9月12日告示された自民党総裁選は、立会演説会や共同記者会見が行われ、9人の候補者が、政治とカネの問題を受けた党改革のあり方や、経済・財政政策などをめぐって主張を展開しています。
9氏の主な政見をまとめました。【届出順:参考資料9氏の主な政見】
高市早苗・経済安保相 「安全で 働く場所がある 強い日本列島をつくる」
高市氏は、「目指すのはわが国の伝統と文化と歴史にまっすぐな思いを持ち、誇りを持つ自民党だ。安全で、福祉、教育、医療も受けられ、働く場所がある、強い日本列島をつくっていく」と決意を述べました。
また、政治とカネの問題については「お金の入りと流れから属人性を完全に排除し、会計や財務の専門家の力も借りて、特定の幹部が使途を決めるのではなく、公平に配分され、使途をチェックできる仕組みをつくる」と述べました。
小林鷹之・前経済安保相 「経済政策に注力 世界をリードする日本をつくる」
小林氏は、「経済政策に注力し、地方に活力をもたらすため競争力のある産業のかたまりを日本各地につくる。2050年を見据えた国家戦略をつくり世界をリードする日本をつくる」と決意を述べました。
また、政治とカネの問題については「党改革を断行する。政治資金改革の徹底は当然だ。また、当選回数が少なくても能力のある議員や、ベテランで経験豊富な議員など 本当の意味で適材適所の人事を断行する」と述べました。
林芳正・内閣官房長官「不安を解決 これまでの経験と実績を使い切りたい」
林氏は、「『3つの安心』を掲げ、1つ1つの不安を政策や政治によって解決する。日本が
成長し、税収も増えることが必要だ。これまでの経験と実績を使い切りたい」と決意を述
べました。
また、政治とカネの問題については「アメリカのFEC=連邦選挙委員会をモデルに透明性を高め、改革を行う。政党交付金の使い方を見直し、議員がパーティーに頼らなくていい配分を実現する」と述べました。
小泉進次郎・元環境相
「生き方や働き方の変化に合わせ 人生の選択肢を増やす」
小泉氏は、「国民の生き方や働き方の変化に合わせ、働きたいのに働けない『年収の壁』の撤廃や労働時間規制の見直し、『選択的夫婦別姓』の導入など、人生の選択肢を増やす」と決意を述べました。
また、政治とカネの問題については「今回の総裁選挙は自民党が本当に変わるか、変えられるのは誰かが問われる選挙だ。政治資金の透明化に加えて党改革や国会改革も進める。一丸となって国民の共感を取り戻したい」と述べました。
上川陽子・外相 「覚悟を持って困難に立ち向かう 新たな日本を築く」
上川氏は、「法務大臣や外務大臣として、厳しい現場を訪れ、重い決断をしてきたからこそ、覚悟を持って困難に立ち向かうことができる。逃げずに新たな日本を築いていきたい」と決意を述べました。
また、政治とカネの問題について「政治への信頼を大きく傷つけたことを心からおわびする。国民目線で国民の声に耳を傾けていきたい。私がスタートラインに立てたこと自体が新しい自民党の姿を示す一歩だ」と述べました。
加藤勝信・元内閣官房長官「所得倍増を成し遂げ 改革を加速化する」
加藤氏は、「人口減少で苦労している地域をしっかり支え、国土強靭化やインフラ整備も加速する。所得倍増を成し遂げ、改革を加速化し、新しい日本をともにつくる」と決意を述べました。
また、政治とカネの問題については「政策活動費は原則として公開する。国会に独立した
第三者機関を設け、政治資金の透明性を確保する。旧『文書通信交通滞在費』の未使用分は国庫への返納を徹底する」と述べました。
河野太郎・デジタル相 「物価高や老後の不安に向き合い 1つ1つ解決したい」
河野氏は、「日本を前に進めるため傷だらけになっても改革をやり遂げた実績を見てほしい。物価高や老後の不安など生活の中にある有事と向き合い1つ1つ解決したい」と決意を述べました。
また、政治とカネの問題については「難しい問題も国民にきちんと説明し、この国を任せられるのは自民党しかないという国民の信頼を勝ちえるのが今回の総裁選挙だ。ひるまず論戦を挑んでいきたい」と述べました。
石破茂・元幹事長「どう地域の平和と安全を守るか根幹から考え直す」
石破氏は、「どう地域の平和と安全を守るのか根幹から考え直していく。憲法を改正し自衛隊を明記することは必要だが、安全保障基本法がなくていいのか」と決意を述べました。
また、政治とカネの問題については「政治不信の中、国民に対して説明責任を果たし、国民が納得するまで総裁として全力を尽くす。国民から信頼される自民党、未来を切りひらく自民党でありたい」と述べました。
茂木敏充・幹事長「新たな財源を確保し 増税ゼロでの政策を推進する」
茂木氏は、「成長戦略による税収アップなどによって新たな財源を確保し、増税ゼロでの政策を推進していく。3年以内に結果が出なければトップが責任を取る」と決意を述べました。
また、政治とカネの問題については「まったく新しい自民党をつくっていく覚悟を示し、二度と同じ問題を起こさないために、党の規律や運営体制、財務体質をゼロベースで見直し、政策活動費も廃止する」と述べました。
今後の日程
14日は日本記者クラブ主催の討論会が予定されているのをはじめ、今回は、全国8か所で演説会や討論会が行われます。
14日に名古屋市、15日に福島市、16日に金沢市、17日に那覇市、18日に松山市と大阪
市、19日に東京、20日に松江市でそれぞれ開催されます。
また、22日から3日間、憲法改正や政治改革、経済財政などをテーマに事前に国民から寄せられた質問に答える政策討論会を行い、オンラインでも配信されます。
そして、27日の午後1時から党本部で「国会議員票」の投開票や「党員票」の開票が行われ、新しい総裁が選出されます。
以 上
筆者 平木雅己(ひらきまさみ)選挙アナリスト
元NHK社会部記者。選挙報道事務局を長く勤め情勢分析や出口調査導入に尽力。小選挙区
制度が導入された初めての衆議院議員選挙報道ではNHK会長賞を受賞。ゼネコン汚職事
件、政治資金の不正など政治家が関わる多くの事件・疑惑も取材。
その後、連合(日本労働組合総連合会)事務局にて会長秘書(笹森清氏)として選挙戦略の企画立案・候補者指導を担当、多くの議員の当選に尽力した。
政策担当秘書資格取得後、法務大臣/自民党幹事長代理はじめ外務大臣政務官、衆参国会議員政策秘書として、外交・安全保障、都市計画、防災、司法、治安、雇用・消費者、地方自治などの委員会や本会議質問を作成、政策立案に携わる。
☆出稿資料☆
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