東京都知事選挙と9つの都議会議員補欠選挙が7月7日終了し、今後は岸田文雄首相が再選されるのか?それとも別の総裁・総理が選ばれるのか?9月末に任期満了を迎える自民党総裁選挙を軸に、「永田町そして霞ヶ関」は暑い夏を過ごすことになります。今後の政治日程などを踏まえ検証していきます。
【詳細日程:別紙「永田町・霞ヶ関」カレンダー】
まず、今週(7月8日から)の主な日程では、8日NHK、11日時事通信のそれぞれの月例世論調査が公表される予定です。
NHK、時事通信ともに6月度調査では、2012年12月に自民党が政権に復帰して以降、内閣支持率が最も低くなりました。
今月(7月)実施された「定額減税」「電気ガス料金の補助」について、最新の調査でどのように評価されるのか。内閣支持・不支持率、各政党の支持率とともにその結果が注目されます。
岸田文雄首相が力を入れている外交案件の予定も入っていて、NATO(北大西洋条約機構)出席とその後のドイツ訪問(ショルツ首相との首脳会談)のため、岸田首相は10日から14日まで外遊します。
帰国後、16日から18日まで太平洋・島サミットを主催します。太平洋・島サ
ミットは、南太平洋の18の国や地域の首脳らを招き、3年ごとに開催しています。
今回の会議では、日本としてサイクロンや津波からの避難など災害対策に生かしてもらうため、気象庁の観測データを、日本版GPS衛星「みちびき」を通じてリアルタイムに提供することを表明することにしています。
また、8月9日から12日までモンゴルと中央アジア5ヵ国を訪問する予定も入っています。モンゴルへの訪問では、拉致問題についてなんらかの協力を依頼するのでないかとの見方も出ています。
岸田首相は、8月6日広島、9日長崎の平和記念式典、15日の全国戦没者慰霊式典へも出席します。
一方、岸田首相は、自民党総裁としての任期を9月末に迎えます。
7月6日毎日新聞が報じたところによりますと、「9月までに予定される自民党総裁選を巡り、投開票日を9月20日とする日程案が党内で浮上している」とのことです。
具体的な日程は、自民党総裁選管理委員会にて協議し決定しますが、「総裁公選規程によると、議員投票は総裁の任期満了前10日以内と定められている。岸田文雄首相の総裁任期満了は9月30日のため、投開票日は同20~29日のいずれかの日となる」と報じています。
総裁選の運動期間は、「投票日の12日前までに行われること」となっているため、最も短い運動期間の場合、「9月8日告示・20日投開票」という可能性があります。
また、9月10日から国連総会が開会し、24日からは各国首脳による演説も予定されています。岸田首相もしくは新総裁が選出された場合、出席が見込まれます。
岸田首相再選の場合でも党役員人事や内閣改造が行われる見通しです。新総裁の場合でも、臨時国会での首相指名選挙や組閣などが行われます。
こうした外交日程や秋の臨時国会なども踏まえ、自民党総裁選挙の日程については「9月8日告示・20日投開票」という案が浮上しています。
一方、立憲民主党の泉健太代表も9月末に任期満了を迎えます。自民党総裁選が同時期に実施されることを見越し、野田佳彦元首相は、6月25日の自身の国政報告会にて 「総裁選が終わり首相が決まった後では意味がない。同じ時期に代表選を実施すべきだ」と述べました。
衆議院議員の任期が10月30日で残り1年となる中、いつ衆議院の解散・総選挙が行われるのかということを踏まえ、自民党総裁選挙実施に伴う立民の埋没感を防ぐ狙いがあるものと見られる発言ですが、今後、自民党総裁選とともに立民代表選の実施時期も注目されます。
秋の臨時国会を見据えて発言も出ています。
公明党の石井啓一幹事長は、7月5日の記者会見で衆議院補選で選挙運動中に妨害行為が行われたり、都知事選で同一の選挙ポスターが複数、掲示板に貼られたりしていることなどを踏まえ、秋の臨時国会を視野に公職選挙法の改正を目指す考えを示しています。
また、公明党は、性同一性障害の人の戸籍上の性別変更をめぐり、生殖機能をなくす手術を受ける必要があるとする法律の要件は削除するなどとした党の見解をまとめています。
性同一性障害の人が戸籍上の性別を変更するには、生殖機能をなくす手術を受ける必要があるとする法律の要件について、最高裁判所は23年10月、憲法に違反して無効だと判断したことをうけてのもので、自民党にも呼びかけて秋の臨時国会を視野に法改正を目指すことにしています。
9月に行われる自民党総裁選、立民代表選、そして、10月30日には衆議院議員任期満了まで1年となり、いつ衆議院の解散・総選挙が行われてもおかしくない状況となり、「永田町」は緊迫したムードに包まれていきます。
霞ヶ関の各省庁が要望する来年度(2025年度)予算案の概算要求は8月末が締切で、9月から本格的な予算案編成作業が始まります。
岸田首相が引き続き、政権を担うのか?新しい自民党総裁・総理が選ばれるのか?また、衆議院選挙が実施され政権交代により、野党側から首相が選ばれル事態となるのか?新しい政権誕生となった場合、どのような予算の優先順位となるのか?「霞ヶ関」も政治のゆくえを静かに見守りながら予算案を作っていきます。
以 上
筆者 平木雅己(ひらきまさみ)選挙アナリスト
元NHK社会部記者。選挙報道事務局を長く勤め情勢分析や出口調査導入に尽力。小選挙区制度が導入された初めての衆議院議員選挙報道ではNHK会長賞を受賞。ゼネコン汚職事件、政治資金の不正など政治家が関わる多くの事件・疑惑も取材。
その後、連合(日本労働組合総連合会)事務局にて会長秘書(笹森清氏)として選挙戦略の企画立案・候補者指導を担当、多くの議員の当選に尽力した。
政策担当秘書資格取得後、法務大臣/自民党幹事長代理はじめ外務大臣政務官、衆参国会議員政策秘書として、外交・安全保障、都市計画、防災、司法、治安、雇用・消費者、地方自治などの委員会や本会議質問を作成、政策立案に携わる。
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