アンジェス株式会社(東証グロース・証券コード4563)が2026年3月27日に開催した定時株主総会で、株主提案として提出された議案がすべて否決された一方、各議案で3割台後半から4割に達する賛成票が投じられていたことが明らかになった。特にルイスシブヤ(秋田新太郎氏)に関する調査委員会設置を求めた議案を含め、企業統治に関わる提案に一定の支持が集まった点が注目される。
■ 株主提案、否決も具体的な賛成率が示す意味
金融商品取引法に基づく臨時報告書によれば、第5号議案から第9号議案までの株主提案はいずれも否決されたが、賛成率はそれぞれ、
第5号議案(役員報酬の個別開示)が41.09%、
第6号議案(取締役会議長とCEOの分離)が37.90%、
第7号議案(社外取締役のみの会議)が38.27%、
第8号議案(株主名簿閲覧制度の見直し)が36.55%、
第9号議案(ルイスシブヤ関連の特別調査委員会設置)が37.75%
となった。
いずれも可決には至らなかったものの、複数議案で4割前後の支持を集めたことは、一般的な株主提案と比較しても相対的に高い水準といえる。
■ 第5号議案、4割超の支持で報酬開示への強い関心
第5号議案では、役員報酬の個別開示を定款に明記することの是非が問われた。
提案理由では、報酬の透明性向上と株主による監視機能の強化の必要性が指摘されていた。この議案は否決されたものの、賛成率は41.09%に達しており、株主の間で報酬開示の強化を求める声が相当規模で存在していることが明らかになった。
■ 第6号議案、経営と監督の分離に継続的な支持
第6号議案では、取締役会議長と最高経営責任者(CEO)の兼任を原則として禁止するガバナンス強化策が提案された。
提案理由では、経営監督機能の独立性確保の重要性が指摘されていた。この議案は否決されたが、賛成率は37.90%となり、経営と監督の分離を求める株主の一定の支持が確認された。
■ 第7号議案、社外取締役の独立性強化に一定の支持
第7号議案では、社外取締役のみで構成される経営会議の開催義務を定款に定めることが提案された。
提案理由では、経営陣から独立した意思決定プロセスの確保が必要であると指摘されていた。この議案も否決されたものの、賛成率は38.27%となり、社外取締役の実効的な独立性強化を求める株主の意識が一定規模で存在することが示された。
■ 第8号議案、名簿閲覧問題に対する明確な問題意識
第8号議案では、株主名簿の閲覧・謄写方法について具体的な運用ルールを定款で明確化することが提案された。
提案理由では、現行の閲覧条件では株主の権利行使が実質的に制限されているとの問題意識が示されていた。この議案は否決されたが、賛成率は36.55%に達しており、株主名簿閲覧制度の実効性に対する課題認識が相当程度共有されていることが浮き彫りとなった。
■ 第9号議案、ルイスシブヤ関連調査に約4割の支持
第9号議案では、秋田新太郎氏ことルイスシブヤ氏と同社関係者との関係性について特別調査委員会の設置が提案された。
提案理由では、過去の刑事事件や国際指名手配の状況などに言及し、企業としての説明責任と透明性確保の必要性が指摘されていた。この議案は否決されたものの、賛成率は37.75%に達しており、企業統治上のリスクに関する調査の必要性について、一定規模の株主支持が存在したことが明らかになった。
■ 名簿閲覧問題と株主提案の接点
第8号議案として提案された株主名簿の閲覧・謄写制度の見直しは、これまで問題となってきた株主名簿閲覧対応と密接に関連している。
同社は約1万ページに及ぶ株主名簿について、パソコン1台によるスクロール表示に限定し、閲覧時間も実質約2時間半にとどまる形式で対応したとされる。この条件では実質的な謄写が困難であり、会社法125条に基づく株主の権利行使が制限されているとの指摘が出ていた。
この議案の賛成率は36.55%であり、閲覧制度の在り方についても一定の問題意識が共有されていることがうかがえる。
■ 若林功晃弁護士「事実は不知」と反論
この閲覧対応には、森・濱田松本法律事務所の若林功晃弁護士(2009年登録・東京弁護士会)および大槻栞佳弁護士(司法修習77期・第一東京弁護士会)が関与していたとされる。
株主側は両弁護士に対し懲戒請求を提出しており、これに対し若林弁護士は2026年3月4日付の答弁書で、「事実は不知」とし、その余の主張についても争う姿勢を示している。
■ 会社側は全議案に反対
株主総会では、取締役会が株主提案に対し一貫して反対意見を表明した。会社側は、株主名簿閲覧対応については法令に従い適切に実施しているとしたほか、特別調査委員会の設置などについても定款で定めるべき事項ではないとの立場を示している。
■ 約4割の賛成が示した意味
今回の株主提案は、報酬の透明性、経営権限の分離、社外取締役の独立性、株主権利の実効性、特定人物との関係性など、企業統治の根幹に関わる論点を広く含んでいた。
すべて否決された一方で、各議案で約4割前後の賛成が継続的に見られたことは、同社のガバナンスに対する株主の問題意識が一定規模で存在していることを示唆している。
関連リンク
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