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【『陰謀論からの救出法』ウサギの穴にハマッた陰謀論者を救うには?鈴木エイト、ナカイサヤカ出版イベント】

読書の秋にピッタリの過ごしやすい季節になった。この度面白い本を見つけたので是非ご紹介したい。陰謀論にハマった人を救う本があけび書房より出版された。
〜『陰謀論からの救出法』大切な人がうさぎの穴にハマったら ミック・ウェスト著 翻訳ナカイサヤカ〜
2024年9月14日、えれくしあ北千住にて、出版記念イベントが行われ、翻訳家ナカイサヤカ氏(57歳)と、ゲストコメンテーターに、カルト宗教、特に統一教会を追求するジャーナリスト鈴木エイト氏(56歳)を迎え、陰謀論からカルト組織のことまで、興味深く楽しい話を伺った。

《鈴木エイト氏とナカイサヤカ氏の間柄について》
鈴木氏「2018年から19年にかけて、『ここが変だよ!反ワクチン』っていうイベントをモデレーターを募って、森戸やすみさん(53歳/小児科医)等と、ネイキッド・ロフトでやったんですね、その後2、3回かやって、毎回ナカイさんにはライブトークイベントに出てもらっていたのがきっかけでご縁を頂く事になったんです。」
ナカイ氏「昨今、陰謀論にハマっている人々、日本ではQアノン、神真都Q等増えてきて、いきなり家族がハマってしまってどうしよう、と言う話なんですけれど、私の出身大学である筑波大学も原理研究会の縄張りが凄かった。大学でも『原理の人達に誘われないように』と言われて青春時代を送っていたこともあり、脱カルトは今のところどうなっているんだろうと調べますと 今は昔のような、わーっと説得をして洗脳を解く『脱洗脳』のようなものではなく、この陰謀論から脱出させると言うことと、似たようなものでは?と思い此の本に飛びつきまして。」

※原理こと原理研究会とは、世界平和統一家庭連合の総裁、文鮮明が提唱した「統一原理」を研究する非営利団体。略して「原研」、「原理研」または英名の略称で「カープ」と呼ばれることもある。1960年以降社会問題化したカルト団体。

救出法は、『脱洗脳』をしないのであれば、どうするのか。
「実は読んでいて、自分の常識とはだいぶ違っていたので、何度も読むうちにこれは私以外の人にも勧めたほうがいいだろうと思い、あけび書房さんに出版をお願いしました。」
メタバンク創始者の本人の名前を付けたミック・ウェスト・メソッドという内容をこの本では説明している。

〈Q:作者ミック・ウェスト氏(57歳)ってどんな人?〉
1967年生まれ UFOのデバンキング活動は第一人者。インターネットプラットフォーム「メタバンク」主催。
イギリス、ウエスト・ヨークシャー出身。マンチェスター大学卒、米国に移住、ゲームソフト会社ネバーソフトを創業。早々と引退後、世の中の陰謀論が嘘か本当かを追求していく“デバンギング(論破)活動”を始めたのがきっかけだという。

※〜Bunk[与太話] Debunking[与太話にde(否定)をつけると“論破”になる]〜
今の言葉で言うと『ファクトチェック』に近いとナカイ氏。

〈Q:ウサギ穴に落ちる、とはどういう意味?〉
映画『マトリックス』の頃から使われる言葉で、うさぎの穴とは、『不思議の国のアリス』のウサギ穴、ここに落ちて抜け出せない、これを喩えて陰謀論にハマる、と称される。

〈陰謀論者とは、至って普通の人、だれでもはまる要素はある〉
陰謀論にハマりやすい人というのは、ごく些細な要求からと言われている。その要求というのは選民意識、優越感、物ごとの中に過度な同じパターンを見つける人、同調しやすい人、あるいはその逆だったりする。

例えば神とか霊とか存在のわからない物に対して、死んだ後どこに行くのか、宇宙には人間の他に未確認生物はいるのか、医学を信用出来ない等の疑問に対してファンタジーが生まれることはこれまでの歴史の中で存在する。
現代は気になる事柄を、それについて調べることがすぐ出来てしまう時代。
勿論間違った情報も見てしまい、それを見だすと、アルゴリズムが勝手に『おすすめ』を探して来て、朝から晩までどっぷりとハマってしまう。

陰謀論にハマる彼らの特徴は、自分の意見に対して疑うことをやけに嫌う。本人も陰謀論に対して疑っている。それを正しいと証明しようとして、同じ考えの物を何本も何本も見続ける。自分が正しい方向に行っている答え合わせ、道しるべのように情報をより分け偏っていくと、もう『陰謀論者』の完成だ。それに関して突き詰めてしまい、社会生活が送れない、一般社会と衝突し、時には攻撃も辞さないようになり、世界的に社会問題となる陰謀論者たちが存在する。
これが横繋がりに結びついてカルト的な共有を形成し、社会からますます孤立して行く。 

〈陰謀論はバカバカしいものもあり結構面白い〉
ここで取り上げている陰謀論は、最近日本でも広がりつつある。『地球平面理論(フラットアース理論)』こんなものが広まっているのか?正直鳩が豆鉄砲食らったかのようになってしまった。
ナカイ「最初から読まなくても『平面地球』って何?』ってところから読んで行ってもかなり面白い。」
その他にも『ケモトレイル』消えない飛行機雲には薬剤が仕込まれている説。ケモトレイルについてこの本はセクションが多く、飛行機のエンジンの話まで入っている。

そして『911』『CIA偽旗作戦』『2020年トランプ落選の不正選挙説』『コロナウイルス』『UFO』などの陰謀論を論破(デバンギング)していく。

〈陰謀論者にどう接して行けばいいのか?〉
ナカイ「親しい人が急に陰謀論の話を切り出そうとすると『いいからいいから』と遠ざけてしまう。聞いてしまうとうっかり自分も洗脳されるかも知れない恐怖もある。相手は、新しいことを発見したから聞いて貰いたいので彼らからしてみたら私達は『相手の話を聞かない無知蒙昧な輩』という決めつけが強化されており、コミュニケーションの断絶が一番の問題。で、私達は元々は家族だったよね?あるいは友達だったよね?という元の状態に戻していく。話を聞いてあげるにつれ『お前馬鹿だね』とか、絶対に言わない。」

〈相手の気持ちを考えて〉
「陰謀論の人たちって『政府のことを信じてはいけない』『自分が正しい』こちらから勧める動画を観ようともしない。陰謀論にハマッちゃった連中を見る一般人の感情としては、しょうがない連中ですよね。」
ナカイ氏にとっても、翻訳していて、自らの態度を変える、という事はなかなか辛かった部分でもある、と言う。
「だんだん訳していくうちに、相手に対しての向き合い方が変わった。彼らは自分たちがマイノリティ側で、多数派の人達から馬鹿にされるのを嫌う。自分の親しいものが多数派であることで、嫌になり、陰謀論仲間のところに逃げてしまう。これって実は私達がそうさせちゃったんじゃないか?ハマっちゃった人は帰ってこない、と切り捨てたほうが楽なんですよね。でも放っておいたら彼らは『不思議の国』にどんどん入って行ってしまうので、『いつでも帰ってきて大丈夫だよ』と陰謀論の仲間と縁が切れても、自分は自分の家族の中に帰ってくることが出来る、友達もまた戻ってくる、安心感があれば居場所を作ってやることが大切。」

〈ピンポイントで情報を与えると効果的〉
ナカイ「その人が間違っていると思われるところにピンポイントでその欠落した情報を与えてやると効果的。これをやるためには相手の話を聞いてあげないといけないけど、途中で遮らず最後まで話を聴いてあげて。それでもし、『君の勧める動画が正しいなら観てみるよ』といい、『その代わり僕の勧める動画も観て』と一緒に観てあげて。歩み寄る姿勢を見せて。そうしたら向こう側に行っちゃった人も必ず帰って来ます。」

と、『うさぎの穴』陰謀論にはまった人を無事助け出す方法を一部紹介して貰った。

ナカイ「特に男性に多いんですけど人の話を最後まで聞かずにジャッジをしてくる人がいる。『〜ということだな』『〜ということだろ』そういう前に全部話を聞けよと思うんですけれども、途中で自分の考えを挟まない。」

〈うさぎの穴にハマると命を落とすこともある!〉
鈴木エイト氏は「この本面白くて、1日で読んでしまったんですね。序の所で、ミックがなぜ、これ(題材)に関わろうとするのかというところなんですけど、陰謀論は有害だからなんです。これが行き過ぎてホメオパシー治療、代替医療的な事をやっている。」と陰謀論の有害について話した。
1700年代末ドイツ発祥のホメオパシーは、似たものが似たものを治すという理論(類似の法則)に基づいた医療体系である。大量投与するとある一連の症状を引き起こす物質を、ごく微量からほぼ存在しない量投与することで,その同じ症状が治ると信じられている。ホメオパシーの治療薬は濃度が薄ければ薄いほど強力であるとされる。科学的根拠は無い。

鈴木氏は例として
〈2009年8月山口新生児ビタミンK欠乏性出血症死亡事故〉
を上げた。「ホメオパシーは偽科学なんですけど分子レベルで政府の方で…前に(山口県山口市で)おこった事故、女性がホメオパシー助産師の指導のもと長女を自宅出産したが、母子を担当した助産師は「ホメオパシー医学協会」に所属しており新生児に必要だったビタミンKシロップを与えず同程度の効果を持つと同団体が主張していた砂糖(いわゆる『レメディ』)だけを新生児に舐めさせ死亡させてしまった。」
この事件を取り上げ、
「単なる陰謀論を面白がっているだけじゃなく、実際に命の危険にまで至ってしまうということもあると読んでいて、『確かにそうだな』と。(後編に続きます。)

●鈴木エイト氏
ジャーナリスト。ニュースサイト『やや日刊カルト新聞』主筆。
2002年頃、街中の手相占いと称する怪しい宗教への勧誘〜ここから、エイト氏が統一教会との問題を直視するようになる。

『現代ニッポンの大問題』メディア、カルト、人権、経済
著者・編者:阿部浩己、鈴木エイト、東郷賢、永田浩三(著/文) あけび書房 定価1760円

●ナカイサヤカ氏(翻訳家/代表作 世界恐怖図鑑/文渓堂 
『反ワクチン運動の真実 死に至る選択』ポール・オフィット著
近作『イラストで見るゴーストの歴史』マール社などがある。
主に児童図書を翻訳していたが娘さんに、「お母さん、どんどん怪しい本の翻訳するね」と言われているナカイサヤカ氏。「反ワクチンを巡る海外と日本の状況は驚くくらい一緒、登場人物もよく似ている」一番最初に翻訳をしたのが超能力研究。
『世界恐怖図鑑』は子供が読み始めたら夜眠れなくなるような内容。
反ワクチン関連も翻訳している。

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