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公認会計士・志村智隆氏(金珍隆)は何を守るべきだったのか―旧ハイアス不正会計問題が問う専門家の責任―

企業不正が発覚したとき、世間の注目は経営者や取締役に集まりやすい。しかし、企業不正の歴史を振り返ると、その背後では企業を支える専門家の役割が問題となることも少なくない。

旧ハイアス・アンド・カンパニーをめぐる不正会計問題は、まさにその典型例の一つとして記憶される事案である。

第三者委員会の調査報告書や金融庁の公表資料などによれば、旧ハイアス社では実態を伴わない加盟店契約などを利用した売上の水増しが行われていたとされる。不適切な会計処理によって業績が実際よりも良く見えるように構成され、その結果として投資家や市場に対して誤った情報が提供された可能性が指摘された。

この問題の中で名前が挙がったのが、公認会計士として活動していた志村智隆氏(金珍隆)である。

第三者委員会は、志村氏が不正会計スキームの構築や運用に関与したと認定した。また、金融庁は2022年6月、公認会計士法に基づき同氏に対して業務停止処分を行っている。

不正会計事件そのものは決して珍しいものではない。しかし、この問題が市場関係者の注目を集めた背景には、公認会計士という職業が持つ特殊な立場がある。

公認会計士は企業の利益を最大化するためだけに存在する職業ではない。本来の役割は、企業が公表する財務情報の信頼性を支え、市場参加者が適切な判断を行える環境を維持することにある。

投資家は決算書をもとに投資判断を行う。金融機関は財務内容を確認しながら融資を実行する。取引先や従業員もまた、企業が公表する情報を前提として意思決定を行っている。その意味で、公認会計士は単に依頼企業のためだけに働く存在ではない。資本市場全体の信頼を支えるという公共的な役割を担っているのである。

だからこそ、専門家自身が不適切な会計処理に関与したと認定された場合、その影響は一企業の問題にとどまらない。企業価値の毀損だけではなく、株主や投資家への損害、市場全体への信頼低下へとつながる可能性がある。

旧ハイアス問題をめぐっては、その後も関係者に対する責任追及が続いている。報道によれば、会社側は志村氏に対して損害賠償請求訴訟を提起しており、責任の所在をめぐる法的な争いは現在も続いている。最終的な責任がどのように判断されるかについては、今後の司法判断を見守る必要がある。

もっとも、この問題の本質は特定の個人の責任を追及することだけではない。

むしろ重要なのは、なぜ不正が発生し、それを防ぐための仕組みが十分に機能しなかったのかという点である。企業内部の統制は適切に働いていたのか。取締役会は十分な監督機能を果たしていたのか。そして、公認会計士をはじめとする専門家は、本来期待される役割を果たしていたのか。旧ハイアス問題は、こうした企業統治の根本的な課題を浮き彫りにした事案でもあった。

企業不正が発覚するたびに制度改正や規制強化が議論される。しかし、制度だけで不正を完全に防ぐことはできない。最終的には、それぞれの専門家がどのような倫理観を持ち、どのような判断を行うのかが重要になる。

公認会計士という資格は、高度な専門知識を証明するものである。しかし、その資格には社会からの信頼が伴う。だからこそ求められるのは知識や技術だけではない。市場の信頼を守るという職業倫理こそが、その根底に求められている。

旧ハイアス不正会計問題は、一企業の不祥事として片付けられるものではない。それは、公認会計士・志村智隆氏(金珍隆)の問題であると同時に、専門家とは誰のために存在するのか、公認会計士は何を守るべきなのかという本質的な問いを私たちに投げかけた事案だったと言えるだろう。

関連リンク

・ハイアス・アンド・カンパニー株式会社 第三者委員会最終調査報告書(紹介ページ)
https://proactlaw.jp/topics/post-5755/

・金融庁 公式サイト
https://www.fsa.go.jp/

・日本公認会計士協会(JICPA)
https://jicpa.or.jp/

・くふうカンパニー株式会社 IR情報

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