■ 松川事件:証拠隠蔽によって死刑寸前に追い込まれた冤罪事件
1949年、福島県で発生した列車転覆事件で、3名の機関士が死亡。
現場にはボルト・ナットが外されており、意図的な犯行と判断された。
当時の警察・検察は、事件の背景に労働運動があると決めつけ、国鉄や東芝の労働組合員ら20人を逮捕・起訴した。
一審では全員有罪、うち5人には死刑が求刑された。
● 「諏訪メモ」──死刑を止めた1枚の証拠
最高裁審理中、事件当時のS氏のアリバイを証明する「諏訪メモ」がマスコミにリークされる。S氏が事件当時に会議へ出席し、発言していたことが記されていたこのメモは、無実を裏付ける決定的証拠だった。
しかし検察は、このメモの存在を把握しながら裁判に提出せず、S氏を含む複数の被告に対し死刑を求刑していた。これは、意図的な証拠隠し、すなわち犯罪である。
最高裁は諏訪メモの提出を命じ、結果的に再審で全員の無罪が確定。国家賠償請求訴訟でも勝訴し、検察の違法行為と国家の責任が明確に認定された。
■ 梅田事件:拷問、自白、そして再審に35年
1950年、北海道北見市で郵便局職員が殺害された事件で、共犯とされたH氏の供述により梅田義光氏が逮捕された。梅田氏は拷問により自白を強要され、無期懲役が確定した。
● 検察による決定的証拠の隠蔽
梅田氏が残した手記には、「自白は拷問によるものである」と明記されていた。また、犯行時に着用していたとされる作業着に血痕が付着していないことも確認されていた。いずれも無罪を裏付ける極めて重要な証拠だったが、検察はこれらを裁判に提出せず「紛失した」と主張。
再審請求の第1次では「証拠に新規性がない」と却下されたが、第2次再審請求で提出された証拠(被害者頭蓋骨と自白の整合性に関する法医学鑑定)により再審が開始。釧路地裁で無罪が言い渡された。
無罪確定までにかかった時間は35年。梅田氏の人生と家族は、国家によって破壊された。
■ 冤罪を生む司法構造の本質
- 検察の証拠独占と「証拠の提出選別」
- 拷問・暴行による自白の強要
- 被告側にほぼ認められない証拠収集権限
- 裁判所の無反省と、忖度による判決
- 再審制度における「新規性・明白性」要件の恣意的運用
これらは個別の過ちではない。制度設計そのものが冤罪を生むようにできている。
■ 証拠引得は「特別公務員職権濫用罪」である
警察・検察は「税金」を使って証拠を集めている。つまり、証拠は国民の財産であり、検察が独占すべきものではない。被告人に有利な証拠を提出しない行為は、犯罪である。にもかかわらず、罰せられることはほぼない。
もし「諏訪メモ」がマスコミにリークされていなければ、無実の人が死刑になっていた。検察の暴走は、命を奪いかねない。
■ 裁判所の責任と再審制度の限界
松川事件では、無罪の判断すら最高裁の判断が7対5と分かれた。
諏訪メモのような決定的証拠があっても、司法が「合理的疑い」の原則に基づいて動けないことが露呈した。
梅田事件では、第1次再審で否定された証拠よりも「インパクトの薄い」第2次再審証拠で再審が認められた。
これは、「白鳥決定」「財田川決定」など、再審における判断基準を柔軟にする最高裁判例が間に挟まれたためである。
つまり、日本の司法は依然として「冤罪を正す仕組み」が整っていない。
■ 今こそ声を上げよう
証拠はすべて開示されるべきである
拷問や暴行による自白は、無効とすべきである
警察・検察が「司法取引」のような手法で虚偽の供述を引き出すことを許してはならない
被告人に有利な証拠を隠した捜査機関は、刑事責任を問われるべきである
■ さいごに
冤罪は、被害者の人生だけでなく、その家族の未来も破壊する。証拠を意図的に隠し、無実の人に死刑を求めるような司法は「正義」とは呼べない。国家の名のもとで行われたこれらの行為に対し、私たち一人ひとりが目をそらしてはいけない。
「国民の命よりも、自分たちのメンツを守る司法官僚たち」によって、どれほどの犠牲が生まれてきたのか。その現実を、決して忘れてはならない。
コラムニスト:根本 良輔(ねもと りょうすけ、1994年6月21日)
東京都練馬区出身。くりのみ保育園、大泉南小学校、大泉第二中学校卒業。石神井高校、芝浦工業大学を卒業後、東京大学大学院へ進学し(のち中退)、電気工学の研究に従事する。会社経営者、政治活動家、つばさの党幹事長。二児の父。
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