自民党の総裁選挙管理委員会が、20日、東京・永田町の党本部で開かれ、岸田文雄首相の後任を選ぶ総裁選挙について、9月12日に告示し、27日に投開票を行うことを決めました。
それによりますと、自民党総裁選挙は、9月12日に告示され、27日に党本部8階のホールで国会議員による投票と開票を行うとのことです。
告示日から投票日前日までの期間は15日間となり、総裁選挙の今の規程が設けられた1995年以降、最も長くなります。
今の規程のもとで党員投票もあわせて行われた過去4回の総裁選挙のうち、告示から投票日前日までの期間が最も長かったのは13日間で、2018年に安倍晋三元首相が石破茂元幹事長を破った選挙でした。
また、最短の12日間だったのは、3年前の前回、岸田首相が河野太郎デジタル大臣らに勝利した選挙と、12年に安倍元首相が石破元幹事長らに勝利した選挙です。
さらに、特例によって規程より短い10日間だったのは、09年に自民党が野党に転落した直後に谷垣禎一氏が総裁に選ばれた際の選挙でした。
自民党の総裁選挙は国会議員1人1票の「国会議員票」と全国の党員・党友による投票で配分が決まる「党員票」で争われます。
今回、「国会議員票」と「党員票」は同数のいずれも367票、あわせて734票となる見通しです。
「国会議員票」は党本部で投票が行われ、その場で開票されます。
一方、党員投票は、党の規程では去年までの2年間、党費を納めた党員に選挙権が与えられることになっていますが、3年前の総裁選挙などと同様、今回も特例で去年1年分の党費を納めた党員にも与えられます。
「党員票」の投票は、開票日前日の26日に締め切られ、各都道府県連が集計した投票数を党本部でまとめ、いわゆるドント方式で候補者に配分されます。
そして「国会議員票」と「党員票」をあわせた有効票の過半数を得た候補者が、新総裁に選出されます。
ただし、1回目の投票で過半数を得る候補者がいなかった場合は、上位2人による決選投票が行われます。
決選投票は、国会議員が改めて1人1票を投じるのに加え、47の各都道府県連にも1票ずつ割りふられます。
各都道府県連の1票は、党員投票の結果に基づき、上位2人のうち得票数が多い候補者が自動的に獲得する仕組みです。
総裁選挙管理委員会の委員長を務める逢沢元国会対策委員長は記者会見で、15日間の期間を設けることについて「自民党が置かれている厳しい環境を重く受け止め、地方にも広く、候補者の政策やビジョンを伝える努力を行う必要が今まで以上にあることを考慮した。可能なかぎり地方で演説会や政策討論会を企画したい」と述べました。
一方、自民党の小林鷹之・前経済安全保障相が、19日午後2時から国会内で記者会見し「自民党総裁選挙に覚悟を持って出馬することをここに表明する。当選4回、40代、普通のサラリーマン家庭で育った私が派閥に関係なく今、この場にこうして立っている事実こそが自民党が本気で変わろうとする象徴になる」と述べ、総裁選挙に立候補することを正式に表明しました。
今回の総裁選挙に正式に立候補を表明したのは、小林氏が初めてです。
会見の中で、小林氏は、政治とカネの問題で失った国民の信頼を取り戻すため政治改革と党改革に取り組む考えを示し「自民党は生まれ変われることを証明したい」と強調しました。
そして、総裁選挙の戦い方をめぐり「脱派閥選挙を徹底する。旧派閥に対する支援は一切求めない」と述べました。
一方、政策面では経済政策を最初に挙げ「『経済は財政に優先する』というのが基本的な考え方で、世界をリードする戦略産業を育成する。あわせて物価高への対策パッケージをことし中に打ち出す」と説明しました。
また、外交・安全保障政策をめぐってはグローバル・サウスの国々と欧米の先進国の懸け橋となって国際秩序を強化し日本にしかできない方法で世界をリードすると訴えました。
社会保障政策では若者に過度な負担がかかっている今の仕組みを見直し、若者対策としてあらゆる政策を総動員し若者の手取りを大幅に増やす考えを示しました。
憲法改正については「政治の要諦は危機管理であり緊急事態条項の新設と自衛隊明記は喫緊の課題だ。早期の発議に向けて最大限の熱量をもって取り組む」と述べました。
最後にみずからの名前の「鷹」という文字に触れ「鷹は時折古い羽を新しい羽にかえる習性を持っている。自民党も時代に合わなくなった慣例という古い羽を勇気を持って脱ぎ捨てて新しい羽を生やす必要がある。大先輩から後輩まで協力を仰ぎ守るべきものを守るため新しい自民党をつくっていく」と意欲を示しました。
今年10月で衆議院議員の任期が残り1年になることから、「いつ解散・総選挙があってもおかしくない政治状況」であり、来年夏には東京都議会議員選挙、参議院議員選挙が行われます。
国政・大型選挙の指揮を執る新総裁、総理は誰になるのか?編集部では、自民党総裁選挙の動きを随時、お伝えしていきます。以 上
筆者 平木雅己(ひらきまさみ)選挙アナリスト
元NHK社会部記者。選挙報道事務局を長く勤め情勢分析や出口調査導入に尽力。小選挙区制度が導入された初めての衆議院議員選挙報道ではNHK会長賞を受賞。ゼネコン汚職事
件、政治資金の不正など政治家が関わる多くの事件・疑惑も取材。
その後、連合(日本労働組合総連合会)事務局にて会長秘書(笹森清氏)として選挙戦略の企画立案・候補者指導を担当、多くの議員の当選に尽力した。
政策担当秘書資格取得後、法務大臣/自民党幹事長代理はじめ外務大臣政務官、衆参国会議員政策秘書として、外交・安全保障、都市計画、防災、司法、治安、雇用・消費者、地方自治などの委員会や本会議質問を作成、政策立案に携わる。
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