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日経平均株価 過去最大の下落幅記録 日銀金融政策決定会合「主な意見」公表 様々な経済指標から「景気」を考える

今週は、週明け5日の東京株式市場で、日経平均株価が大きく下落し、過去最大の4400円の下げ幅を記録しました。

米国の景気減速への懸念や円高進行を受けてのもので、下落幅は、世界的に株価が暴落した1987年のブラックマンデーの翌日につけた3836円を超えて過去最大となりました。

一方、家計調査、景気ウォッチャー調査、経常収支の指標が公表された他、財務省の全国財務局長会議の開催、日銀の金融政策決定会合で各委員から出された「主な意見」も公表されました。「経済、景気」に関する資料をまとめます。

家計調査 6月分 実質の消費 前年同月比-1.4% 減少は2か月連続

【参考資料1 総務省 家計調査】

6日、総務省は6月の家計調査を公表しました。

それによりますと、今年6月に2人以上の世帯が消費に使った金額は28万888円で、実質で前の年の同じ月より1.4%減りました。減少は2か月連続です。

内訳を見ますと「電気代」はことし5月の使用分では政府による負担軽減策が縮小したことに伴って、家庭での節電指向が強まったとして9.1%減少しました。

また「通信」が携帯電話の料金プランを割安なものに切り替える動きが続き、8.3%減ったほか「自動車購入」は一部の自動車メーカーで生産停止があった影響から6.1%減りました。

一方、暑さ対策の消費は伸びました。気温の上昇を背景にエアコンの購入などが増えた「家庭用耐久財」は62.8%増加、支出の割合が大きい「食料」もアイスやシャーベットといった菓子類の消費が伸びたことから全体として1.5%増え、3か月ぶりに増加しました。

このほか、合わせて発表された勤労者世帯の収支の内訳によると手取りを示す「可処分所

得」は実質で8.5%増え、増加幅は前の月より3.2ポイント拡大しました。総務省では6月から始まった定額減税の影響がみられるとしています。

景気ウォッチャー調査 7月は現状示す指数 2か月連続前月上回る

【参考資料2 内閣府 景気ウォッチャー調査】

8日、内閣府は、働く人に景気の実感を聞く景気ウォッチャー調査を公表しました。

景気ウォッチャー調査は、北海道、東北、北関東、南関東、東海、北陸、近畿、中国、四国、九州、沖縄の11地域を対象に、百貨店・スーパーマーケット・コンビニエンスストアなどの小売店や、タクシー運転手、レジャー業界など景気に敏感な職種で働く人たちにインタビューをし、調査結果を集計・分析したもので「街角景気」とも呼ばれています。

内閣府では、これらの地域、業種で働く人たち2000人余を対象に毎月、3か月前と比べた景気の実感を聞いて指数として公表しています。

それによりますと、インバウンド需要や夏用商品の販売が好調なことなどから、景気の現状を示す指数が2か月連続で前の月を上回りました。

先月の調査では、景気の現状を示す指数が47.5となり、前の月から0.5ポイント上がって2か月連続で前の月を上回りました。

調査の中では、近畿地方のホテルから「インバウンドの増加や夏休みに伴う需要で、稼働率は高い状態が続いている」という意見が出されたのをはじめ、南関東の家電量販店からは「猛暑で夏用の商品の動きがよいほか、定額減税やボーナス商戦で高額の商品の販売もよい」といった声が寄せられています。

一方で、「商品、サービスの値上がりが続き、節約志向がさらに強まっている」などと、物価上昇による影響を懸念する声も各地から寄せられました。

また、2か月から3か月先の景気の先行きを示す指数は、前の月より0.4ポイント高い48.3と2か月連続で上昇しました。

経常収支 上半期の黒字額 去年同期比4兆7000億円余増

8日、財務省が発表した国際収支統計によりますと、今年1月から6月までの上半期の日

本の経常収支は12兆6817億円の黒字で、去年の同じ時期と比べて4兆7148億円増えました。

経常収支は、日本が海外との貿易や投資などで、どれだけ稼いだかを示す指標です。

このうち「貿易収支」は、自動車や半導体製造装置の輸出が伸びたことなどから、赤字額は去年の同じ時期より2兆5702億円縮小し、2兆6118億円の赤字となりました。

一方、日本企業が海外への投資で得た利子や配当などの収支を示す「第一次所得収支」は、海外の金利の上昇や円安などを背景に19兆1969億円の黒字と、去年の同じ時期より、黒字額は1兆7506億円増えました。

「旅行収支」は、日本を訪れる外国人観光客の増加で2兆5939億円の黒字でした。

一方、ことし6月の経常収支は1兆5335億円の黒字で、黒字額は去年の同じ時期より141億円増えました。経常収支が黒字となるのは17か月連続です。

今回は、貿易赤字が縮小した一方で、企業が海外への投資で受け取った配当や利子などが増えたことが主な要因と見られています。

財務省 全国財務局長会議 景気の現状「緩やかに回復しつつある」判断を据え置き

 【参考資料3 財務省 全国財務局長会議 管内経済情勢報告】

6日、財務省は、3か月に1度の財務局長会議を開き、全国11の地域の景気の現状をとりまとめました。

地域別にみると、北陸で判断を引き上げる一方、四国では引き下げ、残る9つの地域では判断を据え置きました。

項目別にみると、「個人消費」は物価上昇の影響などがみられるものの、緩やかに回復しつつあるとしています。

消費者の間で節約志向が進み、衣料品などが低調でしたが、エアコンや化粧品が好調で外国人観光客による宿泊や高額品の購入も目立ったということです。

「生産活動」は、自動車メーカーの一部が生産や出荷を停止した影響などから持ち直しに向けたテンポが緩やかになっているとしています。

また、「雇用情勢」は、緩やかに改善しつつあるものの、企業の人手不足感は強まっているとしています。

先行きについては、雇用や所得環境の改善で緩やかな回復が続くことが期待されるとしながらも、海外での景気の下振れや、金融資本市場の変動などの影響に十分注意する必要があると分析しています。

日銀 7月金融政策決定会合 一部の委員 さらなる利上げに前向きな意見

 【参考資料4 日銀 7月金融政策決定会合(主な意見)】

8日、日銀は、追加の利上げを決めた7月30日~31日の金融政策決定会合で委員から出された「主な意見」を公表しました。

それによりますと、「0.25%という名目金利は、引き続き、極めて緩和的な水準であり、経済をしっかりと支えていく姿勢に変わりはない」、「緩やかなペースの利上げは基調的な物価の上昇に応じて緩和の程度を調整するものであり、引き締め効果を持たない」などと追加の利上げをしても、緩和的な環境に変わりはないという意見が多く出されました。

一方、金融市場では、日銀の追加利上げの後、株価や円相場が激しく乱高下し、7日、内田副総裁が「金融資本市場が不安定な状況で利上げをすることはない」と、さらなる利上げに慎重な姿勢を示しています。

このほか、先月の会合であわせて決定した国債の買い入れの減額について、一部の委員からは「慎重に進めれば、市場にサプライズを起こさず実施可能だと思われる」などと、金融市場の反応を意識した意見も出ていました。以 上

筆者 平木雅己(ひらきまさみ)選挙アナリスト

元NHK社会部記者。選挙報道事務局を長く勤め情勢分析や出口調査導入に尽力。小選挙区制度が導入された初めての衆議院議員選挙報道ではNHK会長賞を受賞。ゼネコン汚職事件、政治資金の不正など政治家が関わる多くの事件・疑惑も取材。

その後、連合(日本労働組合総連合会)事務局にて会長秘書(笹森清氏)として選挙戦略の企画立案・候補者指導を担当、多くの議員の当選に尽力した。 

政策担当秘書資格取得後、法務大臣/自民党幹事長代理はじめ外務大臣政務官、衆参国会議員政策秘書として、外交・安全保障、都市計画、防災、司法、治安、雇用・消費者、地方自治などの委員会や本会議質問を作成、政策立案に携わる。

☆出稿資料☆

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