「完全失業率」「有効求人倍率」「鉱工業生産」や「貿易統計」と様々な経済指標が公表されています。
これらの指標は、雇用や産業という私たちが「働き」「くらす」ことの大切な数値です。
今回は雇用、産業、貿易に関する統計からわたしの「くらし」の実態を浮き彫りにしていきます。
完全失業率
総務省は、7月30日、6月の全国「完全失業率」を公表しました。6月の「完全失業率」は2.5%で5月より0.1ポイント改善しました。
「完全失業率」とは、労働力人口(15歳以上の働く意欲のある人)のうち、完全失業者(職がなく、求職活動をしている人)が占める割合で、雇用情勢を示す重要指標のひとつです。
完全失業者数を労働力人口で割って算出し、数値が高いほど仕事を探している人が多いことを示します。
それによりますと、先月の就業者数は6822万人で、前年同月に比べ37万人増え、23か月連続して増加しました。
一方、先月の完全失業者数は181万人と、前年の同月と比べて2万人増え、3か月連続の増加となりました。
この結果、季節による変動要因を除いた全国の「完全失業率」は2.5%で、5月より0.1ポイント改善しました。
【参考資料1 労働力調査(総務省)】
有効求人倍率
厚生労働省が7月30日公表した先月の「有効求人倍率」は、全国平均で1.23倍となり、前の月に比べて0.01ポイント下がって3か月連続で低下しました。
「有効求人倍率」は、仕事を求めている人1人に対して何人の求人があるかを示すものです。
それによりますと、「有効求人倍率」は先月、全国平均で1.23倍となり前の月を0.01ポイント下回りました。「有効求人倍率」が前の月を下回るのは3か月連続です。
都道府県別の「有効求人倍率」を就業地別でみると、最も高いのは福井県で1.85倍、次いで山口県で1.67倍などとなりました。
一方、最も低かったのは、大阪府1.02倍、北海道1.03倍などとなりました。
新規求人を主な産業別にみてみますと、去年の同じ月に比べて各産業で減少していて、製造業は14.6%、生活関連サービス業は13.7%、建設業は12.8%と大きく減少しています。
厚生労働省は「円安や物価高による原材料費の高騰の影響で製造業や建設業で求人を出せない状況が続いている」としています。
【参考資料2 有効求人倍率(厚生労働省)】
最新の雇用指標の現状について、大和総研では「先行きの雇用環境は緩やかな改善が続くとみている。幅広い業種で人手不足が続く中、労働需要は総じて旺盛だ。積極的な賃上げが進むなど、足元では人手確保に対する動きが加速している。他方、投入コストの上昇が企業収益を圧迫し、労働需要を下押ししている点には引き続き注意が必要だ。」と分析しています。
鉱工業生産指数
経済産業省が、7月31日公表した6月の鉱工業生産指数は2か月ぶりに低下しました。
鉱工業生産指数は企業の生産活動を示す指標です。
それによりますと先月の鉱工業生産指数は2020年を100とした指数で100.6となり、前の月を3.6%下回りました。
国の認証試験の不正問題で、大手自動車メーカーなど5社が対象車種の生産を停止したことで「自動車工業」が低下したのをはじめ、半導体製造装置の受注減少の影響を受けた「生産用機械工業」など15業種すべてで低下しました。
経済産業省は「自動車メーカーによる認証試験の不正問題で、一部のメーカーでは国が基準への適合を確認したことを受けて生産を再開していて、海外経済の先行きとともに影響
を注視していきたい」とコメントしています。
【参考資料3 鉱工業(生産・出荷・在庫)指数の動向(経済産業省)】
世界貿易投資報告
JETRO=日本貿易振興機構は、7月26日、去年1年間の世界の貿易額「世界貿易投資報告」を公表しました。
それによりますと、去年1年間の世界の貿易額は推計で23兆1144億ドルで、前の年より4.9%減少し、コロナ禍の2020年以来、3年ぶりに減少しました。
アメリカと中国の間でスマートフォンや半導体の集積回路などの貿易が減少したほか、紅海周辺ではイエメンの反政府勢力フーシ派による船舶への攻撃で輸送の遅れやコスト上昇の影響が出るなど、地政学的な要因が背景にあると分析しています。
また、世界的な物価上昇で耐久消費財などの需要が低迷し、先進国を中心に輸入の数量や金額が減少する傾向もみられたということです。
JETROでは、「国際紛争の影響を受け船舶での輸送コストが4倍から6倍になっている影響がある。また、ウクライナ紛争を受けての対ロシア貿易の構造変化も著しい。一方で、サービス貿易は過去最高となり中でもデジタル配信サービスが成長を牽引している」と分析しています。
【参考資料4 世界貿易投資報告(JETRO)】
以 上
筆者 平木雅己(ひらきまさみ)選挙アナリスト
元NHK社会部記者。選挙報道事務局を長く勤め情勢分析や出口調査導入に尽力。小選挙区制度が導入された初めての衆議院議員選挙報道ではNHK会長賞を受賞。ゼネ
コン汚職事件、政治資金の不正など政治家が関わる多くの事件・疑惑も取材。
その後、連合(日本労働組合総連合会)事務局にて会長秘書(笹森清氏)として選挙
戦略の企画立案・候補者指導を担当、多くの議員の当選に尽力した。
政策担当秘書資格取得後、法務大臣/自民党幹事長代理はじめ外務大臣政務官、衆参国会議員政策秘書として、外交・安全保障、都市計画、防災、司法、治安、雇用・消費者、地方自治などの委員会や本会議質問を作成、政策立案に携わる。
☆出稿資料☆
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