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代金トラブルが相次ぎ、中古車販売店の倒産が急増している?ビッグモーターが起こした不正問題も あらためて解説

※ 東京商工リサーチの調査

2024年度の中古車販売店の倒産件数は98件に達し、前年度の1.4倍に増加。
帝国データバンクも、2023年1月から9月までの倒産件数が前年年間件数を既に上回り、過去10年で最多となる可能性を指摘している。

倒産が急増している主な原因

販売不振: 最も大きな原因として挙げられており、倒産全体の82.6%を占めている。

仕入れ価格の高騰: コロナ禍における半導体不足による新車供給の遅延が、中古車需要を急増させ、「空前のバブル」状態に。これにより中古車の仕入れ価格が大幅に高騰し、激しい価格競争の中で、中小・零細の販売店は高騰した仕入れ価格を販売価格に転嫁できず、収益を圧迫された。

消費者の不信感の増大: 業界最大手の不正問題などが相次いで発覚したことにより、中古車業界全体に対する消費者の信頼が大きく損なわれた。これにより、消費者の購買意欲が低下し、販売台数やアフターサービスの利用が減少。

事業上の失敗および既往のしわ寄せ:
その他、経営戦略の失敗や過去からの累積債務なども倒産の要因となっている。

過当競争: 中古車市場が活況を呈する中で新規参入が増え、競争が激化した結果、体力のない小規模事業者が淘汰される動きが加速している。

買い取り代金トラブル: 一部のケースでは、中古車販売店が買い取った車の代金を支払わないといったトラブルも発生しており、これがさらに業界への不信感を募らせている。

これらの要因が複合的に作用し、中古車の買い取りと販売を兼ねる企業の倒産が急増している状況。

業界最大手のビッグモーターが起こした不正問題で消費者の不信感の増大した件

ビッグモーターが引き起こした主な問題


自動車保険の保険金不正請求:

顧客から預かった車両を意図的に損傷させ(例: ゴルフボールで車体を叩く、ドライバーで傷をつける、ヘッドライトカバーを割るなど)、修理費用を水増しして損害保険会社に請求していた。
不要な板金作業や部品交換、高機能塗装の偽装、未交換部品の費用請求なども行われていた。

これらの不正請求の背後には、ビッグモーターの過酷な営業ノルマと達成への過大なプレッシャーが背景にあったとされている。

ずさんな企業統治とハラスメント:

過酷な目標設定、法令や社会常識を軽視する企業文化、人事権を濫用した経営陣の暴走など、ガバナンスの機能不全が指摘された。

従業員に対する厳しいノルマ達成への圧力が、不正行為を助長する温床となった。

街路樹問題など環境への影響:除草剤の使用

店舗前の街路樹が不自然に枯れる事案が多数報告され、除草剤の不適切な使用が疑われた。
福岡県やさいたま市などの調査でグリホサートが検出されたと報じられている。

グリホサートは、ベトナム戦争でまかれた枯葉剤と成分が同じ。
世界中で除草剤の禁止のデモや訴訟が怒っている。日本では報道をせず
ホームセンターに山積みになっている。

業界の不信感に繋がった経緯

消費者の信頼失墜: 業界最大手であるビッグモーターの不正行為が明るみに出たことで、「中古車は信用できない」「どの販売店も同じような不正をしているのではないか」といった不信感が消費者の間に広まった。

他社への影響: ビッグモーター以外の真面目に営業している中古車販売店も、消費者の中古車販売業者への不信感によって売上が減少するなど、業界全体が厳しい状況に追い込まれた。

行政指導と業界改革の動き: 金融庁や国土交通省はビッグモーターに対して業務改善命令を出すなど行政指導を行い、業界全体で信頼回復に向けた取り組み(例: 支払総額表示の義務化、修理の透明化に向けた認証制度など)が求められる事態となった。

損害保険業界への影響: 不正請求の事実を把握しながらビッグモーターとの取引を継続していた損害保険会社(特に損保ジャパン)にも批判が集まり、保険業界全体の信頼性も問われる結果となった。

ビッグモーターと損保ジャパンの不正請求問題を巡って、両社の間で顧客紹介や人事交流、そして不適切な関係が指摘された構造と癒着について

損保ジャパンからの顧客紹介(指定工場制度):

損保ジャパンは、事故を起こした契約者に対し、修理工場としてビッグモーターを紹介する「指定工場」制度を設けていた。これにより、ビッグモーターは安定的に修理案件を獲得し、売上を伸ばすことができた。

この顧客紹介が、ビッグモーターによる不正請求の温床となったとされている。

損保ジャパンによるビッグモーターへの出向:

損保ジャパンは、ビッグモーターに対し、複数の幹部社員を出向させていた。特に、不正問題が表面化し始めていた時期にもかかわらず、リスク管理に関わる人材がビッグモーターに派遣され、事実上、不正を認識しながらも黙認、あるいは看過していたのではないかという疑惑が持たれた。

出向者たちは、ビッグモーターの不正な事業慣行を把握し得る立場にあったにもかかわらず、それを積極的に是正しようとせず、むしろビッグモーターの利益に資するような行動をとっていたのではないか、と批判された。

不正認識後の対応の遅れと隠蔽:

損保ジャパンは、早い段階からビッグモーターによる不正請求の疑いを把握していたとされている(例えば、損保各社からビッグモーターの請求内容に疑問の声が上がっていたにもかかわらず)。

しかし、ビッグモーターからの顧客紹介という大きなメリットがあったため、損保ジャパンは不正の調査や取引停止に踏み切るのが遅れ、むしろビッグモーターとの関係維持を優先したと批判されている。

結果として、損保ジャパンは他の損害保険会社がビッグモーターとの取引を停止する中で、唯一取引を継続し、問題を拡大させた一因とも見なされる。

持ちつ持たれつ」の関係性:

ビッグモーターは、損保ジャパンからの大量の修理案件紹介によって、売上を大きく伸ばした。
一方、損保ジャパンは、ビッグモーターからの大量の自動車販売(保険契約とセット)という形で、新たな契約獲得に繋がっていた。また、ビッグモーターの修理工場ネットワークは、損保ジャパンにとって顧客サービスの一部を担う重要な存在だった。

このように、両社が相互に利益を供与し合う「持ちつ持たれつ」の関係が構築されており、これが不正行為の是正を阻む構造的な問題となっていたと指摘されている。

近年、中古車業界では、ビッグモーター問題による信頼の揺らぎや市場環境の変化に対応し、独自の強みを持つビジネスモデルを展開する企業が成功を収めている。

専門特化型ビジネスモデル

特定車種やカテゴリに特化:

例:「軽届出済未使用車専門店」「登録済未使用車専門店」「軽39.8万円専門店」のように、特定の車種や価格帯に絞り込むことで、その分野での圧倒的な在庫量と専門知識を強みとし、顧客の比較検討の労力を減らし、高い集客力を実現している。
これにより、大手販売店との差別化を図り、ニッチ市場での優位性を確立している。

テリー伊藤氏の YouTube 「お笑いバックドロップ」では、20万円~50万円万円台の中古外車のコーナーが人気があり、神奈川、千葉、埼玉など郊外の優良個人店を応援する企画も視聴数が多い。

買取専業・仲介専業モデル:
ガリバー(初期)に代表される「買取専業」: 大規模な展示場を持たず、消費者が売却したい車を買い取り、主に業者オークションを通じて卸売することで、在庫リスクと店舗運営コストを抑え、高回転率で利益を出すモデル。

「売り手と買い手の仲介」に特化: ガリバーフリマは、自社で在庫を持たず、売り手と買い手をマッチングさせ、取引成立時に手数料を得るモデル。これにより、公正な価格設定が可能となり、双方の信頼を得やすくなる。

※ ガリバーフリマは2024年9月30日にサービスを終了

多角化・複合型経営

中古車とレンタカー事業の融合:

中古車を仕入れ、すぐに販売するだけでなく、自社でレンタカーとして運用することで、在庫車両を有効活用し、収益機会を多角化している。
「低価格帯レンタカー」を強みとするガッツレンタカーのように、中古車を安く仕入れてレンタカーとして運用し、その後中古車として販売することで、低コストでの車両運用と安定した収益を両立させるモデル。

アフターサービスやカーライフ全般のサポート:
販売だけでなく、車検、整備、板金、保険、ロードサービスなど、購入後のアフターサービスに力を入れることで、顧客との長期的な関係を構築し、顧客生涯価値(LTV)を高めている。
一部の企業では、異業種(例:子供向けスクール、リサイクル事業)との
複合経営も行い、地域における顧客接点を増やし、事業の安定化を図っている。

日本の中古車輸出事業は、全体として好調。その理由は?

中古車の海外販売事業の現状と成功要因
日本からの中古車輸出台数は、年々増加傾向にあり、特に以下のような要因が成功を支えている。

高い品質と信頼性:
日本車の耐久性、信頼性、燃費の良さは世界的に高く評価されており、
「壊れにくい」「メンテナンス費用が安い」というイメージが定着。
日本の厳格な車検制度も、中古車の品質を高く保つ要因と見なされている。

※車検の功罪はあるが、輸出に関しては良しとされている。

多様な車種と需要:
乗用車だけでなく、商用車(トラック、バン)、SUV、スポーツカー、さらには軽自動車や軽トラックなど、非常に幅広い車種が輸出されており、各国の多様なニーズに応えている。
過走行車や事故修復歴のある車も、安価な輸送手段として需要がある。

日本車であること、特にTOYOTAのロゴでアフリカでは4WD車の需要が多い。

主要な輸出先と市場ニーズ:
アフリカ諸国(ケニア、タンザニアなど):

新車が高価なため、手頃な価格で耐久性のある日本の中古車が非常に人気。頑丈なSUVやピックアップトラックの需要が高い。

中東(UAEなど): 高年式や高級モデルの需要が高く、再輸出の中継地としても重要。
オセアニア(ニュージーランドなど): 品質と価格のバランスが評価されている。
中央アジア(モンゴルなど): 日本の右ハンドル車に対する規制が緩やかなため人気がある。
ロシア: 経済制裁の影響で一時減少したが、依然として需要は高く、並行輸入などで日本車が流入している。

為替の恩恵:
円安が続いている現状は、日本の中古車を海外のバイヤーにとってより魅力的な価格にしているため、輸出には追い風となっている。

オンラインプラットフォームの活用:
インターネットを通じた情報発信や取引が活発になり、世界中のバイヤーが日本の在庫にアクセスしやすくなった。

アメリカへの中古車の輸出「25年ルール」について

アメリカでは、通常、自国の安全基準(FMVSS)や排ガス規制(EPA)に適合しない車両の輸入は厳しく制限されている。これには、日本で一般的な右ハンドル車も含まれる。しかし、この規制には「25年ルール」と呼ばれる特例が存在する。

25年ルールとは:

製造から25年以上経過した車両は、アメリカの安全基準や排ガス規制の対象外となり、個人での輸入が可能になるという制度。

このルールは、主に「クラシックカー」や「歴史的価値のある車両」の
保存・流通を目的としている。
右ハンドル車であっても、製造から25年が経過していれば、合法的にアメリカ国内に輸入・登録・走行が可能になる。

アメリカ市場への影響:

JDM(Japanese Domestic Market)人気:
日本の自動車文化、特に1990年代の高性能スポーツカー(例: 日産スカイラインGT-R、トヨタスープラ、ホンダNSX、マツダRX-7など)は、映画「ワイルド・スピード」やゲームなどの影響もあり、アメリカの若者を中心に絶大な人気を誇っている。

価格の高騰:
25年ルールが適用されるタイミングで、これらの日本の名車の価格がアメリカ市場で高騰する傾向にある。日本国内の中古車市場でも、アメリカへの
輸出需要を見越して、該当車種の価格が上昇する現象が見られる。

新たなビジネスチャンス:
日本の輸出業者にとって、この25年ルールはアメリカという巨大な市場への新たなビジネスチャンスを生み出している。特に希少価値の高い旧車の取り扱いが活発になっている。

軽自動車・軽トラックの人気:
スカイラインのようなスポーツカーだけでなく、日本の軽自動車(スズキジムニー、ホンダアクティトラック、スバルサンバートラックなど)も、そのユニークなサイズ感や実用性、レジャー用途での魅力から、25年ルールを適用して輸入され、アメリカで人気を集めている。

日本の高性能スポーツカー、特に日産スカイラインGT-Rシリーズ(R32, R33, R34など)が、アメリカの「25年ルール」によって驚くほどの高額で取引される現象は、中古車市場における非常に顕著なトレンドとなっている。

供給の制限と需要の急増:

25年ルールによって、今まで輸入できなかった人気のJDM車両がアメリカ市場に流入できるようになった。しかし、一度に大量に供給されるわけではなく、製造から25年経過するのを待つ必要があるため、供給は常に限定的。

一方で、長年待ち望んでいたアメリカの愛好家からの需要が爆発的に高まるため、「需要>供給」の状態となり、価格が急騰。

特に、R32、R33、R34といったスカイラインGT-Rは、その性能、デザイン、歴史的背景、そして限定的な生産台数から、コレクターズアイテムとしての価値が非常に高いとされている。

「投資」としての側面:

単なる趣味の車としてだけでなく、稀少性や将来的な価値上昇を見越した「投資対象」としても認識されている。状態の良い低走行車や限定モデルなどは、特に高値で取引される傾向がある。

実際に、19万km走行したR34型GT-Rがアメリカのオンラインオークションで20万ドル(約3000万円)近い価格で落札されるなど、その価値は新車価格をはるかに超えるケースが珍しくない。

1億円するケースもあるらしい。

日本国内市場への影響:

アメリカの旺盛な需要は、日本国内の中古車市場にも大きな影響を与えている。
25年ルールが適用される年式が近づくにつれて、日本国内の該当車種の価格も高騰する傾向にある。
良好な状態の個体は、海外からの引き合いが強いため、国内から海外へ流出することが多くなり、国内での在庫が減少することで、さらに価格が上昇するという連鎖が起きている。
このように、25年ルールは、単なる規制緩和に留まらず、日本の中古車、特に「JDM」と呼ばれる高性能スポーツカーの国際的な価値を飛躍的に高め、高額取引を後押しする重要な要因となっている。

苦境に立つ、国内の中古車販売企業へ、政府はどんな支援をしているか

政府は直接的な「中古車販売店向け」の専用補助金や支援策を常時設けているわけではないが、中小企業全般や自動車産業全体、あるいは特定の目的(環境対策、IT化、事業再構築など)のために実施されている制度を活用できる。

主な支援策としては、以下のようなものが挙げられる

事業再構築補助金:

新型コロナウイルス感染症の影響を大きく受けた事業者に対し、新たな事業展開や業態転換、事業再編などを支援する補助金です。自動車販売業も対象となり、過去に多数の採択事例がある。

例えば、中古車販売業者が自動車整備事業に進出したり、オンライン販売体制を強化したりする際に活用できる。

IT導入補助金:
中小企業・小規模事業者が、自社の課題やニーズに合ったITツール(ソフトウェア、サービス等)を導入する経費の一部を補助することで、業務効率化や生産性向上を支援するもの。

中古車販売業務支援クラウドサービスや顧客管理システム、オンライン販売用のプラットフォーム導入などが対象となる。
融資制度(日本政策金融公庫、信用保証協会など):

日本政策金融公庫:
中小企業や個人事業主向けの融資制度を提供しており、新規開業資金や運転資金、設備資金などを借り入れることができる。比較的、民間の金融機関よりも創業期や実績の少ない企業でも利用しやすい場合がある。

信用保証協会付融資: 
信用保証協会が中小企業の債務を保証することで、 金融機関からの融資を受けやすくする制度。地域ごとの独自の融資制度と 組み合わせられることもある。

経営革新計画:
中小企業が新たな事業活動を行うことで、経営の相当程度の向上を図ることを目的とした中期的な経営計画を策定し、承認を受ける制度。承認されると、低利融資や信用保証枠の拡大などの支援が受けられる可能性がある。

中古車販売店が、例えば新たなサービス(カーリース、サブスクリプションなど)を開始したり、特定の顧客層に特化した販売戦略を導入したりする際に活用できる。


クリーンエネルギー自動車導入促進補助金(CEV補助金)等:
中古車販売店が直接受けるものではないが、電気自動車(EV)や燃料電池自動車(FCV)などの「クリーンエネルギー自動車」の新車購入時に国や自治体から交付される補助金。

これは新車購入が主対象ですが、中古車販売店がこれらの車両を扱う場合、顧客が補助金を活用して新車を購入し、将来的に中古車として市場に出ることを間接的に促進する。また、一部自治体では中古EV向けの独自の補助金制度が存在するケースもある。
関連して、充電インフラ整備への補助金などもある。

自動車関連税制の優遇:

「エコカー減税」や「環境性能割」など、環境性能に優れた自動車に対する税制優遇措置は、新車・中古車問わず、燃費性能や環境性能が高い車両の流通を促進する効果がある。

ビッグモーターが起こした不正問題で業界のイメージが悪くなったが、様々な施策を考え
日本の中古車市場の復活をさせてほしいと思います。


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