2024年9月2日,東証2部に上場東京商工リサーチ(以下東商)がリスクモンスター株式会社を訴え訴訟を起こした件について、東商側の主張がほぼ通り勝訴という形になり 12億3636万2280円を原告である東商に支払えという判決が下されました。
リスクモンスターは資産が60億ある会社です。そのうちの12億の支払いはかなり手厳しい判決です。
東商はリスクモンスターの筆頭株主(8.68%)で、リスクモンスター創業時から企業データベースを供与してきました。このため、リスクモンスターは東商の傘下と誤解している人もいるくらいです。
リスクモンスターは2000年9月に日商岩井(現・双日)審査部の有志が立ち上げた会社です。取引先の倒産リスクは、企業にとってのモンスターとの考えから、企業の与信管理サービスをアウトソーシングで請け負うサービスをはじめました。審査の経験とノウハウを活かした「与信管理支援ベンチャー」の誕生です。
2021年11月19日のリスクモンスターの発表によれば、東商の申し出により2022年3月末で両社の資本・業務提携の解消が決まりました。リスクモンスターは、売上の過半を占める与信管理サービス事業の先行きが不透明になった事から株価が下がり始めます。
東京商工リサーチ側(以下東商)がリスクモンスター側に情報を提供していたのですが、契約が終了したので令和4年3月末に基本契約を締結し、利用中止を求めました。
東商が提供した、リスクモンスターへの企業情報を返却するだけではなく、顧客に提供した情報をも返却しなければならないというのです。
これをしなかった場合罰金として倍額を請求するという契約が結ばれています。
リスクモンスター側は、会員に対して情報の消去返却等の要請は特にしていません。
〈会員に提供した情報は削除返却の義務はあるのか〉
東商側と交わした契約の中には、リスクモンスター会員に利用許可したものを含むと契約に記載されており、会員に提供したものについても利用停止、消去返却等を要請するものとしています。これはかなり難しい条件と言えるものであり、リスクモンスターには顧客である企業約7000社が契約していて、混乱を招いています。
〈リスクモンスター側の支払う損害金額は?〉
損害金がある場合、債務不履行で料金の倍額✕2年間の請求となるので、令和3年から4年にかけての1年間のサービス利用料金は2億7,900万円。これの倍額が約5億5,000万円。これが令和4年から2年間と数ヶ月続いており、諸費用含めて12億3,600万円となったのです。
情報を売る会社としてリスクモンスターが東商の情報を利用し、会社を運営したのですが、その契約内容に関しては、東商がリスクモンスターを束縛し契約違反をしたら高い違反金を払わねばならないという拘束条件付き取引のような形になってしまい、身動きが取れず文字通りリスクが怪物並みに押し寄せたということになりました。
☆参考サイト☆
大株主のTSRが「リスクモンスター切り」の真相
この記事へのコメントはありません。