2018年に刑の執行が行われたオウム真理教の前代表、松本智津夫(麻原彰晃)の次女が、父親である元死刑囚の遺骨及び遺髪の引渡しを求める裁判で、東京地方裁判所は13日、次女の訴えを認め、日本国に対して遺骨及び遺髪の引渡しを命じる判決を下した。
松本智津夫は、1995年に発生した地下鉄サリン攻撃を含む合計13の事件の指示者として認定され、2006年に死刑が確定。その後、2018年7月に刑が実行された後、その遺体は火葬され、遺骨と遺髪は保管されていた。
元死刑囚の遺族が遺骨及び遺髪の所有権を巡って争った家庭裁判では、2021年7月に最高裁判所で次女の所有権があるとの判決が下された。しかし、日本国が引渡しに応じないため、次女は2022年10月に裁判を起こしていた。
訴訟の中で次女側は、次女が父の遺骨や遺髪を管理し、遺族として故人を偲ぶ正当な権利を有していると主張。オウム真理教の後継団体とは一切関わりがなく、遺骨や遺髪の不正使用や他者への利用意図は全くないことを強調し、引渡しによるリスクは概念的なものに過ぎないと訴えた。
これに対して国は、遺骨や遺髪が厳格な管理下から外れると、それが後継団体の信者による争奪対象となり、保管される場所が聖地化する可能性があると反論。遺骨や遺髪を後継団体に渡さないことについて次女からの誓約を求めたが、これに応じなかったとして、「次女から安全な保管を期待することはできない」として訴えの棄却を主張していた。
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