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「南海トラフ地震臨時情報」(巨大地震注意)初めての発表! 29都府県 707市町村で警戒継続 

   8月8日16時43分ごろ、日向灘の深さ31キロを震源とするマグニチュード7.1の地震が発生し、宮崎市の宮崎港で50センチの津波を観測するなど、九州から四国の各地に津波が到達しました。

地震発生を受け、気象庁は8日19時15分、次の巨大地震に注意を呼びかける「南海トラフ地震臨時情報」(巨大地震注意)を発表しました。

南海トラフ地震の想定震源域では大規模地震が発生する可能性がふだんと比べて相対的に高まっているとして政府や自治体からの情報に応じた防災対応を取るよう呼びかけています。

【参考資料1 南海トラフ地震防災対策推進地域の指定@内閣府】

 【参考資料2 日頃からの地震への備えとは】    

 【参考資料3 具体的な対応(住民)】  

 【参考資料4 具体的な対応(施設)】

この情報が発表されたのは2019年に運用が始まって以来初めてです。

岸田文雄首相も、9日から予定していた中央アジア3か国への訪問を取り止め、「危機管理の最高責任者である内閣総理大臣として、念には念を入れ、少なくとも気象庁が地震の備えの再確認などを呼びかけている1週間程度は国内にとどまり、政府としての対応や情報の発信に万全を期すべきだ」と判断しました。

「南海トラフ地震臨時情報」(巨大地震注意)について、12日13時までの情報をまとめます。

日向灘を震源とする地震は、8日夕方の地震以降も続いていて、震度1以上の揺れを観測する地震は9日14時までにあわせて13回となっています。

このうち9日午前4時半前にはマグニチュード5.3の地震が発生し、宮崎市などで震度3の揺れを観測しました。

過去の世界の大規模地震の統計データでは、マグニチュード7.0以上の地震が起きたあと隣接した領域で1週間以内にマグニチュード8クラス以上の地震が発生する頻度は数百回に1回程度あるということです。

気象庁は今後1週間程度は最大震度6弱程度の地震に注意するよう呼びかけています。

この地震を受けて気象庁は南海トラフ地震の想定震源域で大規模地震が発生する可能性がふだんと比べて高まっているとして「南海トラフ地震臨時情報(巨大地震注意)」を発表しました。

気象庁は、この情報が特定の期間中に必ず地震が発生することを伝えるものではないとしたうえで、巨大地震に備えて防災対策の推進地域に指定されている29の都府県の707市

町村に地震への備えを改めて確認して欲しいと呼びかけています。

【参考資料5 南海トラフ地震防災対策推進地域指定市町村一覧】

気象庁によりますと、今回の地震は、南海トラフ地震の想定震源域内における陸のプレートとフィリピン海プレートの境界の一部がずれ動いたことにより発生したモーメントマグニチュード7.0の地震と評価されました。

過去の世界の大規模地震の統計データでは、1904年から2014年に発生したモーメントマグニチュード7.0以上の地震1437事例のうち、その後同じ領域でモーメントマグニチュード8クラス以上の地震が発生した事例は、最初の地震の発生から7日以内に6事例であり、その後の発生頻度は時間とともに減少するとのことです。

このデータには、2011年、東北地方太平洋沖地震(モーメントマグニチュード9.0)が発生した2日前に、モーメントマグニチュード7クラスの地震が発生していた事例が含まれます。

世界の事例ではモーメントマグニチュード7.0以上の地震発生後に同じ領域で、モーメントマグニチュード8クラス以上の地震が7日以内に発生する頻度は数百回に1回程度となります。

これらのことから、南海トラフ地震の想定震源域では、大規模地震の発生可能性が平常時に比べて相対的に高まっていると考えられます。

南海トラフ地震の震源域は、今回の地震の周辺だけにとどまる場合もあれば、南海トラフ全域に及ぶ場合も考えられます。

最大規模の地震が発生した場合、関東地方から九州地方にかけての広い範囲で強い揺れが、また、関東地方から沖縄地方にかけての太平洋沿岸で高い津波が想定されています。

南海トラフの巨大地震とは 

南海トラフの巨大地震は、九州の日向灘から静岡県の駿河湾にかけてのプレート境界で発生する巨大地震です。

政府の地震調査委員会は、マグニチュード8から9の巨大地震が今後30年以内に「70%から80%」の確率で発生すると予測しています。

約100年から200年の周期でマグニチュード8クラスの巨大地震が繰り返し発生していて、10年前に発表された被害想定では最大クラスの地震が起きれば東日本と西日本の広い範囲が激しい揺れに襲われ、沿岸部では最大で30メートルを超える巨大な津波が押し寄せるとしています。

最新の推計では、最大で死者が23万人あまり、全焼・焼失する建物が209万棟余とされています。

国は南海トラフ巨大地震で、震度6弱以上の激しい揺れや高さ3メートル以上の津波のおそれなどがある茨城県から沖縄県にかけて、内陸の地域を含む29の都府県、707市町村を防災対策の推進地域に指定しています。

南海トラフ地震臨時情報とは

「南海トラフ地震臨時情報」は、普段と比べて巨大地震が発生する可能性が相対的に高まったと評価された場合にとるべき防災対応がわかりやすいよう、気象庁が「巨大地震警戒」や「巨大地震注意」といったキーワードを付けて発表する情報です。

南海トラフ地震臨時情報(調査中)

南海トラフ沿いでマグニチュード6.8以上の地震が発生したり、ひずみ計と呼ばれる観測機器でふだんと異なる地殻変動が観測された場合に、南海トラフ地震との関連性について調査を始めたことを示す「調査中」というキーワード付きの情報が発表されます。

この情報は2019年に運用が始まり、今回の地震を受けて初めて発表されました。

その後、専門家で作る評価検討会が巨大地震と関連があるか検討を行い、最短でおよそ2時間後に結果を知らせる情報が発表されます。

南海トラフ地震臨時情報(巨大地震警戒)

評価検討会を受けて発表される情報の1つが「巨大地震警戒」情報です。

想定震源域の半分程度がずれ動くマグニチュード8以上の地震が起き、次の巨大地震に対して警戒が必要とされた場合に発表されます。

防災対応は「地震が発生した時に津波からの避難が明らかに間に合わない地域の住民は、1週間事前避難すること」などです。

南海トラフ地震臨時情報(巨大地震注意)

もうひとつが、「巨大地震注意」情報です。

プレートの境目でマグニチュード7以上8未満の地震が起きたり、想定震源域の周辺でマグニチュード7以上の地震が起きたりして、その後の巨大地震に注意が必要とされた場合に発表されます。

防災対応は、「日頃からの備えを再確認し、必要に応じて自主的に避難する」です。

また、揺れを伴わずにプレートの境目がゆっくりとずれ動く「ゆっくりすべり」が通常とは異なる場所などで観測された場合も「巨大地震注意」の情報が発表されます。

今後の注意点について、内閣府などは、◆家具を固定する、◆避難場所や家族の安否確認の方法をチェックする、◆お年寄りや体の不自由な人、小さな子どもがいる家庭や施設では避難に時間がかかることも想定されるとして、必要に応じて自主的な避難も検討するよう呼びかけています。

また、政府も林芳正官房長官が記者会見で「現在、SNSなどで地震の情報を装って迷惑サイトへと誘導するものが散見される。不安をあおる根拠のないデマが流布する可能性もあり、注意が必要だ。政府として正確な情報の発信を続けるので、不確かな情報などに惑わされることなく、お互いに助け合って行動するようお願いしたい」と注意喚起しています。

地震発生から12日で4日がたちましたが、気象庁によりますと、地殻変動や地震活動にこれまでのところ、特段の変化は観測されていないということです。

気象庁では、引き続き注意深く、南海トラフ沿いの地殻活動の推移を監視するとともに、万が一、地震が発生した際には、政府や自治体の指示に従い、安全な場所への避難を呼びかけています。以 上

筆者 平木雅己(ひらきまさみ)選挙アナリスト

元NHK社会部記者。選挙報道事務局を長く勤め情勢分析や出口調査導入に尽力。小選挙区制度が導入された初めての衆議院議員選挙報道ではNHK会長賞を受賞。ゼネコン汚職事

件、政治資金の不正など政治家が関わる多くの事件・疑惑も取材。

その後、連合(日本労働組合総連合会)事務局にて会長秘書(笹森清氏)として選挙戦略の企画立案・候補者指導を担当、多くの議員の当選に尽力した。 

政策担当秘書資格取得後、法務大臣/自民党幹事長代理はじめ外務大臣政務官、衆参国会議員政策秘書として、外交・安全保障、都市計画、防災、司法、治安、雇用・消費者、地方自治などの委員会や本会議質問を作成、政策立案に携わる。 

             

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