った最初の自殺は安楽死ではなかった〉
チューリッヒ在住のThe Last Resort代表ウィレット氏は、2024年9月23日にシャフハウゼン州メリスハウゼン近郊の森 でアメリカ人女性が自殺した際、現場に立ち会った。
死を望んだのは、免疫疾患を患う64歳のアメリカ人女性で、ビデオ録画の中で自ら命を絶ちたい理由を簡潔に説明した。
彼女は毎日極度の頭痛に悩まされており、スイスの別の自殺団体に自殺を志願したが手続きが長かったためThe Last Resortを選択したのだった。
しかし彼女は死の前に、同社に対して深刻な非難を浴びせていたという話もある。
最後の旅立ちに向けて、彼女がカプセル内に座ると、システムの準備が整うな否やボタンが押された。
しかし実際は安楽死ではなかったようだ。
スイッチを入れてから女性は窒素の注入を開始した。しかし、開始から1分57秒後、内部カメラが女性の膝の動きを捉えた。
これを見たウィレット氏は「激しく痙攣している」と述べた。
その後、ウィレット氏のタブレットから警告音が鳴り響き、女性の心拍が活動中であることが示された。
ウィレット氏は女性がまもなく息を引き取ると考え続行。予想では数分で意識を失うはずだった。しかしそれを遥かに越えた約30分後、女性の死を確認し、この死の儀式をドイツから見守っていた、安楽死の権利活動家であり、カプセルの発明者でもある『サルコ』ポッド会社エグジット・インターナショナルのディレクター、〈ドクター・デス〜死の博士〉ことフィリップ・ニチケ博士(78)に彼女の死亡を報告した。
〈The Last Resort幹部ら関係者逮捕〉
The Last Resortは、サルコポッドを初めて使用する際に、スイス検察当局の警告を無視して実施していた。
その日のうちに、スイスの保健大臣は、スイスではこのカプセルの使用は許可されていないと宣言した。
シャフハウゼンの森でアメリカ人女性の自殺を見届けた人々のほとんどは、シャフハウゼン警察に逮捕後、すぐに釈放されている。
代表者ウィレット氏が、女性を殺害した容疑があると推察された。
また検視の結果、女性の首に絞殺痕が見つかったことから、検察は意図的殺害の可能性を示唆し、裁判所にウィレット氏の勾留延長を求めていた。
この容疑は立証されず、被告は2024年12月初旬に釈放されている。この期間70日。これがウィレット氏本人の拘禁症状につながった可能性も無視できない。
シャフハウゼン検察が女性の死に対して殺人容疑を提起し、ウィレット氏は論争の的となった。
殺害容疑は立証されなかったものの、
「自殺教唆・幇助の強い疑い」があるといわれており、当局はさらにThe Last Resortを巡って他の人々に対する刑事訴訟も開始する。
シャフハウゼン検察官ペーター・シュティッヒャー氏はキーストーンSDA通信社に対し、故人に対する捜査は中止されると発表した。
他の関係者に対する捜査はまだ終了していない。
The Last Resort社側はこれに対し、「無茶苦茶な主張」と強く反論している。
シャフハウゼン州は、既に2024年半ばには、カプセルの使用に関わった者は起訴されると明言していた。
ニチケ博士は、当時ドイツにいたお陰で、逮捕を免れた。
〈フロリアン・ウィレット氏の温かい笑顔と自信は消え去った。不当な告発によって深いトラウマを負った男が現れた…〉
ニチケ博士は
「彼の温かい笑顔と自信は消え去った。代わりに、投獄の経験と絞殺という不当な告発によって深いトラウマを負った男が現れたようだ」
とオランダ紙フォルクスクラントに語った。
投獄の経験から笑顔が去る…ニチケ博士の発言は、ウィレット氏が拘禁症状を発病したと示唆している疑いが強い。
『サルコ』安楽死カプセルを使用した最初の死は、その死が本当に安楽死だったのか
そしてスイスにおける安楽死の規制強化の是非をめぐる議論を再燃させるとともに、代表であったウィレット氏の悲劇まで生んでしまった。
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スイスの「安楽死カプセル」団体代表、先月ドイツで投身を試みた
https://s.japanese.joins.com/jarticle/334617
初の死亡を確認したが関係者を逮捕…物議をかもす「安楽死カプセル」とは?
https://www.pen-online.jp/article/017100.html
スイスの自殺ポッドでアメリカ人女性が苦痛から逃れる 法的倫理が論争の焦点に
https://news.vocofm.com/ja/%E5%9B%BD%E9%9A%9B%E3%83%8B%E3%83%A5%E3%83%BC%E3%82%B9/111212/
米国人女性の死亡を受け、刑事捜査が進む中、自殺カプセルの使用が一時停止
https://www.newsx.com/ja/%e4%b8%96%e7%95%8c%e3%83%8b%e3%83%a5%e3%83%bc%e3%82%b9/%e7%b1%b3%e5%9b%bd%e4%ba%ba%e5%a5%b3%e6%80%a7%e3%81%ae%e6%ad%bb%e4%ba%a1%e3%82%92%e5%8f%97%e3%81%91%e3%80%81%e5%88%91%e4%ba%8b%e6%8d%9c%e6%9f%bb%e3%81%8c%e9%80%b2%e3%82%80%e4%b8%ad%e3%80%81%e8%87%aa/
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