東京都足立区の柳原病院で自身が執刀した女性患者に対する準強制わいせつ罪に問われていた男性外科医の差戻控訴審で、東京高裁(齊藤啓昭裁判長)は2025年3月12日、一審の無罪判決を支持し、検察側の控訴を棄却する判決を言い渡した。
事件は、2016年5月に男性外科医が手術後の女性患者にわいせつ行為をしたとして逮捕・起訴されたもの。一審の東京地裁は、術後の女性患者がせん妄状態にあり性的幻覚を見た可能性が排除できないとして無罪を言い渡した。しかし控訴審では東京高裁が有罪(懲役2年)判決を下した。
その後、2022年2月に最高裁がDNA鑑定の信頼性についての審理が不十分として、高裁判決を破棄し差戻しを命じていた。
今回の差戻控訴審では、警視庁科学捜査研究所のDNA定量検査の信用性が焦点となった。東京高裁は、科捜研の手法に一定の信用性を認めつつも、「DNA鑑定結果が厳密に正確であると保証されるものではなく、唾液が付着したと断定できるだけの根拠に欠ける」と判断。また、女性患者が術後にせん妄状態に陥っていた可能性を認め、最終的に「本件公訴事実を認めるには合理的な疑いが残る」として、一審の無罪判決を支持した。
男性外科医は2016年に逮捕され、105日間の勾留を経て無罪を主張し続けていた。
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