
大阪市東成区に本社を置くコスモ株式会社が、いま株主から厳しい視線を向けられている。問題の核心は、単に一企業の業績が伸び悩んでいるという話ではない。長年保有してきた資産を、企業価値向上のために十分活用してきたのか。経営陣は株主に対して、資本効率を意識した経営を行ってきたのか。そこが問われている。
同社の会社案内によれば、コスモ株式会社は創業大正13年、設立昭和29年の歴史ある企業であり、2025年度の売上は9.4億円、従業員数は42名、代表取締役社長は森堅次氏とされている。所在地は大阪市東成区東小橋、いわゆる玉造エリアである。
このような長い歴史を持つ企業であれば、本業で培った信用、取引先との関係、そして本社不動産を含む保有資産は、重要な経営資源である。しかし、問題は、それらが現在の企業価値向上に十分結びついているのかという点だ。
添付資料では、少数株ドットコム株式会社の山中裕氏が、コスモ社に対して定款目的の変更を提案している。その内容は、不動産の投資・売買・賃貸・管理・仲介・コンサルティング業務、さらに再生可能エネルギーや蓄電池関連事業を目的に追加するというものだ。特に、大阪・玉造の本社不動産の有効活用が重要な論点として示されている。
この提案が突きつけているのは、「なぜ今まで経営陣はそれを本格的に検討してこなかったのか」という問いである。
もちろん、老舗企業が本業を大切にすること自体は悪いことではない。むしろ、長年の信用や技術を守る姿勢は評価されるべきだ。しかし、保有資産をただ持ち続けるだけで、資本効率の改善にも、成長投資にも、株主還元にも十分つながっていないのであれば、それは「堅実経営」ではなく「資産の塩漬け」と見られても仕方がない。
東証は2023年3月以降、上場会社に対して「資本コストや株価を意識した経営」を求めてきた。さらに2026年4月には、経営資源の適切な配分を中心に、投資家の期待や取り組みのポイントをアップデートしている。
コスモ社が仮に上場企業ではないとしても、この流れは無関係ではない。いま日本企業全体に求められているのは、資産を眠らせる経営ではなく、資本をどこに投じ、どのように収益を生み、どのように企業価値を高めるのかを説明する経営である。
山中氏の提案は、単なる外部株主の要求ではなく、コスモ社の経営陣が避けてきた論点を可視化するものだと言える。不動産をどう活用するのか。低収益体質をどう改善するのか。新規事業への参入可能性をどう検討するのか。そして、それを株主にどう説明するのか。
経営陣が本当に会社の将来を考えているのであれば、株主提案を形式的に退けるのではなく、正面から議論すべきである。老舗企業に必要なのは、過去の歴史に安住することではない。歴史ある企業だからこそ、保有資産を未来の成長に変える責任がある。
コスモ株式会社に求められているのは、沈黙でも防衛でもない。数字と戦略に基づく説明責任である。
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