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【ポルトガル経済学の実力者②】セルジオ・レベロ                                                   経済成長と国際金融をつないだ、内生的成長理論の世界的重鎮

ポルトガル出身の経済学者を語るうえで、セルジオ・レベロの名は欠かせない。

彼はノースウェスタン大学ケロッグ経営大学院のTokai Bank Distinguished Professor of International Financeであり、マクロ経済学、国際金融、経済成長理論の世界的研究者である。ケロッグの公式プロフィールでも、研究領域はマクロ経済学と国際金融とされている。

レベロの名前を経済学史に刻んだ最大の理由は、内生的成長理論への貢献である。

経済成長とは何か。なぜ、ある国は豊かになり、ある国は停滞するのか。古典的な成長理論では、技術進歩はしばしば「外から与えられるもの」として扱われてきた。しかし、現実には技術革新、人材育成、研究開発、制度、政策は、人間の選択によって生まれる。成長は天から降ってくるものではなく、社会が設計し、投資し、蓄積していくものである。

レベロの研究は、この発想を理論的に押し進めた。

特に、長期的な政策、税制、人的資本、技術蓄積が経済成長にどのような影響を与えるのかという問題は、現在の日本にもそのまま突き刺さる。

日本経済は、長期停滞、少子高齢化、低成長、賃金停滞、生産性の伸び悩みという課題に直面している。短期的な景気対策だけでは、この構造問題は解けない。必要なのは、なぜ経済が成長するのか、どの政策が長期的な成長率を押し上げるのか、教育・技術・資本蓄積をどう設計するのかという視点である。

この点で、レベロの経済学は、単なる理論ではない。

「国家の成長戦略」を考えるための道具である。

彼の研究領域は、経済成長にとどまらない。国際金融、為替、景気循環、マクロ経済政策にも広がっている。グローバル経済では、国内政策だけで経済は完結しない。金利、為替、資本移動、国際収支、海外投資、地政学リスクが相互に絡み合う。その複雑な構造を、理論とデータで読み解くのがレベロの仕事である。

レベロの経歴にも、ポルトガル経済学の強さが表れている。

ポルトガル・カトリカ大学で学び、その後、米国ロチェスター大学で経済学の博士号を取得した。ポルトガル国内で基礎を磨き、米国の高度な研究環境に飛び込み、世界の学術市場で勝負する。このルートは、ポルトガル人経済学者にしばしば見られる国際型エリート形成の典型である。

サクラフィナンシャルの視点から見れば、レベロは「経済成長を財政出動や金融緩和だけで語ってはいけない」と教えてくれる経済学者である。

成長とは、単にGDPを一時的に押し上げることではない。人材、技術、制度、投資、企業活動が長期的に組み合わさって生まれる。だからこそ、成長戦略には時間軸が必要であり、場当たり的な政策ではなく、知的蓄積に基づく設計が必要になる。

日本では、成長戦略という言葉が政治的スローガンとして消費されがちである。しかし、レベロの研究に照らせば、問うべきはもっと具体的である。

どの税制が投資を促すのか。どの教育投資が人的資本を高めるのか。どの制度がイノベーションを阻害しているのか。どの金融環境が企業の長期投資を支えるのか。

セルジオ・レベロは、ポルトガルが生んだ世界的マクロ経済学者であると同時に、停滞する先進国がもう一度「成長」を考えるための重要な案内人である。

参考資料・参考文献

Northwestern University Kellogg School of Management “Sergio Rebelo”/NBER “Sergio Rebelo”/CEPR “Sergio Rebelo”/Sérgio Rebelo “Long-Run Policy Analysis and Long-Run Growth,” Journal of Political Economy, 1991/NBER Working Paper No.3325 “Long Run Policy Analysis and Long Run Growth”/RePEc・IDEAS “Sergio Rebelo”/Católica-Lisbon School of Business and Economics “Sérgio Rebelo”.

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