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【幻覚系薬物への可能性に賭けたアントレプレナー クリスチャン・アンガーマイヤーとは何者?】

今もっぱら世界で注目の投資家クリスチャン・アンガーマイヤー(42歳)は、ファミリーオフィスのアペイロン・インベストメント・グループを通じて、ライフサイエンス(生命科学)、金融テクノロジー、AI、幻覚性薬物の医療化、暗号通貨、またアートや映画製作、さてまた恐竜の化石、脳インプラントに投資しているアントレプレナー(複数企業立ち上げの投資家)だ。

〈クリスチャンが起こした最初の事業〉
クリスチャンはドイツ、バイエルン北部の小さな町トリーベンドルフで、秘書をしていた母親と建築業エンジニアの父親のもとに誕生。『もし私の両親に私が何になるべきかを尋ねたら、教師か医者と言ったでしょう』と彼は言う。

クリスチャンは6歳の頃、両親に連れられてアニメ映画を観に行った際、両親が映画を見るためにお金を払ってチケットを手に入れた事実に大きな興味をもった。

帰宅するなりテレビのリモコンを独占し、両親がテレビを見ようとするたびに視聴料をとるようになった。これが彼の最初のビジネスだ。

〈大学生にしてM&A成功へ〉
クリスチャンは、1998年若干20歳の時、ベイルース大学に入学した際、RNA干渉という遺伝子ターゲティングの新テクノロジーを研究していた教授らと共同でバイオテクノロジー企業リボファーマを設立し、大学を中退、最初の数百万ドルを稼ぐことに成功した。そして2003年に同社がアルナイラムと合併した際に持ち株を売却した。25歳にして大金を得た。

 〈有力な資産家やアフリカの大統領まで〉
彼はまた、当時ドイツ有数の富裕な一族の出身であるゴロ・クワントと親しくなる。クワントは、クリスチャンが大学時代の友人2人と金融サービス会社を立ち上げた際、リボファルマの後に推定4000万ドルの資金を投入してくれた。

2007年、クリスチャンはドイツ外務省に勤務していた友人から、ルワンダのポール・カガメ大統領のために夕食会を開かないかと提案された。

そこで何とカガメ大統領に気に入られたクリスチャンは、夕食会の数週間後にルワンダの首都キガリに招待される。
ルワンダへの投資を申し出たクリスチャンに対し、カガメ大統領はルワンダ開発銀行という小さな銀行が買い手を探していると伝えた。

クリスチャンは帰国後すぐに1000万ドルでルワンダ開発銀行を買収した。

次に彼はフランクフルトで銀行グループ、アフリカ開発公社(ADC)を立ち上げ、最高経営責任者(CEO)を雇って、 アフリカ大陸で10以上の地方銀行を連続して買収させた。

そして2014年、アンガーマイヤーとパートナーたちはADCとほかの銀行グループを2億6500万ドル以上で売却した。アンガーマイヤーのもち分は当時15%だったという。

この人脈作りのフットワークの良さ。痛快ハリウッド映画のようである。

〈そして好きなことを仕事にするアントレプレナーへ〉
そして36歳でADCを売却したアンガーマイヤーは、新たに自らの投資企業アペリオンを単独で立ち上げ、自ら経営に身を投じることとなった。

クリスチャンの会社、マルタ島を拠点とするアペイロンインベストメント・グループは、30億米ドル以上の運用資金を有し、海外5カ所に50名の社員を擁する。

米国、ドイツ、カナダ、オーストラリアで複数の上場企業や未公開企業の株式を所有している。アペイロンは、ライフサイエンス(生命科学)、金融テクノロジー&暗号資産、ブロックチェーン、などの未来的技術革新、医療介護部門などに注目している。

過去20年間で、クリスチャンは企業評価価値10億ドルのユニコーン3つを創業し、4つのユニコーンと企業評価価値が100億ドルともいわれるデカ・コーン2つのスタートアップ企業への投資を務めてきた。
ネクスト・ヒューマン・アジェンダ【次の人類のさらなる課題】を形成する企業の設立と投資を行っている。

彼の持ち株には、サイケデリック・バイオファーマのアタイ・ライフ・サイエンシズや、共同投資家のマイク・ノヴォグラッツとともにブロックチェーン・ホールディング会社のクリプトロジーがある。

クリスチャンはメンタルヘルスに情熱を注いでおり、世界初の非営利インキュベーターであるアウロラ・インスティテュートの共同設立者であり、世界的なメンタルヘルスの危機を解決するために尽力する世界有数の個人やNGOに資金を提供することに注力している。

《サイケデリックに傾倒》
クリスチャンが言うには2400年前の古代ギリシャでは、プラトンやソクラテスのような人物も強力なサイケデリック薬を飲んでいた古代の儀式があったというのだ。

「サイケデリックが西洋文明の基礎であったという証拠が、ますます増えています」とクリスチャンは言う。

〈幻覚系薬物を医療に〉
過去5年間、サイケデリック・ドラッグを1960年代のカウンターカルチャーの埃っぽい遺物から、精神疾患を治療するための合法的な薬として医学の主流に移行させた、おそらく唯一にして最大の経済的原動力である彼にとっては、この興奮は理にかなっている。

クリスチャンがこの事業を起こす以前は、この分野はヒッピーや夢想家のものだと思われていたからだ。

今日でこそ、臨床試験や規制当局からの早期承認が増えつつある。

彼が2017年に設立に関わったCompass Pathways社はニューヨークに上場した。この会社は、合成版のシロシビン(マジックマッシュルームの有効成分)を開発し、この薬を使った世界初の大規模治療臨床試験を実施している。

 彼の28%の株式は、複数回のラウンドで約5500万ドルかかったが、4億ドル以上の価値になった。

DMT、アルケタミン、イボガインなど、より曖昧な薬物を用いて精神疾患の治療法を幅広く研究しているアタイ・ライフ・サイエンシズも、来春には上場する予定である。

これらますます大きくなる財産により、彼の投資会社であるアペイロン・インベストメント・グループは、彼自身の資金約7億5000万ドルと他人の資金6億ドルを管理し、クリスチャンは、ヨーロッパで最も強力で影響力のあるテック投資家の一人になりつつある。

〈単なるトリップではなかった『経験』〉
クリスチャンには、腕にサイロシビンの化学記号が描かれたタトゥーがある。

2014年にカリブ海のカヌアン島(クリスチャンによると、そこでは薬物は合法だったとのこと)で友人たちと一緒にマジックマッシュルーム(サイロシビン)を試した。彼は何年もの間、薬物に関しては抵抗してきた。彼はそれまで飲酒も喫煙も薬物も一切していなかったので、マジックマッシュルームを試すことに消極的だった。

しかし、ついに試してみたとき、それが非常に深い体験であることに気づき、精神的健康に対するその肯定的な効果の「熱心な信奉者」になった。

クリスチャンは言う、『今までのすべてのトリップが、私の人生で最も意味のある経験の一部となっている。』

『この経験を医療に役立てられないか』
彼はこれを薬に変えるビジネスの方法を探し始めた。

2017年に友人のマイケル・ノボグラッツが彼をジョージ・ゴールドスミスとエカテリーナ・マリエフスカヤ(現在Compass Pathwaysを率いている)に紹介。彼らもサイロシビンの精神的健康への利点について同様の考えを持っていた。

数週間後、クリスチャンは彼らに本格的なビジネスを始めるために必要な300万ポンドの投資を約束した。

数年後、Compass Pathwaysはヨーロッパと北米の9か国にわたる20の施設で抗うつ病などのサイロシビン療法の臨床試験を行っている。

そして、この分野で非常に大きな存在となり、人工的な形態のサイロシビンを特許取得することで、マジックマッシュルームの独占を図っていると批判されているが、クリスチャンはその批判を否定している。

『私たちは自宅で有機的にこれを育てているヒッピーたちを狙っているわけではない。私たちはこれを特許取得しているのは、この天然薬物の合成バージョンを、医療条件のために必要としている何億人もの人々に提供するためだ。そして、それは医師によって処方され、健康保険で支払われる場合にのみ入手できる。』

〈生命科学 長寿への投資〉
今日び、クリスチャン・アンガーメイヤーはサイケデリック研究の他に、長寿の分野でも最も著名な投資家の一人でありスイスのRejuveron Life Sciencesと米国のCambrian Biopharmaの2つの企業に深く関わっている。

オーブリー・デ・グレイやレイ・カーツワイルなどの人物によって先駆けられた長寿の科学は、今日では老化の9つの「特徴」に対する特定の治療法を見つけることに集中しており、老化プロセスを停止または逆転させることを目指している。

ただしすべてが順調ではない。クリスチャンがもついくつかの上場企業は大きな損失を出している。ATAIは2021年6月の上場時に一株20ドル近くをつけたが、現在はナスダックの上場維持に必要な最低水準である1ドルをわずかに上回るレンジで推移している。

「事業はすばらしく順調にも関わらず、株価が90%下落している企業など50社だって挙げることができます。私は何も間違っていません」
何しろたくさんの事業を抱えているクリスチャン・アンガーマイヤーだからこそそう言えるのである。

参考サイト:

Brunch with Sifted: psychedelic investor Christian Angermayer

ユマ・サーマンからメルケルまぬで「人脈・嗅覚」で稼ぐ天才投資家

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