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立憲民主党代表選挙:枝野幸男前代表の立候補表明を受け、いよいよ本格化

9月7日告示、23日投開票の立憲民主党代表選挙に、21日、枝野幸男・前代表が正式に立候補を表明しました。

これを受けて、党内では、立候補が取り沙汰されている議員たちが推薦人集めを本格化させている他、意中の議員に立候補を要請する動きも出ています。

また、各議員グループも情報交換などの会合を重ね、代表選挙をめぐる動きが本格化しています。

今回は、立候補を予定もしくは取り沙汰されている議員たちの経歴を紹介します。

【敬称略】

★泉健太代表

泉氏は、1974年7月生まれの50歳です。7月29日が誕生日で奇しくも岸田文雄首相、志位和夫・共産党議長とも同じで、一時期は3つの政党の代表の誕生日が重なるという珍しい状況が続きました。

衆議院京都3区選出で当選は8回です。泉氏は、北海道出身で立命館大学在学中から、当時の旧民主党京都府連で活動を始め、立命館大学を卒業後、福山手哲郎参議院議員の秘書を務めました。

2003年に初当選後、09年には民主党政権で内閣府政務官に就任しています。その後は、旧国民民主党の国会対策委員長、政調会長を務め、21年枝野前代表の辞任を受け、代表に就任しました。

泉代表は、21日「政権に向かって『本格政党になる』という思いを多くの仲間に伝えていきたい」と述べ立候補に必要となる20人の推薦人を固めるため、自らに近い議員とともに支援の呼びかけを続けています。

泉氏は、旧国民民主党議員所属の議員らを束ね「新政権研究会」という議員グループを立ち上げています。衆議院議員17人、参議院議員8人が所属し、代表選立候補に必要な推薦人20人という条件はクリア出来ています。

★江田憲司衆議院議員

江田氏は、1956年4月生まれの68歳、衆議院神奈川8区選出で当選7回です。東京大学

卒業後、当時の通産省に入省し、橋本龍太郎通産大臣及び内閣総理大臣の秘書官を経験しています。2002年に衆議院議員に当選し、旧みんなの党では幹事長、旧結いの党では代表、旧維新の党では共同代表を務めています。さらに旧民進党と立憲民主党では代表代行を経験し衆議院決算行政監視委員長も務めています

江田氏は、20日に旧みんなの党時代の同僚議員から代表選への立候補を要請されたと明らかにしています。

江田氏は「熱い思いをうかがい、『真摯(しんし)に受け止める』と回答した。ただ、今はいろいろな関係者の意見を個別に聞いている最中なので、その上で最終的に判断したい」と述べました。

また「野党の政策論争が注目される唯一と言ってもいい場が代表選挙であり、いろんな人が出て政策論争をして、立憲民主党が『こんな政党だ』と国民に伝えられる場にできればいい。私は総理大臣官邸で総理大臣をお支えした経験もあり、政権交代の兆しも多少出ているので、代表を選ぶ基準としても政権担当能力が重んじられる」と述べました。

江田憲司・衆議院議員は「支援してもらえる議員は徐々に増えている」と述べています。

江田氏は、旧みんなの党時代の同僚や同じ神奈川県選出の議員などとともに「ブリッジの会」という議員グループを作っていて、衆議院議員18人、参議院議員2人の合わせて20人が加盟しています。

★枝野幸男・前代表

枝野氏は、1964年5月生まれの60歳、衆議院埼玉5区選出で当選10回です。東北大学を卒業後、弁護士登録し、93年衆議院議員選挙で旧日本新党から立候補し、初当選しました。その後、行政刷新担当大臣、内閣官房長官、経済産業大臣を務めました。

党では、旧民主党の政調会長や幹事長、旧民進党の幹事長を経験し、17年衆議院選挙の際、立憲民主党を立ち上げ、代表に就任しましたが、前回21年の衆議院選挙で惨敗したことで代表を辞任し泉氏が後任の代表に就任しました。

枝野氏の支援の中心は、「サンクチュアリ」という議員グループで、自治労や日教組など旧社会党の中核組織だった労働組合の組織内議員らが中心です。

衆議院議員13人、参議院議員12人の合わせて25人が加盟しています。

★野田佳彦・元首相

野田氏は、1957年5月生まれの64歳、衆議院千葉4区選出で当選は9回です。早稲田大学を卒業後、松下政経塾に入塾し、1987年に千葉県議会議員となりました。93年衆議院選挙で、旧日本新党から初当選しましたが、2回目の選挙となった96年衆議院選挙では105票差落選となりました。その後、2000年の衆議院選挙で返り咲きました。民主党政権下では、財務副大臣、財務相を務め、11年首相となりました。また、旧民主党の国会対策委員長、旧民進党幹事長も務めています。

野田氏は、19日午前に党内の中堅・若手議員の有志から立候補の要請を受けました。さらに、19日午後には、千葉市内で、党の千葉県連の国会議員や地方議員ら約40人と面会し「今こそ政権交代が必要で、総理大臣の経験がある野田氏であれば国民も任せられるイメージがあり、代表に適任だ」などとする立候補の要請文を受け取っています。

野田氏は、現在、台湾を訪問中で、立候補要請に「熟慮する」としています。今後、対応を判断する見通しです。

野田氏も党内議員グループ「花斉会(かせいかい)」を作っています。

衆議院議員9人、参議院議員2人が加盟しています。

一方、野田氏をめぐっては23日午後、日本維新の会の政治改革に関する勉強会の講師に招かれていて、「維新との連携の呼び水」ではないかと立憲内、維新内の双方から訝る意見が出ています。

★馬淵澄夫・元国土交通相

馬淵氏は1960年8月生まれでまもなく64歳、衆議院なら1区選出で当選は7回、横浜国立大学卒業後、大手建設会社などでの勤務を経て、03年に初当選しました。

菅直人内閣で  国土交通相兼海洋政策担当大臣兼内閣府特命担当大臣(沖縄及北方対策)、内閣総理大臣補佐官(東北地方太平洋沖地震による災害及び原子力発電所事故対応担当)を務めました。また、衆議院決算行政監視委員長、同災害対策特別委員長、党では立憲民主党国会対策委員長も経験しています。

馬淵氏は、毎週火曜日に昼食を摂りながらの議員懇談会を主宰していて、10人前後の議員が参加していますが、他の議員グループにも加盟している議員が多いのが特徴です。

馬淵氏に対しては、21日、党内の有志議員が立候補を要請しています。

★その他の動き

一方、菅直人・元首相が率いる党内議員グループ「国のかたち研究会」は、22日会合をを開き、代表選挙への対応を話し合いました。

会合後、菅元首相は、「アメリカでも女性の大統領候補が出ている。党内の女性議員で実績や能力があり、適任だと思うのは西村智奈美議員だ」と述べました。

これに対して、西村氏は「泉代表のもとで幹事長を経験し、代表代行を担っているなか、どういう判断ができるか熟慮が必要だ」と述べています。

「国のかたち研究会」には、衆議院議員16人、参議院議員4人が加盟しています。

さらに、当選1回の鈴木庸介衆議院議員(比例東京ブロック)は、X(旧ツイッタ)で「私は吉田はるみ議員に出てもらいたいと、動いています」と22日発信しました。

立憲民主党の代表選挙は、9月7日告示、23日投開票の日程で行われます。

岸田文雄首相が、9月に行われる自民党総裁選挙に立候補しないことを表明し、自民党では新しい総裁、首相の下、早期の衆議院の解散、総選挙を求める意見が強まっています。また、来年(25年)夏には東京都議会議員選挙と参議院議員選挙が行われます。

衆参議員選挙を控え、立憲民主党は誰をリーダーに選ぶのか、枝野氏を正式に立候補を表明したことを受け、泉現代表をはじめ立候補に向けた動きが加速していきます。

編集部では、引き続き、立憲民主党代表選挙の状況をお伝えします。

                                     以 上

筆者 平木雅己(ひらきまさみ)選挙アナリスト

元NHK社会部記者。選挙報道事務局を長く勤め情勢分析や出口調査導入に尽力。小選挙区制度が導入された初めての衆議院議員選挙報道ではNHK会長賞を受賞。ゼネコン汚職事

件、政治資金の不正など政治家が関わる多くの事件・疑惑も取材。

その後、連合(日本労働組合総連合会)事務局にて会長秘書(笹森清氏)として選挙戦略の企画立案・候補者指導を担当、多くの議員の当選に尽力した。 

政策担当秘書資格取得後、法務大臣/自民党幹事長代理はじめ外務大臣政務官、衆参国会議員政策秘書として、外交・安全保障、都市計画、防災、司法、治安、雇用・消費者、地方自治などの委員会や本会議質問を作成、政策立案に携わる。

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